第35話【弾き出された記憶】
多くのダンジョンウォーカーは、装備品をなくしたりしていて、問題にはなっているみたいだけど、今回、巨人と遭遇して、その首謀者の可能性のある『少女』て出会っているのは僕らだけ見たい。
一応、一通り報告はしておいた。
黙っていても仕方いないしね、他に犠牲になうような人も出ても嫌だから。
その中で、「正式な『手順』も無しでエアジャイアントを倒したってかい?」
例の巨人の倒し方のセオリー無視について真希さんにも驚かされていたよ。
概ね、巨人が配置されるのって、『無関係者は立ち入り禁止、この場所に手を出すな!』的な意味があるらしく。それを力でねじ伏せるってのは、ほぼほぼルール違反らしいから、今後は気をつけてダンジョンを楽しめって言われた。
それに僕自身、それなりの推測もあった。
「あれって、ダンジョンの制作側の方の禁忌に触れてしまったんですかね、宝箱の用意している最中に、扉を開けてしまったみたいな感じで」
やっぱさ、三方六とかわかさいもとか白い恋人とかを詰めている人っていうか、宝箱を用意したり、ダンジョン内のゴミを片したり、そういう仕事を地道にこなしている人がいるんだよ、北海道ダンジョンいはきっと。
その現場に僕等ちは居合わせてしまったって事なんだよ。
「いや、そんなわけないべ、少なくとも、アッキーが出会ったその小さな女の子は、ダンジョン側の『運営側』の人間じゃあないよ、多分ダンジョンウォーカーだべね」
と真希さんは言った。本当にあっさり否定された。
続けて、
「誰か何かをやっているんだべね、ダンジョンを利用して、前のレッドキャップの事も気になるしな」
そう言って考え込んで、
「アッキー達は引き続き中階層でうろうろするんだべ?」
「はい」
って返事をすると、
「こっちも、なるべく人員を割いて、警戒してみるよ、中階層と言っても、あの辺はまだ浅階層に毛が生えたみたいなもんだからね、新人ダンジョンウォーカーが狙われているのかもしれないしね、また新たに何かわかったらギルドに来るといいべ」
と言われて解散になった。
良かったっよ、最後の方はきちんと仕事してくれたよ真希さん。
ギルドの事務室を出るときに、急に真希さんが、
「あ、そうだ、アッキー、宝箱の罠の件だけど」
お、誰か鍵開けできる人とかギルドの人が随従して一緒に行ってくれるのか? なんて期待したら、
「外注にするつもりはないかい?」
って言われる。
外注?
意味がわからない。
「お前達のパーティーはただでさえ戦闘特化してるべ? 攻撃能力と殲滅力はあるけど、他全然だべ、だから時折出る高価だなって思えろうな宝箱の開錠を外注にしてみるといいかもって思って、知り合いに声をかけて見たんだ、お前達、強いけど間抜けだべ? ワザと罠を発動させて変な宝箱の開け方して『上手く行った』とか思って階層を深めたら、どこかぜ全滅しかねないべからね」
ハッとしてドキッとして、僕等の事をきちんと考えてくれている真希さんの優しさにグッときて、さらにちょっと言葉の端々にはムッとしてしまう僕だよ。
真希さん曰く、すでにその人物には声をかけていて、その人物は僕らを探して声をかける様に言っておいてくれたみたいで、出会ってないか、そんな事を聞かれたけど、さっぱり記憶がなかった。
きっと、これから会うのかなあ、なんて考えてした。
それにしても、強いはいいとしても間抜けって、ひどくないかな? と腹を立ててみるも、この強いけど間抜けってフレーズってどこかで聞いたような、気のせいかな、それとも他にもこんなことを言っている人がいそうだから、ある意味悪評に慣れたのかな。ともかく、どこかで最近、耳に触れたような言葉だったんだ。
そして、真希さんは僕に告げる。
「名前は、久能 次男、ツギって呼ばれている、ちょっと不気味で薄気味悪奴だけど、悪いやつじゃあないよ、がめついけど、フリーな奴だからそのうちあっちから接触してくるだろうさ、モンスターと間違えて切っちゃダメだべ」
と教えてくれる。
大丈夫、僕はともかく角田さんが覚えてくれるから、「角田さん、覚えた?」って尋ねると「いや、秋さんも覚えてくださいよ」って言われつけど、僕よりやっぱり角田さんだよね。こういうことは。
ひとまず、今日は色々あったけど、みんな無事。
いきなりの正体不明な敵からのイジェクトには驚いたけど、無くした物も失なった物も
忘れてしまった物も無し。
明日もまた中階層に潜るけど、その『久能 次男』さんに早く出会えるといいなあ、だって、罠を解除する専門家なんて今ま出会ったこともないからさ、こんな風にこらからダンジョンの生活も色々と深まって行くんだるな、なんて考えてワクワクしている。
でも、今更ながら思い出してしまう真希さんのライトピンクなブラとパンツ姿は早く忘れようと、そう思ったよ。本人は凹凸が乏しいなんて言ってるけど、あれは鍛え抜かれたいる肢体だよ、無駄な物を削ぎ落としたって感じのね、腹筋も割れてたし、とても綺麗な体じゃん。作り上げた優秀の美って言えると思う。本当に凄かった。河岸さんも可愛かったし。
なんか、今になってドキドキしてる僕がいるんだ。
「秋さん、もう一回、イジェクトされに行きますか?」
角田さんが僕の心中の何処に察したかはわからないけど、その提案は遠慮しておくよ。
さ、余韻の冷めないうちい、早く帰ろうね。