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第16話【到着! スライムの森】

僕としては、その家来とか下僕とかって表現はともかくさ、正直な話、角田さんくらいのベテランダンジョンウォーカーの人が一緒に来てくれるのは、願ったり叶ったりなんだよね。


 だって、僕、ダンジョンの中に知り合いいないし。


 それに、いくら春夏さんが戦闘能力が高くても、基本的にダンジョンの中を知ってる人、そして、深階層までたどり着いている人が一緒になるってのは、僕にとってラッキー以外の何ものでもない。


 もちろん、角田さんの存在自体は、怪しいけどさ、どこの誰かも、なんで僕を知ってて導いてくれるのかなんて、皆目見当もつかないし、それに、この強面な感じのいかにも喧嘩強そうな見た目に、ラフなヤンキーそのもの姿だよ。


 絶対に、僕の生活圏にはいない人で、僕としても近づかないタイプの人だ。


 でも、考えても見てよ。


 僕らは、決して友達になる訳じゃないんだよ。


 ダンジョンの中で、共に冒険して、時には一緒に戦うって、言う、それだけの仲間なんだよ。  いわゆるパーティーメンバーなんだ。


 ダンジョンあっての人間関係なんだよ。  僕の生活圏に立ち入って来るわけじゃない。


 そんな人に、素行や強面の見た目なんて、まして常識なんて考える必要はないんじゃないかな?  必要なのはダンジョンで何ができるか? なんだよ。


 そして、この角田さんは、正直に言うと今の僕にはもったいなくらいのスッペックとポテンシャルを持ってるダンジョンウォーカーだ。


 僕の答えなんてもう、決まってる。


 大丈夫。僕たちはきっと仲良くやっていける筈だ。


 それにさ、さっきから明鏡止水になってる春夏さん、空気にになってるとかは言わないよ、サムライだから、きっと極意で気配を消してたんだよ。きっと。


 で、その春夏さんが、角田さんに関して何も言わなくて、


 「角田さん、仲間になってもらっていいよね」


 って尋ねると、


 「秋くんが良いなら」


 って言ってくれたので、ここで改めて、角田さんの僕のパーティーへの編入が決まった。  


 「マジっすか! やった! 今日から俺、秋さんの仲間で良いんですね!」


 って言ってから、『ヒャッホー!!』って感じで飛び回ってた。


 何もそこまで喜ばなくても、小学生みたいない跳ね回ってる。周りの歩行者に迷惑かけない様にね。  いや、むしろ助かるのは僕の方なんだけどな、って思いつつも、これだけ盛大に喜ばれると嫌な気はしない。


 「よろしくね、角田さん」  って声をかける僕に、  「こちらこそです!」  って言ってから、


 「で、秋さん、今日は『スライムの森』へ行かれるんですか?」


 「うん、その予定だけどね、レクチャー受けたいんだけど、人が多いからどうなるだろうね」  って言ったら、


 「すいません、俺が時間を取らせてしまったばっかりに」  って恐縮してた。


 いや、ちょっと早く入ってくらいじゃ、この混雑状況なら、それほど変わりはないでしょ?  って思いつつも、それでも、レクチャーは受けれないにしても、本日、僕は、どうしても初ダンジョンしておかないといけないって、そう思ってるから、ともかく入るだけは入るから。


 って、そのまま僕らは歩みを進めて、とうとう、いや、やっと4丁目ゲートの中に入った。  ゲートの中からは明らかに、地上とは異なる空気の匂いがした。


 ちょっと湿ってる感じで、それでいて、どこか優しい、草のような匂いを、僕は一瞬、どこかで嗅いだ気がして、多分、どこかの地下とかで似たような感覚を追体験しているんだって、その時は思ったんだ。


 で、大きく口を開けた、ゲートはそのまま10mも歩かないうちにすぐに下の階段になる。ゲート全体の幅のまま、広くて、長い階段。


 所々に、広い踊り場があって、そこで立ち止まって集まる人たちもいる。


 大きな階段は、やがて、突き当たって、左右に、折り返しの階段がある。


 その階段をさらに下がる。


 何かを喋りながら下がってる人、上がっている人が交差する。


 結構ながく歩いた。


 僕が通う学校、4階建の校舎を上から下まで歩いたくらいの倍は歩いているかもしれない。  やがて、階段の最後が見えて来て、そのまま前を向くと、そこには、階段の天井の終わりから、地下とは思えない広大な一室が見えた。


 北海道ダンジョン地下一階、『スライムの森』が悠然とその光景を表したんだ。

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