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第22話【エルダーとかエイシェントとか】

 僕の背中にぶら下がりながら、と言っても真希さんと、僕じゃあんまし背が変わらないから、しっかり足を上げてぶら下がってるよ。


 そして、そんなかっこで僕の耳元で叫ぶ。


 「お前、余計な事言うなよ、アッキーが怖がるべ!」


 って、角田さんに怒鳴り返してから、僕の方を見て、今の僕の表情を見てから、


 「あいつ、いちいち言うことがデカイんだよ、嘘に決まってるべさ、だべ、アッキー、エイシャント級を締め落とすとかはやった事ないべ、エルダー級がせいぜいだべさ」


 って言った。


 ちなみにエイシェント級もエルダー級も、このダンジョンに実在するモンスターのタイプと言うか、等級みたいなもので、つまりはその強さを表すもので、つまりドラゴンにも、悪魔にも、あのゴブリンにすら、スライムにだって、エルダーやエイシェント級はいる。両方とも、このダンジョンの深階層のその奥にいる。


 これは最近になって言われてる事だけど、かつて北海道を襲った『北海道ダンジョンブローアウト事件』、ダンジョン内のモンスターがダンジョンから溢れて、外にばらまかれた事件だけど、その時地表にばら撒かれたモンスターの中にドラゴンのエイシェント級が、たとえ一匹でも混ざっていれば、札幌の街は壊滅していたって言われてる。


 これは、北海道ダンジョンの研究の第一人者であり、数々のダンジョンの謎を解いた、『佐藤 和子(さとう かずこ)』博士の言葉で、『主に警戒すべきは、モンスターの数ではなくて種別だ』って言ってたから。

 

 エルダー級をまちがって外に出したら、札幌の街はほぼ怪獣映画さながらの災厄にみまわれるだろうって、預言じゃなくて予想されてる。


 そして、それこそが、ギルドとしての大きな責務の一つって言われてるんだ。


 ダンジョンウォーカーの安全や健康以外にもダンジョン内の監視と警戒だね。


 ちなみに、エルダーの中にエイシェントがいるって言うのが今のダンジョン内の認識で、その実力はどっちも変わりがないとも言われている、だから、エルダー級ならって言う真希さんの言葉って、つまりは大同小異って事で……


 この人、エイシェントドラゴンを絞め殺せるんだあ……。


 さっきも、『やったことない』って言ってたから、『できない』とは言ってなかたもんね。


 驚いて、思わず真希さんみちゃったよ。


 それが事実だとしたら、どエライモンを背中に着けてるって、普通に驚愕してしまう。いつの間にかおんぶみたいな感じになってるしさ。


 「ほれ、アッキー、レディをそんな目で見るもんじゃないべ、女の子はもっと優しく見守るべさ」


 って、ほんのりと優しく言われて、「あ、はい」ってなる。


 おかしいな。


 いや、未だにドキドキはしてるんだけどね。


 なんか、さっきから、心臓の鼓動が早くなる理由が違ってきてる気がするんだよ。


 いや、本当に、これなんだろう?


 やたらと汗も出てくるし。


 逃げ出したい衝動ってあるじゃん。まさにそれもあるんだけど、下手な動きしたらやられるって、それも高らかに思うんだよね。


 よく母さんが言ってたけど、ダンジョンの中で一番やっかいなのは、モンスターでも罠でもなくて、人間。


 スキルや技能を身に着けた人間て、モンスターとは異なり上限が無いんだそうだ。つまり鍛えると、ダンジョンで戦えば戦うほとに強くなって行くって話らしい。


 そして、特に警戒しなくてはならないのは、敵意も害意もない、こちらが理解できない意図として形にもならない好意にも近い感情をもって接して来る人だって母さんは言ってった。


 マイナスからゼロに引きあげるのはいい。でも、ゼロからプラスにしてやろう、なんて言うヤツには気をつけろってことだ。


 もちろん、ここにいる真希さんが、母さんの言う、『警戒しないといけない人たち』に適合するとは思わない。彼女が僕に対して接して来る感情に濁りなんてものは感じないし、好意以上のなにかを感じるんだ。


 これって、僕の勘違いでも思い上がりでもないよ。


 そして、可能性とか気のせいでもないんだ。


 どうしてか、僕は知らないこの人たちを覚えているんだよ。


 ふと微睡む意識に記憶。


 でも、微笑んでる春夏さんを見てると、不思議と安心する。


 今は、何も知らなくていいやって、そうなるんだ。


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