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第159【噂ってやつはまったく】

 委員長の、葉山さんの鈴の音のような優しい声が衝撃の事実を僕の耳元に届けてくれた。


 「でねでね、この話は相当秘匿されている情報みたいだから、ここだけの話って事で言うんだけど、この悪鬼って言われているダンジョンウォーカーがギルドの下部組織の冒険者団体とギルドの一部を壊滅させたって話だよ、事件も公表されてないみたい、今の時点て出てこないって事は、この話をギルドとして出すつもりもないって事で、他のギルドの人たちも情報統制されて、外部に漏らさないようにしているみたい」


 ふむふむ。


 「浅階層に、鏡界の海ってあるでしょ? あのただ広い場所、あそこで大立ち回りをしたみたいなんだよね、ギルドの下部にいた冒険者組織も結構危ない人たちで、『雷鳴の椎名』っていう魔法スキルの人で、深階層では結構有名な冒険者なんだよね」


 あれ、なんか、僕が知ってる話みたいかな? 細かい人の名前というか通り名までは知らないけどさ、なんかそんな団体、最近見たと言うか、知ったというか敵対した覚えがあるような、ないような…。


 「100人以上いた仲間も倒されて、この冒険者団体の精鋭で剣系スキルの3人組も、それ以上に驚きなのは、深階層でも名のしれた、認定忍者、通称ニンニン『烽介』くんもほぼ瞬殺だって、あのギルドの大幹部、工藤真希さんが直々に『悪鬼』って言うんだから、相当な強者だよ、身の丈4mくらいありそうで怖いね」


 ああ、それ、僕達だ。


 悪鬼→アッキ→アッキー。ほら、僕だ。まごう事なく僕らだね。


 「相手はほんの少数、4人くらいの数人の小パーティーで、ギルドの方は幹部クラスとか対応したらしいけど、力の差は歴然だったらしくて、特に幹部候補の女の子なんて面白いくらい完全に弄ばれたみたいで、かなり一方的にやられてたらしいよ」


 へ、へー…。


 「あら、真壁くん、顔色悪いよ、どうしたの?」


 「いや、別に、なんでもない」


 一応、僕らも今回の事は口止めされてる。特に、エルダーなラミアさんの事、樹脂化した桃井さんの事、行きがかり上倒してしまった黒い、その雷鳴のなんちゃらさん? の事、あ、でも、僕が持っているスキルや職業に対しては、口止めされていないんだよ。


 結構重要な事だと思ったら、真希さんが、


 「誰も信じないから、いいよ」


 って言われたんだよね。


 「そうですか?」


 って若干納得しかねる僕に、真希さんは、


 「じゃあ、アッキー、自分が王様だって、言ってみるべさ」


 って言うから、


 「あ、はい」


 って言ってから、一拍置いて、


 「僕は王です」


 って言うと、


 「は? 何を言ってるべ? バカじゃね?」


 なんだと!


 「じゃあ、今度は私が言ってみるべさ」


 って言ってから、コホンと1度咳払いをしてから、真希さん、


 「私、王様なの」


 は? 何言ってるの? バカなの? で、なんで、『てへ』って顔を作るの? イラっとしてしまう僕だけど、その表情を抜いても、あ! ホントだ、ただの痛い人だ。って気がつく。


 「な、大丈だべ」


 って言われて、思わず納得の僕だよ。と言うかワザワザ自分でそんな事を言い出すつもりもないけどさ、結局、それほど情報を統制されていないってのが現状な訳で、むしろ出回っていないってのが正解な感じがする、あの時の事は当事者しか知らない事実だよね。


 だから、葉山さんがここまで知っている事に驚きだよ。


 「でも随分詳しいんだね?」


 「深階層じゃあ持ちきりだよ、この話」


 「ほんとに? そっか、そんな噂がねえ、ふーん」


 ダメだ声が上ずる。


 「あ、でも、噂の詳細はこの半分くらいだよ、私の場合、本人たちからも話を聞いたから」 


 「え?! 知り合いなの?」


 葉山さんと、喜来さん。


 意外な関係性にちょっと驚く僕だった。


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