第131話【そういえば二度目の対面でした】
すっごい睨まれてる。
その瞳には、もう、『私堅物です‼』って宣言しているみたいな光が宿ってる。
僕、こういう人、ちょっと苦手かなあ。
生活圏とか共にしたくないタイプだよ。
そんな融通の利かなそうな彼女に対して、一応は言ってみる。
「いや、だって、あれ、良いラミアだし」
自分で言っていて苦しい言い訳だってわかる。
「何を言っているんですか? モンスターですよ、エルダー級の、今まさに地表に出ようとしている危険なモンスターです」
だよね、彼女が正しい。でも言い返す。
「外には出ないよ、彼女はこれから深層部に帰るんだ」
すると、角田さんとやりあっている人、
「彼は何を言っているんだ?」
「聞いてみての通りだよ、蛇女を逃がそうとしているんだ」
「…正気か?」
「至って正常だよ、お優しいのさ、誰に対してもさ」
「なるほど、さすが『狂王』だ、納得した」
と言った会話をしていた。
すごいな、あれ、プレートアーマーな人を含めて30対1での戦いの中での会話だよ。余裕あるな、角田さん。と関心する僕の心を察する様に、
「いや、ないです、もうギリギリですよ、あ、こいつは、麻生 一二三)、一回会ってますよね? で、そっちにいるのが喜耒薫子両方とも幹部です」
って本当にギリギリそうに余裕で答えてくれた。そして本人からの追加が来る。
「真壁氏、これで二度目になるが自己紹介させてもらう、私はギルドの幹部をしている麻生 一二三と言うものだ。今戦っている角田氏と違って、凡庸な戦士だ、以後、知り置いてくれ、1つ角田氏の言った事に訂正を加えておくと、そこの喜耒君は幹部ではなく、候補生だ、ギルドの未来を背負ってゆく新人だよ」
と、丁寧な自己紹介と説明を爽やかに加えてくれる。
ここで僕は思い出した、そう言えば、例のクラスの認定の際に、麻生さん一度、お会いしていたなあ……。
服装というか装備が違うからわからなかったよ。
ほら、僕、人の顔を覚えの苦手だから、よっぽど敵対とかでもない限り、服装を含めた印象で覚えてしまうから。
そっか、麻生さんだよ、幹部だよ、って納得してる僕を他所に、角田さんは呆れる様に、
「おいおい、お前が『凡庸』はないだろ」
僕もそう思う。だって幹部じゃん。
ちなみに今、この2人はどうなっているかと言うと、麻生さんが、容赦無く割と本気モードで切り掛かって行って、対する角田さんは、それをカンカンと金属の杖という名のバッドで受け止めたり往なしたりしつつも、隙をみて、導言を発言しようとするも、麻生さんの周りにいる他のギルドの構成員さん達に相殺されて、今まさに、防戦一方って感じだ。
そんな状況の中、シリカさんは「スプーン…」って言ってた。
本気で今、食べたいらしい。ちょっとは状況を見ようよ、って思うけどど、何か引っかかる。片手に夕張メロンピュアゼリー、そして片手に、みたことあるけど、なんかとても太い鉛筆『EE』って書いてる、あれ、デッサン用のメチャメチャ濃い鉛筆だ。ついにシリカさん、鉛筆で食べようって考えにたどり着いたのかな?
なんて、今はシリカさんのことを考えている場合じゃなかった、ラミアさん逃がさなきゃ。
本音を言えばギルドとは仲良くしたいから、誤解は解きたいところだけど、ラミアさんを倒すって言ってるしなあ、あっちがを立てるとこっちが立たずって抜き差しならない状況の中、ラミアさんはさ、さすがにギルドが来ている以上、ちょっと寂しそうなあきらめてるみたいな顔してるから、かえって覚悟が決まったりする僕だよ。
大丈夫、最後まで守るよ。
ギルドの号令が聞こえる。
再び、引けない戦いが始まろうとしていたんだ。