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第15話【世界のグローバル企業と僕と剣】

 この前の偽りの冴木さんからの呼び出し、札雷館別館の別名漢館での決闘はグダグタになって、それでもまあ、一つの答えに行き着いた感じだったんで一応、問題となっていた僕の剣、冴木さんから借りている剣は、僕の持ち物ってことになったんだけど、追加で用事があるとかで、例のダンディさん、塩谷拓海さんに呼び出されて、今日は、この後にダンジョンに入りたいから手短にってことで、いつもの地下歩行空間にて落ち合うことになった。


 「いやあ、あの時はすまなかったな、少年、俺もついカッとなってしまってな、いやあ、悪い悪い」


 この人、カッとなる度に、対象者を双剣で切りつけるんだろうか? そんな人でも一般

社会人てのはやっていけるんだなあ、と感心してしまう。社会って寛容だ。


 僕のそのシレッとした態度に、「ほんと、悪い、ごめんな」とか言ってる。ごめんで済んだら銃刀法違反はいらないよね。 


 それでも僕の前の、今の拓海さんは、特に危ない人という印象も無く、至って普通で温厚な人に見えるけどね、こういう人でも、自分の恋人とか絡むと、ああ言った行動に出てしまうものなのだろうか? 人によるのかな、怖いなあ。


 依然として警戒を解かない僕のそんな怪訝な態度に何かを察したのか、


 「大丈夫だ、今日は安心してくれ、いや今日の安心は格別に安心だ、本当に、誤解も溶けたし大丈夫だから」


 そう言ってこの前は切りつけてきたからなあ。もちろん、今日は人も沢山いるし、公共の場だし、大丈夫だとは思うけど、なんか札雷館の人たちって、一見まともに見えて、何箇所かネジの外れてしまっている人が多い印象があるんだよなあ。常識の概念の基軸から違うというか、こっちが気を抜く訳に行かないというか、なんというか。


 「いや、本当に大丈夫だから、あの後、翔子とも色々話し合えてさ、翔子からも、『愛しているのはあなただけど、一番大切なのは真壁くん』って言う言質も取ったし、大丈夫、深く考えなければやって行けると思うから」


 そう言う拓海さんはちょっと引きつった笑顔で言うんだけど、僕がそう思うのもなんだけど、いいのかなあ、って思ってしまうんだよね。そろそろ本気で考えないとなあ、例の『ファンクラブ』対策。僕の『王』とか言う厄介なスキルが原因らしいからね。

 などといった、僕の悩みをよそに、拓海さんは僕に軽食系のメニューを押し当てて来て、


 「それに、ほら、俺、一応、こう見てお兄さん特別国家公務員だからさ、こんな公共の場で、おかしな行動とかも取れないから、な、少年、なんでも好きなものを頼みなさい、大人だから、奢っちゃうから」


 ああ、そうか、ここ一応地下歩行空間にあるものの、ガーデンタイプのカフェだった。


 いいですよ、と言いつつ、アイスの抹茶ミルクを奢ってもらう僕がいた。


 「じゃあ、本題な」


 って言って、先ほどの空気をガラッと変えて、拓海さんは言う。


 「君のその剣な、製作企業から直接の譲渡が決定された」


 ええ? そんな、まさかの願ったり叶ったりだよ。


 「ただし、条件がある」


 そうだよね、凄い金額の剣だって話を聞いていたし、確かにただって訳には行かないよね、どうしよう、一部金額の負担とか言われたら、僕、この前の10万の山分け、もう使っちゃったしなあ、その後の話をドキドキしながら聞いてしまったよ。


 「君も知っているだろ? グローバル事業で、世界でも大手企業な『大柴商事』って会社、その一部門である大柴マテリアルから正式な依頼としてその剣の使用のデーターが欲しいと言うのが向こうの条件だ」


 「え? そんな事?」


 ホッとしたんで、思わず声に出てしまった。


 それに、この剣が大柴商事の製品ってのも初めて聞いた。


 この国でも最大手の総合商事、電化製品とか車とか軍事産業とか、ビルやら橋やら、この企業の関わっていない制作物や構造体とか皆無って言われるくらい大きな会社だよ。凄いなあ。


 すると拓海さんは、


 「君の学校にもそこのお嬢様が通ってるんだぜ、知らないか?」


 なんて言われて、首を横に振る僕だよ。


 「そっか、まあ、学年もちがうしな、そのうち接触してくるんじゃないかな? 彼女が君の担当を積極的に名乗り出てるからな、そんときは頼む、くれぐれも粗相のないようにお願いするな」


 と割と軽めに言われるから僕も軽めに返事をしてみる。


 そっか、そんな世界的なド級なお嬢様って、僕の身の回りにいたんだね。


 ほら、最近、僕も学校じゃあ女子に無視されるって悲し日常もあるからさ、そんなの全く気が付かなかったよ。


 「向こうも、どう調査したのか君の事をよく知っていたよ、もうすでに企業から調査員の何名かは派遣されているのかもしれないな」


 なんて事も言ってた。どうぞどうぞ、こんな僕でよかったら存分に調べてよ。特にやましい事も無いから、360度まるっとどうぞって感じだよ。でもこんな平々凡々な中学生のプライベートの代わりに、こんな高価なものをもらってもいいんだろうかって言うのもある。


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