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第5話【新し装備、新しい敵、そして宝箱】

 いまだ関心してる角田さんは、驚きを隠そうともしない。


 「秋くん、かっこいい」


 って、褒めすぎ、褒めすぎ春夏さん、こんな事、家じゃあ日常茶飯事だよ。もちろん、家ではこの後が長くて、最終的にはやり込められるけどね。


 「で、こいつなんだろ? でかい犬、狼?」


 頭の先から股間までキレに二枚に降ろされているモンスターの遺体をみて言った。


 「コボルトですね、『なりかけ』です、コボルトになりかけている獣ですよ、この辺では珍しくないモンスターです、コモンコボルトなんて言われてます」


 ゴブリンに引き続き、今度はコボルトかあ。


 「ああ、また真っ二つかあ、これじゃあダメだなあ」


 って、桃井君ががっかりしていた。なんの事だろうか? なんて思っていると、今度は、春夏さんが、


 「あ、宝箱!」


 と小さく叫んでいた。


 彼女が指差す方向を見ると、本当に箱がある。


 うん、箱だね、ダンボール箱。


 思わず、


 「え?」


 って言葉が出てしまった。宝箱かあなあ。あれ本当に宝箱なんだろうか? よく見る

と、なんか箱に『Am●zon』とか書いてあるし、どう見ても、その辺に転がっている適当な空箱を利用して何かを入れている感が半端ないんだけど、本当にあれ、宝箱なんだろうか?通販で送って来るみたいに、テープとかで厳重に梱包されている感じなくて、交互ににふたして閉じられている感じの、


 「『たとう折』ですね」


 と角田さんが答えてくれる。本当にこの人の知識ってすごいなあ、流通業界にすら死角無しだよ。


 宝箱っていうより、誰がか落とした、もしくは捨てて言った不要ダンボール箱にしか見えない。


 でもまあ、折角だから開けてみようかな、って不用意に近づこうとすると、


 「秋さん、ダメです」


 と珍しく、僕のやることにならほとんどのことは応援してくれる角田さんが、止めに入ってきた。


 「え? だって、あれ、宝箱なんでしょ、中身があるなら取らないと」


 と至極当然な事を言う僕に、


 「ダメですよ、秋様、ここには宝箱を開けることができるスキルを持った人間はいません、残念ながら僕も持ってませんから」


 いやいやいや、ダンボール箱を開けるなんて、誰でもできるじゃん。カパって開くだけじゃん。


 「大丈夫でしょう、開けても」


 と言う僕に、


 「このダンジョンに出現する宝箱にはほとんどトラップが付いています、宝箱を開けるスキルとは、そのトラップを解除できる能力のあるものの事を指します、このスキルの無い者が宝箱をかけようとる場合、100%の確率で罠は作動します、残念ですか。今の現状では開けて手に入れられるメリットよりも罠の発動によるところのデメリットの方がはるかに大きいです、罠自体の内容は、この階層なら大したことはありませんが、それでも危険ですからここは諦めましょう」


 「角田さんの魔法で、中身とかわからないの?」


 僕は率直に聞いて見た。


 「はい、中身までは」


 「じゃあさ、罠とかは? どんな罠かとか、そう言うのはわからないの?」


 食い下がる僕だ。


 「いやそれはわかりますが、100%では無いので、せいぜい70%程度ですが、罠の種類くらいはわかりますよ」


 「じゃあ、それをやって見て、で、罠が危険な物なら諦めるからさ」


 と言ったら、角田さんは、しぶしぶやってくれた。


 「このへんの宝箱では入っている物は期待できませんよ」


 と言いながらも「ダヌーバ」と呟いて、その箱に手を翳す。


 「罠がありませんね」


 と思いを巡らせたまま呟く。


 「じゃ、大丈夫じゃん」


 とその言葉を聞いて安心した僕は、無造作にその宝箱に手をかけた瞬間に、ダンボール箱が突然僕に食いついてきた。


 「うわあ!」


 そりゃあ、いつも動く事のないダンボール箱が急に動くものだから、びっくりするよね。


 まあ、ダンジョンだからね、ここ。


 驚くべきことでもないんだけど、吠えるってわかってる犬の家の前を通って吠えられて驚く小学生よりは冷静な僕だったよ。


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