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第2話【レッドキャップvs春夏さん】

 赤ゴブリンは、春夏さんの間合いに入って瞬間に即死。そのまま流れる体を見えないくらいの速度の斬撃で切り刻む。


 春夏さんが体を交わして、突っ込んできた慣性で、春夏さんを通り過ぎて、ダンジョンの床に倒れる頃には、少なくとも10を超えるパーツに分断されていた。


 そんな、結果を見ずに、春夏さんは、


 「ごめんね、秋くん、譲ってくれてありがとう」


 といの一番に僕に詫びてくるんだけど、べつにそこは謝るような所じゃないし、それに。その前に、


 「すごいよ、春夏さん」


 という、賛美というか驚愕な言葉しか出てこなかった。


 「秋様、ファイトです」


 いや、もう終わってるしね。でもありがとう、桃井くん。


 それにしても、このダンジョンの中にあるスキルで最強の攻撃力って言われているサムライのスキルを、斬撃として目の当たりにして見たけど、本当にブラボーな強さだね。


 春夏さんに斬撃系の武器って、鬼に金棒の遥かに上に行く、羅刹に大陸間弾道弾たよ。止まるところを知らないよ。


 サムライのスキルってさ、通常のスキルとは違って、スキルを持つ可能性のある人が、それなりの師匠の元で学んで、運よく開眼するスキルだから、条件厳しめで、侍を名乗る人はいるけど、実際にこのスキルを持っている人はこのダンジョンの中でも数名しかいないそうなんだよね、その1人が今僕と一緒にいるって事実が正直信じられない僕だ。


 などと思っている僕のすぐそばに、桃井君が来て、


 「秋様、怪我してます、ちょっと待っててください」


 と、あ、本当だ、手の甲擦りむいてるや、ちょっとヒリヒリした。


 なんか、いよいよ桃井君のスキルとか見れるのかなあ、やっぱり、この子、僧侶系なのかな、なんて期待していると、


 「はい、サビオ」


 と、僕の手の甲に絆創膏を貼ってくれた。


 ちなみにサビオという言い方は、北海道では絆創膏の総称で、先に商品名が浸透してしまった呼び方だ。まあ、こう言った例は結構かるよね、ウォシュレットとかも有名だよね。


 でも、え? ここは魔法じゃないの? って思わす桃井君の顔を見たら、


 「バイキン入るよ大変ですよ、秋様」


 と微笑みで返されてしまう。


 絶対に僧侶系なヒーラー的なスキルだと思ったんだけどなあ、でも、まあ「うん、ありがとう」とはお礼は言いうんだけど、なんか釈然とはしない僕だった。


 すると、僕のそんな気持ちというか挙動をから何かを悟ったように桃井君は、


 「あ、秋様、僕のこと役に立たないな、って思ってます?」


 そんな風には考えてないけど、自分で勝手に僧侶系って判断していたからね、ちょっと拍子抜けっていうか、桃井君がわからなくなってしまったのは事実だよ、でも役立たずだなんて思ってない。


 思わず首を横に振る僕なんだけど、桃井君は、バラバラにされて切り刻まれ血の海に沈むゴブリンを一瞥して、「これじゃあダメだなあ」って呟いてから、


 「もうちょっと奥まで進めたらお役に立てる機会が多くなると思います」


 と屈託のない笑顔でそう言った。


 僕としては、役に立つとか立たないとか、そんなのどうでもよくて、どれだけダンジョンを楽しめるかだから、みんなでワイワイとやれる方がいいなあと思う。


 それに魔法系のデタラメなスキルを持つ角田さんとか、ダンジョン内直接攻撃系の頂点とも言われいるクラスのサムライの春香さんがいるのも、ほぼほぼ偶然みたいなものだしね、大丈夫、この2人さえいれば、僕と桃井君の2人くらい面倒見てくれる。積極的に他力本願でいいんだよ、桃井君、そして僕。


 ひとまずは中階層に入ってからの1回めの戦闘は僕ら(春夏さん1人)の大勝利で終了した。


 「みんな、怪我とか無い?」


 特に春夏さんの調子はどうかな、って、思わず横に来ていた春夏さんの手を取って見て、ああ、大丈夫、治ってるし、今回は負担はかかってないみたいだ。


 「よかった、大丈夫みたいだね」


 「うん、切ってるから、大丈夫みたい」


 と若干、先ほどの戦闘によるものなのか、上気してるみたいに頬が赤い。


 「もう少しね、でも、またあんなのか出てきたらちょっと考えるかな、中階層、怖すぎだよ」


 という僕の言葉に、


 「いや、レッドキャップは、深階層でも中層付近の魔物ですよ、割と広範囲を動き回りますが、中階層でもこんな浅い所に出てくる事は無いはずですよ」


 ちょっと曰くありげな顔をしてる角田さんは、


 「この前のラミアの件もありますから、エルダーとまでは行きませんが、この階にレッドキャップは、ちょっとミスマッチですから、ギルドに一応は報告しておかないといけませんね」


 割と深刻そうに言った。


 ミスマッチってのは、その階層に相応しく無い相手が出現したって事で、何かの拍子にある事故みたいな物で、今回みたいな浅い階層に強い敵ってのは結構な重要案件になるって話なのだそうだ。


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