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第50話【僕に任せてよ】

 喜耒さんの力一杯の体当たりを食らって、黒い渦は消失して、また黒々しいダンジョンウォーカーが出現した。結構大きい人だよ、喜耒さん、よくこんな人を吹き飛ばせたな、やっぱり強いよ喜耒さん。


 とか思っていたら、どうやらこの大きな人、僕らの思惑とは異なる思念でこうして姿を現したようだ。


 今まで黒い渦となっていた時とは打って変わって、今度は鉄の棒、槍じゃあなくて孫悟空の持っている如意棒をもっとゴツくした感じ、両手もちの棍棒みたいな印象、それをどこからともなく取り出して、攻撃を開始する。


 そうか、あの防御魔法の場合、攻撃の手段というか方法が限定されるみたいだね、なるべく見えにくい刃物なんかを使うのがこっちに対しても有効に機能してくるみたいな形で、力尽くでやり合うんなら、こうして姿を表さないとダメってことなんだね。


 先ほどよりも大きなプレッシャーがあるよ、多分、この人、防御魔法を解かれたんじゃなくて、自分から解いたんだ。


 多分だけど、ここにいる僕らなら力尽くで行った方が効率が良いって判断したんだね。


 「真壁くん、そいつ、ダメ!」


 って、僕の後方で葉山さんが叫ぶ。


 どうやらお知り合いみたい。


 確かに体格差は絶望的なくらいにある。顔の老け方なんて、本当にダンジョン適齢期なのか怪しい貫禄だよ。


 見た感じ、僧兵みたいな感じ。スキンヘッドといい、雰囲気といい。それなら手に持つ長い棒は、錫杖に見えない事もない。その僧兵みたいな奴がいうんだよ。


 「今日はあの凶悪な魔法使いはいないみたいだな」


 だって、この人、僕の事を知ってるみたいな口ぶりだ。角田さんのことを知ってるみたい。角田さんが凶悪な魔法を使ったのって、あのラミアさん事件の時だから、多分、あの時にいた人なんだと思う。


 角田さんに軽く炙られて戦闘不能に落ちい行った1人だな、あの時は僕ら数人で、敵はいっぱいだったからさ、そっちは覚えているかもしれないけど、僕としてはまるで印象にない。誰だよお前はって感じ。ほぼ初対面でいいと思う。 


 「任せていいか真壁秋?」


 そう喜耒さんは言って、僕が答えらしき言葉とか仕草をする前に戦列を早々に離れて、捕まっていた女の子の方に行ってしまう。


 「喜耒さん、ちょっと、真壁くん1人じゃ……」


 と葉山さんが言うと、


 「葉山、邪魔になる、お前もこっちに来ていてやれ」


 と喜耒さんが葉山さんを呼んでくれた。おお、戦闘領域を広く取れるな。なんか、喜耒さんってわかってくれるなあ。助かる。


 それに比べてなんか、ハラハラしている葉山さんだ。


 「大丈夫だよ、すぐに倒すから」


 と言って安心させようとするんだけど、


 「あの鉄杖は相手の武器を壊す為の武器だから、その後、ゆっくりといたぶるような戦い方をする奴だから、喜耒さんも2人でかからないと、私もフォローするから」


 と、定石で行くなら、1対3で行った方がいいけど、まあこの程度なら大丈夫だよ、先を急ぎたいし、ここはサクッと早めに終わらせよう。


 それにしても、こう言うことって結構な頻度で起こるよね。


 モンスター相手の戦闘じゃなくて、対ダンジョンウォーカー戦。


 僕にはまだよく分からないけど、なんかヤダよねこう言うこと。もっとみんな仲良くしようよ、って本気で思う。


 ダンジョンにモンスターを倒して奥に進んで、最後の部屋に到達する以外の目的がありすぎるんだな。こう言う事って、僕にも階を深める毎にわかるようになるんだろうか? 


 正直あまり考えたくないよ。


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