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第13話【こいつも春夏さん狙いか?】

 ようやくここで、桃井くんが驚いて、


 「秋様!」


 って叫んだ。


 この人の剣、短くて、弧がキツイから、上手に後ろにはじき返せない、うまく往なされて、2回目と3回目が襲ってきた。


 そして、こんな事を言ってきた。


 「こんな安全な男でも、自分の女に手を出されりゃ、そりゃあ、キレちゃうよ、なあ少年」


 ん? つまり、それは?


 「あなたは春夏さんの彼氏って事ですか?」


 この歳で、中学生女子は犯罪じゃん。それにそんなの認めない、ってこれじゃあ、君島くんさん達の思考形態だよ、でも、そう思うこのおぢさんになんか腹たってきた。


 「ちがーう!!!、確かに、春夏ちゃんも美しいよ、もう10年も経てばそりゃあ、すごい事になるだろうなあ、とは思うが、そうじゃ無い、君が手を出した女の中にとびきり可憐で秀美で優しい女性がいるだろう?」


 いろいろ考えても、どう考えても、可憐とか、秀美とか、優しいとかで考えると、春夏さんしか出てこない。やっぱり、こいつ、春夏さん狙いだ。このエロロリダンディ。


 それに、女の人に手を出すとか、って正直言って何を言っているんだ? 僕は学校でほぼ全員の女子生徒から相手にされない男だよ、絶対に何かを勘違いしている。


 でも、まあ、春夏さん狙いのエロロリを近づけるのは良く無い。それだけは事実だ。


 僕はいつになく本気で切りつけて行く。割とあっという間に気がつくと僕の方が押している。


 それはそうだろう、武器の相性が悪いもの、あ、僕にとってはいいのか。


 瞬間の隙をついての襲撃なら、結構分のありそうな取り回しも軽快なダガータイプの武器も、現れになって撃ち合いのシーンではロングソードの方が断然優位だよ。だけど、相手のリーチも結構長い。なんだよ、この手の長さ、肩から下が全部武器みたいな攻撃をしてくる。やっぱ、身長は大事だなあ、超大事と実感する。


 それでも、僕に負ける要素はない。僕の剣自体のリーチと切れ味、何より右半身しか使っていない妙な構え、これじゃあ、あと数手で僕の勝ちだ。


 そんな思考と現状に、僕は妙な違和感を感じた。


 なんか、急にあの時のクソ野郎さんを思い出した。


 ああ、そうか、この人、そう言う人か。


 僕はさらに距離を詰めた。


 押し込むように、押し出すように。


 彼の、ダンディさんのダガーを思いっきり弾いて、それを持つ右手ごと後方へ流す。


 ここでもう、僕は剣を振り下ろすだけで、もう勝敗は見えた。


 バランスを崩したダンディさん、半身を右と左が入れ替わってしまう。


 よし、来た。


 隠していた左のダガーがその流れのまま、ボクシングで言うところのショートアッバーな感じで、多分、僕の死角から首に向かって上昇して来る。


 あの流れで、切りつけていたら、普通に、このダガーの刃は僕の首から顎を切り裂いていたんじゃないかな、本気でこの人、僕を殺す気なんだな。


 じゃあ、答えないと。


 僕は僕の首と顎の線上に、肩を出してそれを流す。


 このダンジョン専用のジャージ、一応は斬撃を防ぐと言われていた素材を切り裂いて、その下のポリカーボネート複合素材のパットを滑って、左手を勢い良く挙手しているよすな姿勢になってしまう。


 ってか、このジャージの肩を切り裂いたよ、このダガー、一体、なにで出来てるんだ?


 ダンディさんと僕、お互いに驚いてしまっているんだけど、次の一手で僕の勝ち。


  大丈夫、最悪、この人死んでも、これって完全に正当防衛だよね、万が一があっても少年法が守ってくれる筈。


 死ね、ロリダンディ!


 僕のそんな覇気と勢いが、


 「そこまで!!!!」


 と言う大声でかき消されてしまう。


 そして、僕のマテリアルブレードと、ロリダンディさんの間に差し込まれる刃。


 ああ、化生切包丁だ。


 「秋くん、もうお終い、これ以上はダメ」


 と春夏さんがそう言った。


 そうか、そうだね。さすがに殺したらマズイか。ってか殺したらダメだよね。


 僕は、なんか急に力が抜けて来た。ってか、気がついたけど、普通のテンションに戻っただけだ、さっきまでの僕の方がどうかしていたみたい。


 なんだろう、今までになく、大きな修羅場に巻き込まれていたみたいな感じ。


 「大丈夫、秋君は、塩屋師範の殺気に引っ張られただけ、なにも悪くないから」


 「そうなの?いやそうかな? 自分から行っていた気がするよ、止めてくてありがとう、春夏さん」


 となんか纏まりのつかない気持ちのまま、僕はひとまずお礼を言うんだけど、春夏さんはそんな僕の体を抱いて、背中をトントンと叩いてくれる。ああ、なんか落ち着くなあ。


 「大丈夫だよ、秋くんは何も悪くないから、もう全部お終いだから、ね」


 耳元で囁かれる春夏さんの声に、ヤバい、なんか僕泣きそうになる。


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