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第164話【僕とゆかいな仲間達】

 角田さんはともかく、確かに春夏さんが反対する理由はわかる。あの時の経緯とか、ほらラミアさんに対する関係とかね、得体が知れないにも程があるからね。確かダークファクトな人っていう話だって拭えていないから、彼を取り巻く様々な関係性は全くの不明なまま、仲間に加えるのは確かに危険と言えるかも知れない。


 あの時の黒い人たちって、本気で彼を捕まえるって感じじゃなかったもんね。殺す気満々でいた感じだし、ギルドからの口止めってその辺が絡んていそう。


 さっきから、桃井君を見ている春夏さんの目って、確実に、彼の背後を疑っている様相を表して見つめている。


 もちろん結果論なんだけど、彼らを守ろうとして、今回のギルドを敵に回しての大立ち回りが始まったんだから、そんなギルドとは全く異なる、敵になりうるよな存在に、春夏さんがこんな態度に出るのは無理もない。多分、全ては僕を心配してくれている事だから、この反対意見に意見を言う訳にもいかないよね。


 つまり、桃井君が僕らの仲間に入るのは難しいって事だよ。


 桃井君は、春夏さんの反対にシュンとしちゃって、


 「そうですよね、僕、得体も知れないですし、この前の事を秋様に聞かれても、僕が話す内容を一方的に信用しろだなんて、虫のいい話ですよね」


 と言った。


 僕的には、彼、悪い人には見えないんだけどな、でも春夏さんの反対がある以上は、仕方ないかって思う。それにそんなに急いで決めてしまうことでもないじゃないか、桃井君の事はまた今度で、っていう話にもできる。


 それに、今回、知った僕のスキルとか例の『狂王』って言葉だって保留のままだし、僕自身の謎だって全てが解けたわけじゃないんだ。


 それを考えると、今の時点での彼の参加って、不安という溶媒に異なる不安を足して掻き混ぜるようなものだよね。もう、危険な予感しかないよ。


 僕も思わず、重く口を閉ざしてしまう中、


 「ごめんなさい、そうですね、無理は言いません」


 って桃井君はにっこりと笑って言った。


 「ごめんね、あ、でも春夏さんを悪く思わないでね、僕を心配してくれて言ってる事だから」


 「いいんです、王妃が王の身を案じるのは当たり前のことですから」


 何を言ってるんだろう、この子?


 「王妃って春夏さんの事?」


 って聞くと、


 「ええ、違うのですか? 僕はてっきり、ああ、そうですか、ご婚礼はまだって事ですね、春夏様は秋様のご婚約者という事でいいんですよね?」


 中学生同士は結婚できないぞ、っと、ってそうじゃあなくて、


 何か誤解をしているみたいだ。


 「違うよ、春夏さんは僕の…」


 って言いかけるも、


 「私、桃井君はいい子だと思う、秋くん、彼を仲間に加えましょう」


 待って、言っている事がさっきと違うよ。


 「ありがとうございます、王妃さま、じゃなかった、春夏様、僕頑張ります」


 「ようこそ桃井君、秋くんとゆかいな仲間たちへ」


 春夏さん、自分を愉快とか言っちゃったよ。


 「そっか、じゃあよろしくな、坊主」


 って角田さんも快諾だし。


 「ありがとうございます、角田様」


 すっかり受け入れられた桃井君。


 「じゃあ、秋様、ダンジョンに向かって出発ですね」


 だから、今日は帰るの、課題が沢山あるの。


 今日出された課題は今日のうちに終わりそうだけど、この山積する問題は、まったく溶ける事なく、依然僕の目の前にある中、また1つ増えてしまう。


 新たな問題はどっかの美少女なんかも裸足で逃げ出す輝くような笑顔で僕に言う。


 「秋様、末長くよろしくお願いします」


 ひとまず、明日から中階層、頑張ろう。


 でも今日は解散だよ、解散。


 「ダンジョンお疲れ」って事で。


これにて浅階層編は終了です。


ですが、特にこのラミアさんを巡る大騒動を


主人公である秋君以外の視点で、再び物語を書いています。


『閑話休題』話です、特にギルド側からの視点をお楽しみください。

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