第23話【シューターという名のすべり台】
僕らに対しての興味が尽きない様で、ツギさんさいろいろと聞いてくるんだ。
「アギは今までどんなモンスターと遭遇したことがあるんだい?」
「最近、中階層に来たばかりですからね、レッドキャップとか。強かったのは」
「レッドキャップって、深階層のモンスターだぞ、あの鎌持った狂ったゴブリンだぞ」
「普通に中階層の初日に出会いました、強かったです、春夏さんがやっつけました」
と春夏さんを見ると、なんか照れて顔を背けられてしまう。
「秋様はエルダーラミアとも対峙されてます」
と言うのは桃井君だ。
「エルダーとも戦って、今普通に俺の前にいるって事は生き延びて来ているって事だがい? それとも一回や二回死んだことでもあるのがい?」
なんかとっても感心されている僕だ。
「いや、対峙だけど、戦って無いし、寧ろ助けてもらったし、仲間みたいな感じかな」
すると桃井君が、とっても嬉しそうに、
「仲間ですか、秋様!」
なんか見たことのないテンションで言うから驚いてしまった。
「本当に、助けられたのは事実だし、彼女、シリカさんまで守ってくれたからね」
あのラミアさんとの出会いは衝撃的だった、僕のダンジョンに関する考え方の根本か変わってしまった日なんだよ。多分、一部だけどモンスターともああして分かり合えることができるって知ったから、僕にとってダンジョンがもっと楽しい所になった訳なんだ。
「そうですか、そうですね、きっとフアナ、喜びます」
って言う。
ん? 誰? フアナって?
脳裏を過ぎる疑問、そしてその事を聞く前に、急にツギさんが立ち止まった。
「この部屋だ」
ん? 同じ階じゃないか。
「ごの部屋にシューターがあって、滑り落ちると例の宝箱とそれを守る敵のいる直前に出るんだ、多分落ちたら俺以外上には登ってごれない、敵を倒して次の扉に進むしがないと思うから、準備はいいがい?」
「中階層も浅い階ですから、大した敵はいないと思います、まあ、この前のレッドキャップも無いと思いますが、秋さんの場合、敵に恵まれますから、嫌な予感しかしないですね」
と、角田さん、不気味な事を言い出す。
「宝物を守るモンスターって、なんか強いのいるの?」
「ゴーレム系とか有名ですね、ただ宝箱に近よる物を排除する為に生み出されたガーディアンもいます、一部の魔法の効きは悪いし、硬いしで、割と厄介な敵です」
一部かあ、での角田さんがいれば安心だよね。詳しくは教えてもらってないけど、ほとんどの呪文を使えるみたいだからね。
「そんなに大きなモンスターじゃなかったなあ、でも強そうってのはわかる」
「特徴とかは無いのか?」
「獣っぽい感じ、でも部屋の中心は宝箱以外のものは煙と闇に覆われて、ヤバいなあっていうのは感じるんだけど、俺の目でもよくは見えないんだ」
「どうします、今ならまだ引き返せますよ」
「うん、俺も無理を言うつもりはない」
角田さんとツギさんは揃ってそんな事を言う。
春夏さんは、「秋くんが行きたいのなら、私はいいよ」と言うスタイルで、みんな一緒みたい。
さて、今僕のパーティーは、僕、多分、そこそこ強いんじゃあないかな、って言うノービス前衛。そして個の戦闘力ではダンジョン最強とも言われるサムライな春夏さん。そして、魔法スキルの殆どを使えて、ほとんど数えるのが無理って言う数の『請負頭』をもつ見た目に反して賢者な角田さん。そして最後尾にいるのは今ひとつどんなスキルかよく分からないけど、一部見たけどとても強力っぽいスキルを持った謎な少年の桃井くん。
このメンツに、宝箱ならなんでも開けると言うツギさん。
ああ、考える事なかったわ、行くよ、行く。なんかこのメンツなら大丈夫だよ、心配する要素のかけらもなかった。
油断じゃないと思うよ。
だって、ここ中階層だもん、最大でもこの前のレッドキャップ。
それだって、ありえない遭遇だった訳じゃん。初見と言うのが今ひとつ不安といえば不安だけど、まあ大丈夫でしょ。
「行く」
と僕が言うと、皆、快諾してくれた。