第44話【ダンジョンに出会いを求める人達】
7丁目ゲートは、直接中階層に降りることができるゲートで、主に、『冒険者』と呼ばれるダンジョンウォーカーの人たちが利用するゲートと言われている。
だから、観光目当ての修学旅行生とかもいなくて、本当にダンジョンウォーカーが利用するためだけのゲートって言えるかもしれない。
それを言うなら中島公園南ゲートも同じかもだけど、あのゲート確か深階層に直接行ける扉があるからね、でも周辺施設の影響で、以外に観光客が多くて混んでいるって言われている。7丁目ゲートにはお土産屋とかもないしね。むしろサッパリしているゲートなんだよ。
地下に降りると、大広間と言われる概ね体育館のに倍程度の大きな空間に出る、その周りには、四角い大広間の3面に、4枚づつ合計12枚の扉がついている。南が中階層の浅階に直接行けるみたいで後は中階層1階から順番に階段でだね。
で西側が中階層の中層、北側が中階層の深層に直接行けるようになっている。そして東に扉じゃなくて、口を開きっぱなしの開口部があって、それをくぐると、奥に部屋があって、さらにそこにある扉を開くと、そのまま中階層の最深部、つまり、深階層の1階手前まで行けると言う便利な場所に着く。
ちなみに、南面の階段以外の移動方法は、部屋自体が動く仕組みになっていて、扉をひらいて、中に入って中から扉を閉める自動的に起動して、入った人間をその階まで連れて行ってくれる。まあ、ぶっちゃけエレベーターだよね。
でもその動く部屋の大きさと、造り、室内は床も壁も概ね石材とかで構成されているんだけど、それがガッガンと動いて行くわけだから迫力と言うか、趣というか、その辺から来る違和感は否めない。
そんな便利なエレベーターも、『浅階層のジョージ』を倒していないと利用できないらしい。倒して無い人が乗ると、エレベーターが起動しないんだって。何度か試した人がいたらしいんだけど、頑として動かなかったらしい。
一体どうやって『浅階層のジョージ』を倒したかどうかを判断しているんだろう。もちろん、入り口に改札なんか無いよ、それを判断する門番もいない。まるでダンジョン自体が人を視認して選別しているみたいって言う人がいるけど、この札幌ダンジョンにはそう言った不思議な力は確かにあるのかもしれないね。
ちなみに、このダンジョンにダンジョンウォーカーという文字どおり、『人の力でダンジョンを』とか言う人たちがいる。この人たちは、移動に便利なエレベーターとかシューターとかテレポーターとかを使わずに、歩いてダンジョンを進む事を推奨している人たちだ。
そい言う人たちが貼ったポスターとかがこの広間には結構な数が貼られている。
「健康の為に階段を使いましょう」とか「2up3down!」とか「一日目標2万歩」とか、まるでどっかのオフィスビルみたいだっていう人がいるけど、僕にとってはこっちが目の当たりにする現実なので、きっとそのうち社会人になって見るであろうオフィスビルが、ダンジョンのパクリみたいに見えるのかもしれないね。
そのほかにも、色々な喚起、概ね注意だけど、なんかいろんなキャッチコピーとか、当時の時代を反映する写真ポスターとか見ていてちょっと飽きない。
そんな壁面を眺めている僕なんだけど、つまりは現在、ちょっと暇していた。
と言うのも、ダンジョンに入ってきた人、出ようとするダンジョンウォーカーの中に知り合いを見つけては声を掛けまくっている葉山さんがいるから、その情報の奪取をこうして見守っているところなんだよ、見てないけど、ポスターとか見ているけど、その中に、真希さんとかいたんだよ、ダンジョンの注意喚起のギルドからの広報のポスターにいた。
現実の真希さんと違ってちゃんと美少女してる。ほんと写真でなら完璧な美少女なんだけどなあ、実在する真希さんって本当に残念でならない。もう、いっそ喋らなきゃいいのにって思う。
方言とかじゃ無いよ、あくまで言動そのものだよ。あの言いたい放題、失言女王だよ。なんかこの前の事を思い出したら腹たってきた。
「どうした真壁秋、何を踊っているのだ?」
気がついたら、その口惜しさが心中をはみ出して、僕の体は思い出し地団駄を踏んでいた。そんなリズミカルな僕を見て喜耒さんがそう声を掛けたと言う訳だ。
いや、踊ってないし。
「確かに、いつもと違うメンバーで、しかも相応の力の持ち主との戮力協心すると言うのは心踊るものはあるな」
とご機嫌な様子で言う。
ん?、どう言う意味だろ? 戮力協心??? まあ、そうだね、うん、その通りだよ。
「心と力を合わせて頑張るって事、喜耒さんも真壁くんにあんまり難しい言葉をつかわない」
ああ、そう言う事だね、初めて聞く言葉だけど、なんとなくフワッと受け止めていたから大丈夫なんだけど、しっかりと葉山さんが解説してくれたよ。なんかいつもの角田さんのポジションにいてくれているみたいな感じだね。