第18【サムライ少女も有名人】
凄いね、本物の美少女だね。
気のせいか輝いて見えるよね。このクラスだと。本当に、工藤真紀さんといい、春夏さんといい。
確か、高校生の筈かだら、僕よりは角田さんに近い年齢なんだけど、本当に小さくて、華奢で、可愛い。
で、その真希さんは、僕の後ろにいる角田さんを見て、
「したっけ、なんでお前が一緒にいるんだべさ?」
って、僕らの時とは明らかに違う温度の視線を角田さんにむけて尋ねる。どうやら二人はお知り合いらしい、って事はやっぱり角田さんって、相当な猛者なダンジョンウォーカーって事だね、フツーに会話してるから。
「お、俺は秋さんをインスパイヤしてるから、そう言う事だよ」
って言い訳なのか、なんなのか、真希さんに向かって言ってた。
で、当の真希さんは角田さんのそんな言葉を聞いてるのか聞いてないのか、僕の方を見て、そして春夏さんを見て、
「よく来たべ、おはようさん」
って僕に言うんだけど、え? 今、朝???? びっくりした。いつの間にって感じ。
確か、ここに到着したのって昼過ぎくらいだから、地上からの階段をゆっくり降った時に、時間の流れが加速したとか? そんな内容なの? ここダンジョンだから、何があっても不思議は無いからさ、そんなのもアリかな? ってびっくりしたんだよ。
って、普通に当たり前にパニクってる僕に、工藤真希さんは、
「慌てんなよ、私は、今日、最初に会った人には、まず『おはよう』って言うんだよ、ダンジョンだべ、時間とかわからないっしょ?」
って言われる。
ああ、なんだ、よかった、なんだ、時間の概念が残念で、挨拶の定義が自分勝手な人だったけかあ、って安心する。
よかった、僕、謎の無断外泊にならなかったよ。
もしこれが現実に今が朝を迎えていたとするなら、母さんにシメられれしまうからね、しかもなんの連絡も無しなら、尚更だよ。
じゃあ、今は昼でいいんだよね。
そして、工藤真希さんは、僕に向かって、もう一回、
「よく来たね」
って言ってから、僕の後ろにいた春夏さんに向かって、
「おかえり、春夏ちゃん」
って言うんだ。
そっか、工藤さんも、春夏さんが最近北海道に帰って来た事を知ってるんだな、って思って、僕は気がついたんだ。
そう、もう決定的に気がついたんだよ。
いや、だって、ダンジョンにおける生きる伝説な工藤真希さん。
僕の名前を知ってた?????
って、思いつつ、思わず角田さんを見て、そういえば、角田さんも知ったたよね。って思って、思わず、一緒にいることについては納得している僕だけど……。
思わず懐疑的に角田さんを見つめてしまう僕だけど、その視線と僕の心中を察した様に、角田さんは、
「いかに時間が経過しようと、姿が多少、のびたとしても、その魂の気高さはごまかしきれるものではありませんよ、秋さん」
って言った。
聞いてて、何言ってんだこの人? って思っちゃった。
まあ、今は角田さんの方はいいや、じゃなくて、工藤真希さんの方。
僕は率直に聞いてしまう。
「なんで、僕の名前を? 後、春夏さんも?」
って尋ねると、工藤真希さん、全く余裕の表情で、
「東雲春夏ちゃんを知らない人はいないべさ?」
って言うから、僕としては、そうなの? って思わずそのまま疑問が顔に出る。
すると工藤真希さんは、
「東雲ちゃんって言えばさ、北海道を本拠地とする、格闘技団体『札雷館』の『剣道』での女剣士として有名だべさ? あそこはダンジョンウォーカーでも試合に出れる団体だから、試合も派手で有名っしょ? 逆にさ、ここから技を磨きに行くダンジョンウォーカーも少なくないべさ、例の条例でダンジョンウォーカーなら稽古料も無料だしな」
へー……。
普通に、いやもう馬鹿みたいに感心してしまった。
僕そんな事、全く知らなかったから、そっか、春夏さん有名人なんだ。
だから、あんな風に強引に彼女を止めようとする人間もいるんだなあ、って、人気があるのも大変だよ、って思っちゃったよ。
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