第25話【対エアジャイアント戦】
そんな雰囲気を感じ取ってか、春夏さんは僕をかばうように前に出る。
え? これって結構ヤバめの敵って事? ここ中層階だよね。またまた、まさかのエルダー級なのかな、今度はラミアさんみたいじゃなくて、敵対的な、そうだよね僕ら彼の守っている宝箱を開けようとしているんだから。
「1000分の1の確率も起こりえない完全な魔法抵抗です、攻撃魔法を扱う場合については打つ手はないですね」
と、角田さんが旗色悪そうに言う。
「さて、物理がどこまで通用するかどうか」
って言うが早いか、春夏さんがもう切かかっていた。
ゲイン!、みたいな音して派手に弾き返されている。攻撃した力がそのまま春夏さんの腕に返ってきたみたいで、その反動を殺すために、大きく後ろにセットバックした。
「春夏さん!」
「私は大丈夫、逃げられない?」
その質問を受け取るのは角田さんで、
「無理だ、空間は閉鎖されている、こいつを倒さないと次の条件が現れない」
なんだなんだ、そんなにやばい状況か?
そして、敵はゆらりと動いた。
なんか、とっても遅いなあ、ってう攻撃。
余裕で避けられるか? なんて思っていたんだけど、その攻撃範囲と攻撃力が半端なっかった。かなり余裕を持って避けたはずなんだけど、石の巨大棍棒の一撃の攻撃範囲は、まるで広範囲魔法のように、棍棒の着弾点より中心に床と大気を伝搬する大きな衝撃が僕らを襲う。
「きゃあ!」
春夏さんの悲鳴。一番後ろの下がっていた春夏さんこのオールレンジな攻撃に対して、ダメージを受けた見たい。そうだ、春夏さんて、攻撃力は鬼だけど、防御力紙だった。相性としては最悪かも。
「春夏さん!」
なんとか交わすけど、砕けた床の石かそれともかまいたち的なものなのか、肩のあたりから鮮血が飛ぶ。それを抑えようともしないで春夏さんは言うんだ。
「秋くん、離れて、なんとかする!」
本当にありがたいけど、春夏さんって、常に僕を守るってスタンスを崩さないよなあ。
そんなに僕、頼りないんだろうか? まあ、春夏さんに比べればほぼ全てのダンジョンウォーカー、特に直接攻撃系はそうなるだろうけどね。
「秋様、巨人族と戦った事ないんですか?、経験がなければこの敵には対峙できませんよ」
とか言われる。ってそんな話を聞いている間に二撃めが来た。ひとまず春夏さんを背中に、その巨人の馬鹿みたいに大きな攻撃力を中心に発生する衝撃波をまともに受ける。避けたら春夏さんがヤバい。
ぐわわ、内臓までダメージがきてる感じ、吐きそう。
「秋くん!」
ってすぐ後ろにいる春夏さんの叫び声が遠い、耳もやられている感じかな。
「大丈夫大丈夫」
とひとまず、フラつくものの春夏さんを安心させるように言う。その間に角田さんが回復してくれた。
ああ、なんか一息。この巨人族の攻撃って、遅いのが救われているよね。攻撃と攻撃の間が長い。体制はなんとか立て直せるや。
「倒す方法とか無いの?」
と回復して元気になった僕が角田さんに尋ねると、
「巨人族の倒し方は『セオリー』があります、その方法以外での撃退というのは多分不可能だと思います」
なんて絶望的な事を言うんだ角田さん。
「でもそのセオリーとかって知ってるんでしょ? どうしたりいいのさ」
角田さん物知りじゃん。
「いや、知りません、と言うか、巨人族って数が多くてその巨人巨人によって攻略方法は千差万別ですから、普通はその攻略法を発見してから挑戦するのが通例なんです」
「普通、巨人が守っている宝物て価値のあるものばかりですから、障害としても大きいです、共通して言えることは、なんにせよ『敗北』を認めさせないと、この戦闘は終わりません、秋様」
と、桃井くんが教えてくれた。この子、割とダンジョンのことは詳しいよね、一般常識とかアレだけど。
ああ、なるほどね本当に守護的な攻略方法なんだね。所謂イベントって奴だね。
つまり僕は絶対不回避な中ボスあたりに、必須アイテムも持たずに無作為に挑戦したって事かな。ゲームで言ったらリセット案件じゃん。
ヤバいじゃん、普通にピンチだよ。
「おがしいなあ」
といつのまにか、僕の横で呟くのはツギさんだった。
「前に来た時は、こんなに大きくなかったげどな」
「それは、本当か?」
と尋ねる角田さん。なんかびっくりしてる。
「ああ、前の時はもっと小さくて、獣みたいな奴だった、犬っぽいのが3匹、匂いは気取られるってビビったからよく覚えてるんだ巨人じゃねえ、こんな無茶は頼まねえよ」
って、ツギさんもなんか責任を感じているみたいな言い方だった。
その言葉に角田さんは少し考え込む。
「おかしい」
「おぁしいですね」
「何か介入しているって事かしら?」
一番さし穂の疑問符は角田さん、それに続いて桃井くん、そして春夏さんが続いた。
腑に落ちないらしい何かがあるらしい。