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第13話【貸出剣 紅きの炎陽 グルフレイム】

 ようやく、再び、ここまで来れたよ。


 僕は今、昨日同様、同じ様に、デジャブか? くらいの感覚で、決して既視感などでもないんだけど、まさに昨日見た風景まんまの『大通公園』に足を踏み入れていた。


 だいたい昨日と一緒くらいの混雑の仕方。


 だから、僕らは、増水した時の豊平川くらいな、雪解けシーズンくらいの? そんな人の流れに乗って、4丁目ゲートに向かっていた。


 それでも、ちょっと昨日と違うなあ、って思うのは、鎧とか、重装備なダンジョンウォーカーが少ないなあ、って所で、意外に僕らの様なジャージ組が多い。


 つまり、ってことはだよ、今日は僕みたいな初心者ダンジョンウォーカーが多いって事で、ここ4丁目ゲートに集まってるって事は、つまりは、ギルドのアテンドによる、『ダンジョンでのモンスターとの倒し方』のレクチャー参加者が多いって事なんだな。


 ちょっとうっかりしてたけど、そういえば、北海道と言うか国中の小学校は卒業式を終えてしまってる所も多いから、新中学生さんが、こうして初ダンジョンに挑戦って形になるのは今日くらいからかなあ、って思い出した。


 確かに、ちっさい子も多いもんなあ。


 身長的じゃ無くてさ、幼いてか、だって昨日までは小学生だから無理もないけど、ともかく、そんな種類の人の波が出来ていた。


 「こりゃあ、今日は流石にギルドも人員不足ですかね?」


 って、僕の横を歩く人に言われるから、


 「うん、そうだね、レクチャーは流石に今日は無理かもね」


 って答える。


 でも、まあ、今日は邪魔者も入らない事だし、本来の目的であった『スライムの森』での、ダンジョンにおけるモンスターとの戦闘に関するレクチャーがさ、無理だとしても、それでも一度はダンジョン入っておかないと、って思うんだよ。


 それでもさ、今日もまだあの邪魔して来たイケメン長身乱暴者さん達が現れるかな? って一応は用心はしていたのだけれども、春夏さんがさ、


 「大丈夫、今日はもう、あの人達歩けないから、ここにはこれないよ、秋くん」


 ってとっても良い笑顔で言ってたから、深くは内容を聞かなかったけど、昨日同様に僕を迎えに来てくれた春夏さんだったけど、僕が出る前に、玄関で母さんに「春夏ちゃん、頬に返り血が着いてるわよ」って言われてたから、きっと家に来る前に何かがあったんだとは思うけど、ちょっと怖いなあ、って思ったけど、春夏さん、本当にスッキリした笑顔で、そこまで言うなら大丈夫だろうって、安心はしてるんだ。


 で、やっぱり人が多いなあ、って思いつつ、これなら、レクチャー受けないにしても、『レンタルソード』とかの貸し出しも、もう在庫もないかもなあ、って思ったから、流石にいくら浅階層って言っても手ぶらでダンジョンもないよなあ、って思ってしまう。


 ちなみにレンタルソードってね、普通はダンジョン初心者用で、特に修学旅行の生徒にギルドが貸し出している、ソフトビニル製の剣なんだよ。


 二種類あって、『紅きの炎陽 グルフレイム』と『蒼き静氷のグレパシスト』があるんだ。


 もちろん、あくまで貸し出し用の剣で、使う人の安全性を考慮した玩具剣(浅階層専用で見栄えの為の武器)で、見た目に赤い剣と青い剣。特殊能力とかも無いし、この名前に特別な意味は無くて、発注した先の会社の名前らしんだ。


 で、赤と青の色分けも、発注した年代がわかるようにって意味だけなんだそうだ。


 最初のうちは、『木の棒』だったらしいけど、他県からの観光意欲とか目的もかねて、それなりの物にしようって話は北海道庁からの提案だったらしいよ。


 ギルドは管理が大変になるから、紛失しても、持って帰られても、破損しても、価格的にダメージの少ない、ものにしたかったらしいけど、当時の担当者が押し切ったらしいんだ。


 でも、まあ、確かにソフトビニルの棒なんだけど、形はかっこいいからね、一回は借りてみたいって僕も思うよ。


 先に納品された『紅きの炎陽 グルフレイム』の方が、紛失してしまう(度々持ち帰られてしまう)のと経年劣化によって、そろそろ、次のシリーズが発注されるのではと、噂されている。


 僕は『紅きの炎陽 グルフレイム』の方が好みかな、直刀っぽくて、かっこいいから。


 一応は見栄えだけの剣と言われてるけど、それでも、浅階層に出るモンスターくらいになら対応できる性能はあるんだ。


 でも、今日は、この有様でしょ? だから、そのレンタルソードの方は期待できないからなあ、って、こりゃあ、またトンボ帰りかな……。


 いや〜な感じな予感が浮かんで来る僕だったよ。


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