第150話【おかしな姉弟】
よし、やるか、って思ってひとまず現状の確認してみる。
とこかく、今は、このクソ野郎さんの勢力、だからお姉さんを含んだ位置関係だ。
って、僕は、若干離れたお姉さんを見ると……
あれ?
なだろう、ちょっと気を抜いていたお姉さんは、王の一騎討ちが始まりそうになってるこの現状において、若干、若く、ってか幼く見えたんだ。ってか幼い。
あれ、お姉さんだよなあ……?
特に今聞かなくてもとは思うだけどさ、こういう事って一回気になると本当に気になっちゃうからさ。
攻める意識が軽く飛んで、わかりやすく悩んだ顔をしてみる僕に、
「なんだよ、気になることがあるなら聞けよ、お前の為にならないことなら答えてやるからよ」
と、相も変わらず小さいことを言うんだけど、まあ、素直にこの場に差し込んで聞いてみようと思う。
「あれ、お姉さんですよね?」
って尋ねると、
「ああ、そうだな」
とクソ野郎さん。
二人して彼女を見たときには、最初の印象と同じ姿をしていた。
女性の印象って、いろんな角度で変わるから、美人なお姉さんが、一瞬、幼気な少女に見えてしまこともあるらしいからさ、どっちが僕の印象で、どっちが本当なのかな? ってちょっと気になったんだよ。
僕は、この時点では、クソ野郎さんの姉であるアモンさんが、自在に見た目の年齢を変える事を、単なる彼女の印象って捉えていたんだよね。
だから、今の時点では、ちょっとここまで見た目が変わる人って見たことなかったあからさ、どっちが本当なのか気になって、
「お姉さんって、幾つなんですか?」
もちろん、それは今、気になった感じで、少し距離を置いてたたずむ彼女は、たまにだけど、いつもの凛とした姿から、何処か幼気な少女に見える様な時があるんだ。
僕の気のせいかもだけど、どちらも同じ彼女からの印象で、それは自然だと思ったから、尋ねて見みた。
「気になるか?」
「まあ、その」
「どう気になるんだよ?」
「確かに、あなたのお姉さんなんですよね?」
「そうだな、まあ、姉ちゃんだな」
「僕には彼女、時折、年下に見えるんですよ」
最初に会った時は、普通に綺麗な眼鏡な女性だよね、って思ったんだけどさ。今見てみると、その顔は僕より年上なんだろうけど、決して、角田さんや麻生さんと同じくらいの歳には見えない。もちろん幼く見える人もいるけどさ、シリカさんや真希さん。でもそう言ったことを含めても、なんか違和感があるんだよね、確かに顔はクソ野郎さんと同じ作りなんだけど、存在その物が違うと言うかなんと言うか。
「そうか? 結構見た目じゃわからんからな」
って言ってから、
「おい、アモン、お前、今、幾つだったっけ? 歳な、年齢な」
彼女は恥じらうこともなく、ただ当たり前にこう答えた。
「肉体経過年数は、15年2ヶ月、生存継続年数は20年です」
「わ、ばか、お前、俺が年齢抜いちゃったじゃねーか、小さいころからずっと一緒だったから気が付かなかったぜ」
「追加処理は可能です、加年を開始しますか?」
「まあ、いいや、その辺はまた後で考えるわ、ともかくそう言う訳だ、納得したか?」
出来る訳がない。
今、見てる年齢も下って事なのか?
さも当たり前のように、当然と言わんばかりに、お姉さんとクソ野郎さんの会話。意味不明なことを淡々と喋る彼女の表情って全く崩れない。
と言うか、この姉弟なんか変だ、絶対おかしい。
「どう言うことですか?」
「さあな、後は自分で考えろ」
どうやらこれ以上の情報は出す気がないらしい。と言うことは、ここから先の情報は僕いとって有益で、それを知られた場合、クソ野郎さんは面白くないって事なんだな。
今回得られた情報は、お姉さんはお姉さんと言う事らしいんだけど、年齢が2種類ある人で、最大で20歳、最低で16歳って事になるらしい。これって、大きい方が本当なら、ダンジョンに入れない年齢で、下の方が本当なら、クソ野郎さんが言っていたように姉が弟より年下になる。
なんだよ、それ、どう言うこと?
どちらにせよ矛盾している姉弟って事になるよね。