第17話【生ける伝説、最終到達者はアイドル級?】
広大な室内。広さは、北海道ドームと同じくらいって話だよ。
高さもあって、ここから見ても天井とかその構造とか直接目視できない程度には距離はある。 事実上の北海道ダンジョンの地下一階ってここだけだからね。あと飛地で狸小路商店街直下にフリーマーケットがあるくらいかな。
そして、ここスライムの森にはギルドの本部があるんだ。
スライムの森って言われる所以は、ここにはスライムが出る事、そして、大小のサイコロみたいな立方体が、高くも低くも積み重ねられていて、それは鬱蒼とした木々の様に見えるから。全体を見通せないくらいの数がある。
本当に、凄いなあ、って、見惚れながら、僕は最後の数段の階段を降りて最後の一段を降りて、室内に到達。
僕はその時、その瞬間を噛み締めるように、その一歩を踏んだ。
ああ、やっと来る事ができた。 ここが北海道ダンジョンなんだ。
ゆっくりと僕は前に進む。
やっぱりさ、かなりの数の人たちが、ギルドのローブを着ている人に、レクチャー受けてた。 見た目にすぐにわかる様に、数人のジャージの人の前にギルド構成員。
ギルドの人だって直ぐにわかるのは、着るローブ。
白地にラインが入って、学生連絡統率会(ギ ル ド(ト))の文字が入ってるからね。フード一体で、それをかぶってる人もいれば顔を出している人もいる。
ああ、やっぱりどこもいっぱいかあ、って、割と軽めの絶望を感じてる僕の前にさ、その行手に人がいたんだよ。 いや、現れたって言った方がいいのかな?
まるで、待ち構えるみたいに、そして歓迎してくれてるみたいに、軽く手を広げていたんが。 一瞬だけど路頭に迷うみたいな僕に彼女は声をかけてくれた。
「やあ、よくきたべさ、真壁秋くん、それに東雲春夏ちゃん」 頭のフードを外して現れた、そのご尊顔を見て僕は硬直する。
僕は、僕らに声をかけてくれた、その人物を凝視してしまう。
うん、ガン見してしまう。
ってか、目が離せない。で、信じられない。うそ? 本物???
いや、だって、この人、あのギルドの公報で、ギルドの顔で、事実上のギルドの責任者だよ。 どこかのアイドルも裸足で逃げ出す、その愛らしい容姿。
本当に、小さい、細い、顔も小ちゃい、でも目は大きい。
薄く綺麗な唇が、キュッと上がって、笑顔を作ってる。
この人はきっと誰でも知ってる人。でも出会うのは初めてな人。
全身をギルドのローブに包んで、僕達の前に立ってる。
そして、ネットでもテレビ、動画配信でも雑誌ても見た事ある顔が僕を見て歓迎の微笑。 彼女は言うんだ。
「ようこそ、北海道ダンジョンへ」
本物の工藤真希さん。正真正銘の工藤真希さんだ。
北海道ダンジョンのアイドル、そして、数少ない『最後の扉』触れた人、だから現時点でダンジョン最強の一人。
僕らダンジョンウォーカーにとってはレジェンドクラスな人物。
生きてる伝説。 それがニコニコしながら僕の前にいるんだ。
信じられないよ。
これって、偶然? だとしても、初日にこれだもん、何かしらの運命は感じても良いよね。