第146話【深階層へ、さよならラミアさん!!】
そして鼻息も荒いシリカさんは僕の方を見て、
「つまりはこれも無駄なスプーンを消費しないという意味でもリサイクルクルと言えるでしょう」さらに、僕の手を取り「ありがとう、本当にありがとう」と言ってから、
「ここに書きます」
とEEの太い鉛筆で、いきなり、壁に何かを書き出す。
「カドタと書いて、角田、ちょっと、ここ届きません、助力を求めます」
察した角田さんはシリカさんを抱っこして持ち上げると、
「おお、高い高い、そのまま状態を保持、横に動くといいです」
シリカさんを持ち上げるような形で抱っこしている角田さんは、シリカさんの気のすむまで歩かされ、今度は降ろせと命じると、その壁には底辺が水際数センチの上で、高さ3m、幅6m程の四角が描き出される。まあ、ちょっと歪だけど、まあ、四角、ギリギリ四角。
そしてシリカさんはノートを2冊出して、「ここですね」と、一つのマップは見たここともない場所、そしてもう1つは明らかにここのマップ上の同じ場所の壁にぐるぐるとした渦巻きを書き上げ、呟く、
「認められ先に落とされた世界と地へ干渉を開始します」
同時に、シリカさんの書いた壁の四角が、その線によって囲まれた部分が消失して、真っ黒の闇というか空間みたいなものが出現する。
これはわかる、シリカさん、この場所をどこかと繋げたんだ。俗に言う所のテレポーター、もっとわかりやすく言うと、『どこでもドア』風味な何か。本当にこの人のスキルデタラメだよ、もしかして、全スキルの中で最も有用なスキルかもって思ってしまう。
そして、シリカさんはラミアさんに言った。
「さあ、ここにはいりなさい、深階層最下層に繋げておきました」
なんか、ラミアさん、喜んではいるんだけど、例の樹脂化した桃井って人を見つめて動こうとはしないんだよね。
「大丈夫だよ、ギルドが相手だし、そう無茶なことはされないよ、なんだったら、僕も味方するから、早く行った方がいいい、今のうちだから」
僕はこの桃井って人がどんな人で、これからどうなるのかなんてわからないけど、2人とも無事なら、またどこかで会える。そう思ったから言ったんだよ、保証なんてできないけど、会えない保証だってないんだよ、だから、今は逃げようよ、ラミアさん。
ラミアさんはわかってくれたようで、その黒い闇の中に入って行く。
その時、言葉を喋ることができないラミアさんは、まるでその声が歌うように、喉を鳴らして、桃井って人に別れを告げていた。
寂しそう。
ラミアさんは、僕の方を見ると、そのイントネーションとは違う鳴き声て、何かを告げる。
そしてその闇の空間の中に大きなラミアさんの体は消えて行った。
「いいえ、どういたしまして」
僕はラミアさんにそう答えた。
これはわかったからさ。
ラミアさんから、『ありがとう』って言われたんだ。
僕も守ってもらってるからお互い様だよね。
またこのどこかのダンジョンで会えるといいね。
モンスターでも心を通わすことができることも教えてもらったし、イーブンどころか、僕らの方が特した気分だよ。
よし、これげ目的は完了した。
さて、あとはどうやってこの場から全てをうやむやにして逃げるかって事だけだよ。