第23話【エルダーなんて、ずっと先の話だよ】
本当に、すごいんだ。この人、絶対に僕の事を好きなんだ。ってのがわかるくらいの怒涛な愛情?
それを前面に出して、まったく隠さない感じ?
むしろ全開な感じだよ。
人の気持ちを読めるから、きっと今の僕の感情だってわかってるのに、そのことについてはもう口を出しては来ないんだ。
僕のこんな勝手な思いにも否定もしないしさ。
好きに思え、好きに考えろって、何もかも自由に放置されてる気分だよ。
そして真希さんからは放射して来るような好意に、善意に、どことなく期待感?
でも、それは決して女子が男子にって感情ではない。本当に、こっちは毛ほどもないってわかる。
変な言い方だけど、母さんじゃない母さん? 父さんじゃない父さんといるみたいな?
例えていうなら、うーん…、なんだろう、僕が知らないでも僕を知ってる親戚のおばちゃんかな? うち、あんまり親せきとかいないけど、稀に見る父親側の親類ってこんな感じかな、やたらとお小遣いくれようとするしさ、親愛の情が、肉親以内的な纏わりつくような、自分の生存圏内の中に来れれてる、自分の体温にも似た生暖かい愛情にも近い気がするんだ。
実際匂いのする、そんな感情で認識。
どうしてそう思うのかって、おかしな話なんだけど、僕、また変な事をいうようだけど、真希さんって初対面じゃないような気がするんだよ。
特に思うのは、確信できるのは、見た目とか、声とか、そんなものじゃなくて、息の匂いなんだ。
あ、真希さんの口臭が臭いって、そういうわけじゃないよ。
でも、僕は、この匂いってか、はっきり言うと唾液の匂いをよく知ってる気がする。もちろん、母さんともちがうけどね。
だから不思議な感じなんだ。
そんな匂いを知ってしまう僕にとって、この時点で真希さんは僕にとっての親くらいの関係性とかを感じてしまう。
へんだよね。ここ最近、僕の事を知ってる、僕がどこかで親しいって感じる人が、僕が知らない、そんな人が一気に増えた気がする。
で、今日が初対面の真希さんだけどさ、この短い接触時間の間に、僕の中ではすでに、『逆らってはいけない人』カゴテライズされて、種級としては、「母さんクラス」に分別される。本当にびっくりするくらい、ストンって入ったよ。もうこの場所しかないってそんな適合率だった。
うん、この人、きっといい人には間違いないんだけど、決定的にヤバイ、って原因も理由もわからないけど認定になる。僕的に決定になる。
そんな僕を、そう心構える僕を見て真希さんは、
「アッキー、仲良くしような」
っていうから、もちろんだよって思う。他の選択肢が無いんだもの。
それにしても、エイシェントモンスターなんて言葉をダンジョンに入って早々に話の上でも聴けるとは思わなかったよ。
だって、彼らが跋扈する深階層なんて、もっと先の話だからさ。
そんな天変地異ともいえる凶悪なモンスターが実在する北海道ダンジョンなんだど、救われているのが、そのエルダーやエイシェントは、数がそんなにいないって事で、みんな『部屋持ち』って言われるエリアボスなので、歩いていてバッタリってパターンは絶対に無い。こっちから行かないと会えないって形になってるから、その辺は安心なんだ。
まあ、僕がそんなエルダーだの、エイシェントだのに会えるのはもっと、いや、かなり先になるけどね。
この浅階層にエルダー以上が現れたことなんてないから、もしそんな事件が起こったら、ここにいる真希さんをはじめとしたギルドが対応するから、もう、一般な普通のダンジョンウォーカーの出る幕なんてないよね。
完全なフラグですね。
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