第25話【名剣カシナートの剣】
今更、説明の必要もないと思うけど、北海道にはセイコマートっていう、御当地では済まされないくらいの無敵なコンビニがあってさ。
何もかもが美味しい新鮮な、時には野菜までも、さらに夕張メロンとか? それにオリジナル商品に溢れた店内はまさにパラダイスだよ、しかも値段も優しいしね。北海道民に愛されて止まないお店があるんだ。
で、さ、最近、僕、ストイックな生活してて。
それはもちろん、今後のダンジョン生活における装備品購入の為の準備とかしていたんだよね。
ダンジョンもさ、中階層くらいから、簡易な剣とか、運が好きゃ出るから、それまでの繋ぎとして、それでも使える武器が出現し出すのって、中階層でも中盤以降だから、それまでの繋ぎとして、そこそこ長く使える武器とか防具は揃えなきゃ、って思ってたんだ。
装備品の多くはモンスターが落としたり、ダンジョンの特定の室内にある宝箱から手に入れる事ができるんだ。
どっちも、結局はモンスターを倒さないとダメだけどね。
特にダンジョンにある『特定の部屋』に出現する宝箱は、エリアモンスターを倒した後入手できる、だけど、必ずと宝箱には罠とか仕掛けられてて、鍵を開けるのと同様に、その罠を解除しないと、手に入れらない上に、罠の種類によってはモンスターの攻撃よりも熾烈で、パーティーの全滅の憂き目にあうこともあるんだ。
その為に罠を解除する為の技術に関しては、ギルドでは『日曜鍵罠学校』って、機会を設けてくれて、ベテランダンジョンウォーカーによる技術指導が行われている。
中階層くらいに出現する宝箱の罠なら、ここで1時間くらいの講習で解除できる技術が身に付くらしいから、今度行ってみようと思ってる。
でも今の時期は混むからね、受講希望の一定数の応募によって締め切っちゃうみたいだから、早めに予約しようとは思ってるよ。
ちなみに、これを受講して、宝箱をあけれらる様になると、もちろん提示されてる条件の宝箱を開けたって証明はいるけど、そんな技術を持ってると、クラスとして『シーフ』を名乗れるらしいんだ。
ダンジョンでも人気のあるスキル無しとして名乗れる技術系クラスの一つで、モンスターとの戦闘に対しての技術じゃないけど、それでも、この『宝箱を開けれる』っていう技術は、かなり有用な能力で、それなりの腕前になると、フリーで動くシーフもいるんだって。
なんかかっこいいよね。
もちろん、そんなダンジョンで手に入らられる装備なんて先の話で、そこまでに辿りつく為には、やっぱり装備とかいるんだよね。
流石に浅階層でも浅いところならジャージでも良いかど、それ以降になるとそれじゃあ、通用しないからね。
だから、そう言った装備って、当たり前だけど自分で揃える必要があるんだよ。
中には、親がダンジョンウォーカーだった人もいて、その装備をまるっと引き継げる人もいるけど、うちの場合、それはなかったし、家の方針として、自分のものは自分で手に入れるっていう鉄の掟もあるからね。
それに、今、うちの家、武器(特に刃物)は、父さんに禁止されてるから、母さんと一緒に、家を壊してしまったから、それ以降は、持ち出しも、特に僕が使うのも禁止されてる。
一応、僕は剣は母さんに教えてもらってたから、それなりの武器は今も家にはあるんだけど、ともかく使用は禁じられてる。
その辺は気持ちを切り替えてるんだけど、だって、装備を求めるのも、選ぶのも、見に行くのも、それはそれで醍醐味あるし。楽しいし。
だから、結構な頻度、ホームセンターに行って、ダンジョンウォーカー専用ブースで、物色はしていた。
僕の場合、『ホーマック』が近くにあるから、割と通って装備品を見てたよ。
あ、ホーマックって、北海道ご当地のホームセンターで、普通にダンジョンウォーカー用の装備品売ってるから、剣とか鎧とか盾の類もあるから。
でも高いんだ。
カッコいいなあ、使えそうだなあ、ってのは、例外なく高い。
だいたい、普通に使えそうなロングソードって、在庫処分とか、型落ちとかで3万円くらい? ちょっといいのになると10万円はかならず突破してる。
でも破格って書いてある。僕の方が壊れそうになる。
うわ、カッコいいバッソ(バスタードソードの略)だなあ、って、値段を確認してみると、20万円くらいはザラだし。
でも、まあ、ダンジョンで自分の命を守るためだから、それなりの値段がするのは当たり前で、それに、そこそこ使える武器は、生産にも時間がかかかるみたいで、費用対効果を考えると、まあ、当たり前の値段だよなあ、とは思う。
それに、多くのダンジョンウォーカーがそうである様に、僕もまたそうなんだけど、最終的に持ちたい武器は、ダンジョンの宝物の中からではなくて、ダンジョンの宝箱から出て来るであろう貴金属類を売って儲けたお金で、手に入れたいっていう、みんなが考える定番な剣ってあるんだよ。
それが、『河岸製作所』の『河岸直人の剣』、俗称『カシナートの剣』なんだ。
もう、ダンジョン深階層御用達って言われてて、単純な切れ味だったら、ダンジョンの宝箱、それこそエリアボス級のモンスター、エルダーとかエイシェントとかの落とす宝箱から出て来る『伝説・伝承』級な、誰でも知ってる有名なエクスカリバーだの、グラム、アロンダイトだの、って言う聖剣となんら引けはとらないし、むしろ、ダンジョンウォーカーとして扱うなら、バランスとしてはカシナートの方が上って言っても差し支えはないくらいの、いわゆる科学と長年における技術で作られた、名剣なんだ。
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