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第149話【王の一騎討ち再び】

 まあ、そうはならないけど、肝に命じておくよ。


 でもって、やっぱり真希さんは積極的には動かないなあ。


 何かあるんだろうか、多分、真希さん、角田さん、あのクソ野郎さん、でもってあのお姉さん。なんか戦っている人、いない人のバランスが絶妙なんだよね、丁度いい釣り合いっているかさ、それを言ったら、麻生さんも、後ろで見ているだけだしね。


 まあ、いいや、戦っている人たちの群がいい感じにこちらの方に動いて向かってきてくれている。


 そしてその中心にはあのクソ野郎さんと、喜耒さんが打ち合っている。


 見ると、クソ野郎さん、いつの間にか、ちょっと変わった色と形をしたロングソードに持ち替えて、喜耒さんとギルトの戦闘員の方達を上手にさばいているって感じ。


 強いなあ、この人。


 全体的に武器の使い方が上手、剣しか使えない僕にとっては羨ましい限りだよ。


 あの槍は、今、お姉さんが持っているみたい。本当に持っているだけで、装備って言うのじゃなくて、邪魔だから持っとけ、的な感じで持たされて、ただ漠然と佇んで、相変わらず戦いには参加していない。それでも時折、隙をみて襲い掛って来るギルドの戦闘員の方を、目も合わせずに。ゆらりとよけて、反撃を加えようともしないで不参加を貫いている。 


 よし、入った、友人距離。


 僕は一気に切りつけた。


 「うお! なんかすげーの来た!」


 ってクソ野郎さんが僕の剣を受けて叫ぶ。そして、


 「なんだ、お前かよ、なんだよ敵になっちゃうのかよ?」


 って普通に言われている僕なんだけど、そのままクソ野郎さんを押し続けて、ひとまずギルドな方達の輪の中から引き摺り出す、あ、途中から、クソ野郎さん、力入れずにどんどん下がってゆく。うまいなこの人、足さばき、押している僕の方が追いつけないんじゃないかって思ったよ。


 まあ、いいや、うまくギルドの人たちから離れた。


 「真壁 秋! 一体なんのつもりですか!」


 って叫ぶ喜耒さんだけど、


 「王の一騎打ちです、介入は無用にお願いします」


 って追ってくる喜耒さんを含むギルドの人たちを断ち切って、春夏さんが言う。


 これを言われてしまうと、もうギルドの人達は手が出せない。さっきの喜耒さんとの一件で織り込み済みだ。


 ナイスな使い所だよ春夏さん、そして飲み込み早いね、僕の方が、ああ、僕、王だったよって思い出してしまう。もちろんさっきまで考えていたんだけど、いまひとつ定着してないから、人に言われると、なんか変な気分だよ。


 「うまくやってるみてーだな」


 ってクソ野郎さん、春夏さんを一瞥して言った。


 「仲間ですから」


 「そう言う意味かよ、まあいいや、蛇の嬢ちゃん逃したか?」


 「はい、助かりました、お陰様で」


 「そうかよ!」


 合わせた剣を横薙ぎに払われて、強引に距離を取られる。と言うか、一旦、お姉さんの方に下がった感じのクソ野郎さん、後ろに目があるみたい。って言うか、いつの間にかお姉さんがクソ野郎さんの後ろに来てる。


 「こっちの戦いも、手を出すんじゃねーぞ」


 ってお姉さんに言って、


 「承認します」


 と言う、なんか硬い返事をもらってから、再び僕の方に来た。


 「悪りぃ、待たせたな」


 もちろん、クソ野郎さん、見えにくいところからの振り上げての一撃を伴っての一言、うわ、完全に振り下ろしのフェイント入れてたよね。えげつないなあ。


 でも、すごいね、この人。


 僕は、あの時の忍者さんで、おこしてた消化不良にも似た、どこかやりきれない不満が、漸くここで解消されるって知ってる。


 これから行われる戦いについては、ギルド(主に僕のファンの人たち)の人たちを中心後に語り継がれることになる『海の上の390秒間戦争』(王様同士なので戦争なんだって)と呼ばれるようになるらしいんだって。


 それにしても、ちょっと気になるところもあるから、それを聞いてスッキリしたところで戦おうかな、って思う僕だったよ。


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