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第18話【蛇か樹木か帯び虫か蛇帯樹】

 今回は一応、あの浅階層の紙ゴーレム以来の大型モンスター、『蛇帯樹』とか言う、蛇なんだか、帯なんだか、樹なんだかっている奴らとやりあっている真っ最中な訳なんだけどさ、


 「秋さん、いい加減、剣とか使いませんと」


 って再び苦言を呈してくるのは角田さんだ。なんか角田さん『じいや』みたい。


 「いや、だって、これ狙われているかもだから、そんなに簡単に使うわけには」


 と言うと、


 「しかし、使わないと勝てませんよ、そろそろお嬢ちゃんも限界ですから」


 なんて言うから、


 「じゃあ、角田さんが魔法でパア!やればいいじゃん、これどうするかまだ決めてないのに、そんなに簡単には割り切れないよ」


 と僕もさすがに切れちゃったよ、もうプチ切れた。


 「いや、初見の敵以外は活躍してますよ、秋さんにも早く中階層に順応して欲しいので、差し出がましいでしょうが、一歩下がって見ているんです」


 そうなんだよね。いつも角田さんは初めて対峙する相手以外は大活躍なんだよね。一応、様子見たいときは、「手を出さないでね」って言うと下がってくれるしね。


 自分が悪いことはわかってるんだけど、まあ、いいや、後で考えよう。


 僕は剣を携え、前にでる。敵は4匹かあ。


 「秋くん、大丈夫?」


 ん、もう金銭的な価値での折り合いはつけた。要は盗まれなければいいってことだよ。


 「2ー2で分ける?」


 「エリア的には3−1だよ」


 確かに一匹、大きいのが離れていた。


 「リーダー、って感じだね、あっち僕やるから、そっち任せていい?」


 「わかった、任せて」


 単純な作戦会議は終わって、僕らは行動に出た。


 「『蛇帯樹』は蛇の容姿に布の耐久性、樹の頑強さを併せ持つモンスターです、実際は蛇と言うより、昆虫の幼虫に近い動きをします、ご武運を」


 って行きがけにじいやがそう教えてくれた。


 ひとまず、春夏さんが、斬撃仕様に化生切包丁を持ち替えて3匹に向かって突進して行くのを見送って、3拍子遅れて僕が飛び出す。


 例の大きな1匹、春夏さんが相手する奥にいるからね、春夏さんが交戦に入った刹那を駆け抜けるよ。


 と思ったら、2匹は春夏さんに襲い掛かって来るものの、残り1匹が突破に警戒する様に大きな蛇帯樹の前に立ちはだかる。


 「秋くん!」


 「大丈夫」


 なるほどね、こう言う動きって動物というより確かに昆虫だね。すでに優先者を守るため戦うための形態になる様に行動しているんだ。ミツバチやアリなんかの、個が全体の一部である様な動きだね。


 今回、初見の蛇帯樹は、平たい幅が1mくらいのモンスターで多分だけど、高さは6mくらいはある大きなモンスターだ。僕もあの時のラミアさんを見ていなかったら、多分驚いてはいたとは思うけど、ラミアさんの方が大きかったしグラマーだったよ。

 攻撃の仕方はその高いところからの突然襲って来る噛みつきと、毒みたい。目の前の平たい体を攻撃すると、頭上から噛みつきが襲って来る。


 でも、平たい蛇の顔は案外小さくて、これだけの大きさにかかわらずに、人を丸呑みってわけにも行かなくて、小さく細かく突いて来る様に攻撃して来るんだよね。これが結構。しつこくて痛い、ダメージもそこそこもらう感じ。


 あ、ちなみに北海道ダンジョンで毒を食らった場合は、ダンジョン内なら魔法とか、それに相当するマジックアイテムでの解毒だけだけど、ダンジョンから出ると、この毒ってなくなってしまうんだよ。


 稀に頭痛とか腹痛が残るときがあるけど、そんな時はMedis’one アジェンテ で治るよ、近くのツルハに売ってる。ダンジョンウォーカーにとっての常備薬だね。


 まあ、僕らの場合は、角田さんに言えばバッチリなんだけどね。多分、今も毒とか麻痺とかの状態異常を起こしようよな攻撃からの予防は魔法で添付されていると思う。だから多少の無茶は大丈夫なんだよね。


 とか言っている間にもうすでに1匹倒しているよ春夏さん。


 じゃあ、僕も。


 ひとまず、ダルい攻撃で目の前の腹を突くと、ものすごい勢いで、牙を剥き出して蛇の口が降って来る。


 そして、それを切り撥ねる。まずは1匹。


 そして、残った体の大きな奴は、大きくなって若干攻撃力も上がっている様な感じだったけど、同じ段取りで倒せた。


 もちろん、僕が倒しきる頃には既に春夏さんの方も終わっていて、割と余裕で凌げた。


 で、また宝箱だよ。


 ダンボールのね。


 さーどうしよう、と角田さんを見ると、やれやれと言った顔して魔法で罠の有無、そして種類を探ってもらう。


 こういう時の角田さんて、何のかんのでやってくれるんだよね。


 本当に、なんか『じいや』っぽい。


 わがままだとは自覚してるから、でもさ、せっかく出た宝箱をいっこなりとも見過ごせない僕なんだよ。


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