閑話休題2-1【ギルド新人+2名、中階層への挑戦】
関係者が指定端末に、このメールが送られてきたのは決行の日の2日ほど前、
内容はと言うと、
「業務連絡」
日々、学業に、ギルド活動に忙しい日々を送っていることと思います。
さて、この度、新人の皆様におかれましては、中階層への挑戦の運びとなりました。
ギルドから浅階層のジョージに挑戦するのは以下の5名となります。
水島 祐樹
西木田 翔悟
鴨月 重文
河岸 雪華
相馬 奏
以上の5名が挑むことになります。
時間があるようなら事前に打ち合わせなどを行うようにお願いします。
なお、部外からギルド管轄として、ギルド構成員5名に追加して、
真壁 秋
東雲 春夏
以上2名の参加が決定しています。
この2名については、連携するしないは自由としますので、当日の顔合わせで構いません。
また、基本的に敵への殲滅能力が異なりますが、基本的に浅階層のジョージは1人1体を目標になるので他に頼ることがないようにお願いします。
なお、この挑戦から、一般の武器の使用が許可されます。
敵を確実に倒せる武器での挑戦となりますので、用意は特に連絡がない場合は武器|(一般的なロングソード【河岸製作所製】)はこちらで用意出せていただきます。
では、当日まで各自、コンディションを万全にして、風邪などひかないように備えてください。
ギルド本部より 工藤真希
追伸
真壁秋は、前日にギルド本部に来られたし。
絶対来いよ。
ホント、来て。
これ、真希からのお願いだから、
公的な私的なお願いだから
真希願いだから。
ちゃんと来いよ。
かしこ
と言うメールが各人に配布されていたわけだが、冒頭の男の子3人組は戦々恐々だった。
ギルドに入ってすでに1年。
ギルドの中にはとある噂がある。
それは、『ダンジョンに入って、1年以内に中階層に行かないと、その後は最下層まではたどり着けない』と言う統計的にも根拠のない噂である。
もちろん、それはある程度の前例はある。
実際、選ばれたスカウト組などは、その日のうちに中階層まで行くのも少なくないし、せいぜいかかっても一月といったところで、ノービスに至っても、概ね半年もあれば皆中階層へと足を運ぶに至る。
それでものんびりと時間をかけてダンジョンの深部に向かって行く者もいるので一概には言えないのではあるが、確かにギルドの構成員が概ね2・3ヶ月〜半年の期間を経て中階層へと移って行く。
もちろん各員のそれぞれの事情により、それ以上かかる人間もいる、それに、ダンジョンに入れる期間中全て、浅階層で活躍するギルドの構成員もいる。
スライムだけを倒して6年全てを経過させようとしてる人物もいる。
つまり、人はそれぞれであるが、若い、と言うか幼い彼らにとってみるば、一年間浅階層にいたこと自体が恥ずかしいことであり、今回も召集を受けて慌ててきたものの、その日から入った、雪華や奏と一緒にほぼ戦力外の救護班と言う、彼らから見たらほぼ役立たずのポジションに置かれて、それは相当の惨めさを味わっていた。
もちろん、雪華などは救護班としての責務を立派に果たしているわけで、役立たずなんてことは全くないのであるが、彼らの思考からすると、そう言う結論に至るようだ。