第41話【委員長(葉山さん)と一緒③】
いつも4丁目ゲートを利用する僕らな4丁目で降りているから、2駅も手前の駅なんだけど、7丁目ゲートに行くにはこっちの駅の方が距離はあるけど早く行けるんだって。ここから先は、ススキノと狸小路に止まるんだけど、信号機や人の乗り入れのタイミングで結構なタイムロスがあるらしい。それに路線も大きく迂回するしね、僕の覚えておこう。
で、本当に驚くほど早くついて、僕らは7丁目ゲートに入って行く。
4丁目ゲートよりは小ぢんまりとした作りだけど、ルートが分かれていない分、ダンジョンの入り口は小さいけど、二階建てになっていて、上の階に一度登ってから、地下に潜るような作りになっている、ちなみにここには無料のロッカールームとか、コーヒーとか軽食を食べられる施設もあってコンビニも併設されている。セイコーマートだよ、ホットシェフもある。
4丁目ゲートより新しいゲートだから、ゲート内には色々あるけど、こっちは直接中階層だから、全てはダンジョンウォーカーの為の施設だね、4丁目とか、中島公園の場合は観光目的な施設とかもあるから、おみやげ屋さんとかインフォメーションとかないから、割とゴミゴミはしていないって印象がある。
その2階部分の休憩できるスペースで、いきなり委員長こと葉山さん中心でブリーピングが行われる。
「じゃあ、始めるね、今日の目的は、鍵師『久能次男』の捜索、もしくはその足取りの探索、目的地は、中階層の浅部から真ん中くらい、B20〜B45層くらいを目標に、通過階はなるべく飛ばして進みます」
こんなことしたことないから、もう頷くしかない。
「陣形は、V字で、前を喜耒さんと真壁くん、後ろは私でいいね」
僕、というかいつも僕たち適当に歩いているよなあ、陣形なんて考えた事ない。
普通のダンジョンウォーカーのパーティーってこういう打ち合わせをきちんとやるんだね、なんか勉強になる。ちなみに僕らの場合はどういうわけか、魔法スキルの持ち主である角田さんが先頭になることが多い。春夏さんは大抵僕の後ろにいるし、僕、真ん中が多い気がするな。なんか僕らって問題外なパーティーかも。
「その場合、後ろから襲われたら、葉山1人っで対応ってことになるが、逆の方がいいと思うが」
「中階層だからね、後ろから襲われることはないと思うよ、多分、私、中距離だから、その辺は上手く対応できるから、それより前から強引に押し込まれた方が困る、前からは力で押し返してもらいたいから、後、前後の距離はこっちで適当にとるから任せて」
喜耒さんは納得したように、
「まあ、そうだな、3人だからな、了解した、いいな、真壁秋」
もう頷くしかないよ。うん、大丈夫、やれるよ多分。
「で、もし、この3人のうち1人でも逸れたら、その時点で探索は中止、残った人間はその時点から地上を目指す、でいい?」
こんな事まで決めておくものなんだね、本当にいつも僕たちなにも考えずに潜っているよなあ、って恥ずかしくなる。キョドッている僕の横でさすがの喜耒さんは頷いている。やっぱ慣れているダンジョンウォーカーって、こんなんなんだ。
「損耗と、怪我の程度はどうする、今回、我々にヒーラーはいないぞ」
「怪我が出るってことはその時点て、その階層がパーティーの対応力の限界だから、引き返しでいいかな、怪我の大きさに関係なく、そこまでって事でいいと思う、だからちゃんと自己申告してね、無理しないでね」
と僕の顔を見て葉山さんは言った。
なんか心配されている。葉山さんは春夏さんとは違った心配の仕方をしてくる。とっても新鮮な感じがする。
もちろん、うなづくしかない僕だったよ。