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第42話【意地悪言う葉山さん、葉山さん?】

 やっぱりパーティーリーダーってこうでないと、もう葉山さんに一生付いて行きたくなってしまうくらいの心強さだよ、ほんと、今までの僕ってヘナチョコだったんだって、気づかされて恥ずかしいよ、穴があったら入りたいよ、ってそこはダンジョンに入るからいいのか。


 「じゃあ、武器と防具の総点検、異常ないなら申告いいよ」


 ああ、そうか、そんなこともしなきゃなんだ。


 僕は慌てて、剣と、ダンジョンウォーカー用のジャージとかを見回してみる。


 ちなみに、いつもフルプレートな喜耒さんは、僕と同じようなジャージに、多分だけどポリカネード製の手甲と胸当てをつけるかなりラフな姿、それに剣もカシナートじゃなくて、結構小ぶりのロングソードだった。


 ギルドの仕事じゃないからこんな格好になるのかな?


 加えて、葉山さん、いつもここから潜っているようで、貸しロッカーから、ポンチョみたいな服をかぶっている、よく見たら、鎖帷子だ。でもこっちも金属じゃあない、なんだろ、もっと軽くて真っ黒だけどキラキラしている。セラミックみたいな感じ? 角田さんじゃないからわからないけど。武器の方はその鎖帷子に覆われてしまってよくは見えない、ちょっと大きめの剣かな、それと短剣みたいな物が2本見えた。でも確定には至らなかった。


 「これダンジョンアイテムなんだよ、『黒の鎖帷子』一応、深階層で見つけたやつ」


 とまじまじと見ている僕に親切に答えてくれる葉山さんだ。


 そして、僕の姿を見て、葉山さんは、


 「真壁くんはジャージなんだね、でも普通のジャージじゃないよね」


 と僕の着ているジャージの肩のあたりを摘んで、


 「わあ、なにこれ、新素材? なんか、この手触り新鮮」


 と驚いている。


 「確かにギルドのものとも違うみたいだ、これはあれか、大柴マテリアルの供与によるオリジナルなのかな?」


 と、言いながら喜耒さんは、僕の首まであげたファスナーを下ろして、裏地まで確認する。

 

「すごいな、一体、何層になっているんだろう、肩と胸のあたり、二の腕までは随分と厚いな、一見すると普通のジャージにしか見えないが、これは確かに代用鎧と言ってもいい堅牢さだな」


 「インナーの方はどうなってるのかな」


 葉山さんは僕のジャージの下に着ているシャツを引っ張り出したよ。


 「あれ?普通だ、下は?」


 って、葉山さん、ズボンを脱がせようとしないで!


 「わあ、ちょっと!」


 さすがに抵抗させてもらうよ、なんかもう、この2人に服を脱がされかねない勢いで、解剖されそうな僕がいる。


 「この布みたいな感じだと、打撃とかに弱いようだよね」


 「ギルドの方は衝撃硬化素材を使用しているから、多分これも同じだと思う、いや手触りと厚さからするとそれ以上か?」


 「なんで真壁くんがそのギルド上位互換のジャージを持ってるのよ、あ、そうか、東雲さん関連で流れてるのかな? お父さん確か公安の人だもんね」


 と言いながら、僕を丸裸にしようと、ジャージを引っ張り放題だよ、この2人。


 「真面目にやめて」


 と比較的に大きな声で言うと、この2人、この後この行動がどのような結果になるかに気がついて、


 「あ、ごめん」と「すまない、つい」とそれぞれが答えて、僕の公開解剖は終わりを告げる。ああ、よかった、この2人結構力が強いよ、割と本気で抵抗したよ。


 そして、葉山さんは僕の右手に持ってる剣を見て、 


 「随分、さっぱりとした剣だね、鞘とか無いの? ダンジョンアイテムってわけではないみたいだね」


 確かにこの剣、他の剣と違って装飾って一切施されてないからね、あの無駄の無いカシナートですらそれなりの飾りはついているんだよね、一応、剣としての強度や性能のためらしいけど、それなりについている。そんでもって、ダンジョンから出てくる、最も中階層の大分深部の方だけど、その辺から出てくる武器ってみんな派手なものが多い、そんな武器を見慣れているなら、僕のこの剣はスッキリしてるって言うか、葉山さんの言う通りさっぱりってのが的確な印象かもしれない。


 「うん、一応、僕のものなんだけど、厳密言うと借り物」


 「やっぱり東雲さん関連?」


 まあそうと言えばそうだけど、違うと言えば違う。でも、冴木さんは札雷館て、春夏さんのお父さんの部下って事だから、ザックリと考えると概ねそうだと思うので、


 「うん、まあ、そんな感じ」


 と答えておいた。


 「東雲さん依存でダンジョン潜っているって感じだね、真壁くんは」


 確かに、頼っているって言うのは間違いなから、


 「そうだね、春夏さんには頼りっぱなしだよ」


 「そりゃあ、好きな男の子に怪我とかして欲しく無いからね、装備だって大盤振る舞いだよね、真壁くんは東雲さんにもっと感謝しなきゃだよ」


 なんか、ツンとして葉山さんが言う。


 いろんな齟齬がある。でもこのジャージの出元とか、僕の剣の入手経路とか、面倒臭いから一々是正はしなかった僕だけど、多分、きっと葉山さんは根本で大きな誤解をしていると思う。その辺から誤解を解かないとならないなあ、と思っていると、


 「ごめん、意地悪言いました」


 って葉山さんが言うんだよ。


 僕としては、何を? って感じだ。


 装備の事とかの誤解はあるけど、僕自身、春夏さんや角田さん頼みでダンジョンに潜っているのは間違いないから、葉山さんの言う通りでいいんだけどな、ちょっと人間関係での誤解はあるけど、そうだよ、春夏さんに頼ってるよ。


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