表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
226/1335

第8話【札雷館別館漢館からのステキな誘い】

 久しぶりに、冴子さんからの呼び出しを受けた。


 札雷館の、春夏さんの師範代であり、先輩で、僕にこのマテリアルブレードを貸してくれている人。その他、今着ているジャージとかね、もう最近ではお世話になりっぱなしだから、進んで顔を出すよ。


 で、今回は、いつもの地下歩行空間じゃあなくて、札雷館に来て欲しいっってメール入ってて、春夏さんに付き合って、入り口までなら何度か言った事あるから、今回も割と軽い気持ちで行ったんだけどさ、なんかちょっとね。


 札雷館って、北海道を発祥とする、大きな武術団体でさ、その敷地も札幌市内に広大な敷地を持っている。まあ、地下鉄でサクッと行ける便利さはあるんだけどさ、若干距離はある。


 その敷地の中に、いくつかの施設があって、いつも春夏さんと行くときは、本館か、3号館(女子館)に行って春夏さんとか、冴木さんとかに会うんだけど、まあ、春夏さんの化生切包丁の調整とかもあったらかさ、と言うか、そこにしか用事はなかったから広い札雷館の中にあっても限定された割と狭い範囲でしか歩き回ったことがなかったんだけどさ、


 今回、僕が呼び出されたのは、札雷館の旧本館っていう、なんか、割と施設の中でも隅っこの方にあるところでさ、実際その建物の前に立ってみると、今まで見た札雷館の建物とは打って変わって、なんか時代錯誤な建物、いかにも道場って感じのコジンマリとした感じで、異様と言うか物々しい雰囲気を醸し出している。


 よく時代劇になんか出てくる感じのやつだね。


 その道場の看板に『漢館(おとこかん)』って書いてあるんだよ。


 うーん。


 僕はもう1回スマホを見てみると、やっぱりここだよね、ご丁寧に地図まで送ってくれているから間違いない。旧本館て書いてある。


 多分、僕の予想だと、十中八九、ここに冴木さんはいない。


 この漢館の看板に小さく書いてある文字がそう物語っている。


 早い話が、僕、騙されているんだろうなあ、って思う。


 正確には、僕を騙そうとしてる人がこの建物の中にいるんだろうな。なんとなく誰かは予想はつくけど。


 ここで、建物に入らないで、引き返すって手もあるだろうけど、たぶん、帰ってもこのまま何も起こらなそうだけど、それもどうなんだろう? って思ってしまう。


 あの時のダンジョン初日の一件以来、いつかはこう言う日もくるんじゃあ無いかなって覚悟していたけど、今日かその日だったみたいだ。冴木さんに会うつもりだったから、なんか緩めの気持ちで来ちゃったなあ。ちょっと引き締めとこう。


 春夏さんを守るって決めた時から、この手の事からは逃げないと誓っていたから、ここは一発、覚悟を決めよう。冴木さんに会うつもりだったから、マテリアルブレードは持って来ているし、まあなんとかなるかな。


 僕は、「たのもー」と挨拶をしたのち、道場の玄関を潜り抜けた。


 「道場破りか、お前は」


 と言って来たのは、あの顔だった。


 「冴木師範のメールでまんまとおびき出されたな」


 と道場奥、上段手前でニヤニヤと笑って言うのは、あの、イケメン長身乱暴者の君島くんさんだった。本当に嬉しそう。


 「そうですね」


 「何だよ、大して驚いていないな」


 「いや、だって、表の看板に『女人禁制』って書いてあるので、少なくとも女性である冴木さんはいないんだろうとは思って」


 僕のそんな解答に、君島くんさんは、「チィ!」と舌打ちしてから、


 「本当につまんねえガキだな」


 って言った。


 でもって、ひとまず、立っていてもなんなので、奥まで進んで、やや道場の中心にたどり着く頃、僕の入って来た玄関の戸は閉められて、左右の戸から、ゾロゾロとこの道場の門下生と思える道着姿の男の人が出て来た、皆手には竹刀や木刀を携えている。


 あ、結構な数がいる、でも、全く怖さってのがなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ