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第30話【ひとまず失ったものは何もなし?】

 いきなりギルドの女子更衣室に飛ばされて、慌てているのもあるけど、気になっているのは、みんな無事なのかどうか、思い出して自覚して、慌てていると、外の方から、


 「秋さんー!」と言う大きな声。あ、角田さんだ。


 「角田、ここは女子更衣室だべさ、入ってくんな!」


 多分、開きかけた扉(内開き)を真希さんに蹴られて、聞いたこともない悲鳴を上げて、角田さんが吹き飛ばされてゆく。


 角田さーん!


 「たく、何考えてるべ? なあ、アッキー」


 って同意を求められるも、え? ってなる。僕だって男だよ。


 「ここは、男子禁制だよ、アッキーと、可愛子ちゃんだけ、ギリだべさ」


 僕、いいんだ、え? 可愛子ちゃんて?


 「秋様、ここ女の子臭い、早く出ましょう」


 何時ものことだけど、今までどこに居たんだよ、って感じで桃井君が当たり前のように出て来て、そのまま外に出て行ってしまう。そして入れ替える様に、春夏さんが入って来た。


 桃井君の突然の出現に、河岸さんもびっくりしてた。


 もう影に潜むとかのレベルじゃないよね、河岸さんのスキルても僕に寄り添う桃井君は発見できなかったから、異なる動物が一体の動物の様に寄り添う、もはや寄生のレベルではないかと。


 「秋くん、無事? どこもおかしいところとかない?」


 と春夏さん、僕の体を満遍なく見回し、角度の悪いところは持ち上げて確認して、さらに納得がいかないところは触診して、異常の有無を総点検して、得心いった様で、ホッとして居た。


 ひとまず、僕らはギルドの事務室の方に場所を移した。


 そこで聞いた話。


 ひとまず、僕らは強制的にテレポートをされたらしい。


 ここで問題なのが、その種類と言うことだ。


 一つは、この前のラミアさんの時、シリカさんが出したゲート。


 異なる場所を繋ぐやつだね、あのかの有名なロボット工学な物語で狸型のロボットが多層空間に繋げられた搬入出口から出す、『どこでもドア』だね、あれは入り口も出口も安定した場所に繋げられているから日常の移動くらい安全。


 次が魔法スキルによるテレポート。


 あくまでダンジョン内の範囲の中で限定された場所への移動。


 これも安全、なぜならスキル使用者が確実の行った場所、そしてその場所の現在状況がわかるから、多少、瞬間移動による『酔い』みたいな状況に陥ることもあるけど、よっぽどのことがない限り全く安全。


 そして、次がトラップによる瞬間移動。これは最初からどこへ飛ぶのか確実に決められているので安全、すごろくなんかの数歩前に戻るみたいな感じで、戻る部屋はきちんと用意されているので、1つのパーティーで飛ばされたとしても、概ね固まって移動して確実に安全に現在いる階よりも上層の階に飛ばされるから大丈夫らしい。


 そして最後が、今回、僕らがやられたランダムテレポート、どうもそれはダンジョンウォーカーの持つスキルではないらしい。僕らダンジョンウォーカーではなく、敵側、つまりモンスターが持つ能力と言う話だった。これはどこかに移動すると言うよりは、その場所からその人間を排除する事を目的として使用されるって言う話だ。


 よって、テレポートとか瞬間移動なんて言われずに『イジェクト』なんて一部では言われている。


 真希さんも言っていた。


 つまりそこから排除することが目的だから、使用された人間がどこに行こうと知ったことではないよね。


 で、このイジェクトの恐い所は、適当に飛ばされるって事。


 飛ばした方も全く遠慮とかないから深い層に行ったり、いきなり土の中にいたり、壁に中に移動されたりって事もあるらしい。


 よく言うよね、『石の中にいる』ってヤツ。そしてもう一点、イジェクトで飛ばされた場合、時々『忘れ物』をしてしまう事があるらしい。持ち物、武器とか防具とはもちろんなんだけど、時折、自分の体の一部が抜け落ちてしまうらしい。つまり、体の一部、部位のことらしいんだ。


 中には内臓を半分くらいやられた人とかもいて、手足なんかも前例があるらしい。そして、さらに、性格の変化やら記憶やらが抜け落ちてしまうこともあるって話し。


 だからさっき真希さんは僕の体のことを河岸さんに調べてもらったり、色々と詳しくもないけど聞いて来たりしていたんだね。納得。


 もともとモンスターの攻撃の種類の1つって考えれば、こんな不合理もあり得るって話だよね。


 「したっけ、この『イジェクト』な、普通はここまで遠くに飛ばされる事ってないんだべ」


 と真希さんがそんな事を言った。


 僕らがやられたのはイジェクトで間違いない、でも通常の移動範囲はせいぜい飛ばされても2フロア分くらい、でも僕が飛ばされたのは中階層から一気に地表に近い浅階層のギルド本部、春夏さんは鏡海の間、角田さんは中階層の真ん中くらい、通常の瞬間移動系の能力では、ここまでパーティーを分断して飛ばすことはできない。


 一人一人飛ばしたって考えるのが正解かもしれないけど、この瞬間移動の魔法スキルは発動に時間がかかって、かなりの大人数の人が一気にかからなければ、あの程度のタイムラグで複数回の使用は難しいと角田さんが言っていた。


 それに真希さんは言うんだ。


 あの時の僕は間違いなく飛ばされて来た人間の顔だったって、それは経験上わかるらしい。


 しかし、その時僕が見たのは1人。僕はその時、謎の少女の介入を見ている。彼女が僕を飛ばしたのに間違いはない、つまり、僕はこのモンスターの能力を誰か人の手によって行われたって事になる。


 色々解せない。


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