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第26話【滝を斬る、だからブレスも斬れる!】


 とか話している間に3撃目が来た。なんとなく距離がわかって来た。けど、この部屋、この巨人に対しては狭いから、逃げられる場所って限られている。角とかに追い詰められたらおしまいだ。注意しよう。ってか、そろそろ積極的にこの状況を打破してゆくこと考えないと、多分、ジリ貧になる。


 「具体的に、今までの例から巨人の弱点てどんなのがあったの?」


 「特定の武器の使用、状態の変化、特定部位への攻撃などです」


 「アイテムいるのはどうかと思うけど、その他の物を試して見ない?」


 「ひっくり返してからトドメを刺す、目を狙う、拗ねやアキレス腱を傷つける、耳の後ろにある穴を塞ぐ、数え上げて組み合わせてもゆうに100通りは超えますよ、秋さん」


 全部やってみるかな、でもその間にこの巨人の攻撃が何回来るんだろう? まともに当たったらそこで終わりだなあ。のんびりと色々と試している時間はないかも。


 それにしても、巨人というだけあったデカイなあ、って思っっていたら、急にピタッと行動が止まって、なんか、軽く仰け反り始める、遥か高い顔は上を向いて大きく息を吸って、みたいな感じだ。


 嫌な予感。


 「ブレスです!」


 瞬間僕は、春夏さんを突き飛ばして、前に出る。


 「秋くん!」


 最前列、多分、奴は僕を中心に狙って来る、多分これさっきの石の拡散攻撃よりも範囲が広い。確実に僕を僕、つまり直接攻撃できる人間を狙ったレンジの攻撃。


 だから巨人の顔が近く、確実に仕留めるつもり満々の行動だね。


 絶対に死ぬね、ってこの状況から、ひとまず、この剣に頼ってみる。


 さあ来いって感じ。


 口を開いた瞬間、高圧に押し込まれたブレスが吐き出される。よかった。氷とか炎だったら余計なエネルギーが加算されて結構なダメージ食らったかも、この巨人、多分、空気圧のブレスを吐いてくる奴だ。なんだ空気かって思うかもしれないけどさ、圧縮された空気とともに無数のう空気の刃が襲いかかる。


 吹き飛ばされた上に切り刻まれるって内容らしい。何もかもを吹き飛ばす暴風の中に速度と気圧の違う鋼のような硬度を持った無数の風の攻撃、避けようもなく避けようもないので受けて立った。


 この剣が、拓海さんのいう通りの性能だとしたら、なんとかなる。そう思ったんだ。


 最大レベルでの横への薙ぎ払い。


 単純に剣の性能に頼って振り抜けてみた。普通は折れるか曲がる、刃ではなく剣の幅、身幅の方を使うもんだから、空気抵抗もハンパなくて気を抜くと腕どころか体まで持っていかれそうになる。


 残念ながら、僕の斬撃は飛ぶことはない。普通の一閃だ。


 そしてその一閃は、物理として襲いかかって来るものを砕くための一撃でもあった。


 この風が攻撃力として僕らの体に干渉して来るってことは、それは最早ただの空気ではなくて、何らかの武器な訳で、要するにこっちからも干渉が可能ってことで、諦めたりなんてしないで、力で押しで行ってみる。


 確かに手応え、切れたな、風。


 確信して振り向くと、僕の背中から扇状に皆無事だったみたい。


 っと、僕の方は、風の刃の破片みたいなものでジャージを素通りして、腕と足に何箇所か小さい切り傷を作ってしまったみたい、決して深くはないけど、ちょっと不意に痛みが来たんで顔をしかめてしまう。


 そして剣を見ると、無事だ。


 前というか、かつてなら剣を振る速度にその剣の塑性限界でボッキリって事がほとんどだったのに、ちょっとした狂いも出ていない。一体どんな硬度してんだ、この剣の素材。


 「秋様、今のは一体?」


 何が起こったのか把握できない桃井君がただでさえ大きな目ををさらに開いて訪ねて来た。 


 「小さい範囲だけど、風のブレスを相殺してみようと、一部は失敗したけど概ねうまく行ったみたい」


 「マジにブレスを切ったんですか?」


 って、角田さんの方は、見て確認しているけど、そう訪ねて来た。


 「うん、この剣の性能のお陰。壊れてないってさすがだよね」


 って言ったら、


 「いやいやいや、普通は実行できないですよ」


 そうでもないんだよね、一応、これでも真剣持たされた日から、藻岩山の滝を切るのは日課になっていたからね。滝なんてきれるわけないじゃんって思った僕が思いついた一つの方法で、一応、このやり方だと滝は切れる。でも大抵の剣は壊れる。でもって怒られる。 


 「普通、真剣持たされたら、やらされるよね? 滝を斬るヤツ」


 って多分、僕の唯一の味方である春夏さんに同意を求めるも、物凄い勢いで首を横に振られる。ああ、そうなんだ、なんか僕の日常って日に日に崩されて行くなあ。


 「ほら、空気って、圧縮性流体じゃん」


 って言ったら、


 「多分そういう問題では無いと思いますよ」


 と、角田さんが言う。その間、桃井君は、僕の周りを跳ね回って、「すごい秋様」って賛美を送りつつけれくれるんだけど、みんな、まだ何も終わってなよ。


 ってか、ブレスを防がれた巨人は、今度は再び棍棒で襲って来た。


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