表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆終章 異世界落下編◆
1332/1335

第152話【前も、今も、そしてこれからも】

 あ、火の鳥的な魔物な人はいいから、降りてこないでいいから空飛んでてね、なんかいろんなところに燃え移っちゃいそうだから、後、多足的な魔物の人も無理しないでいいから、どこから首で頭かもわかんないから、気持ちだけもらっておくよ。


 ああ、巨人の人から、急に姿勢を変えるもんだから、肩の当たりから小さな魔物な人たちが大勢落ちて行く。大丈夫かな? 怪我とか?


 ともかく、みんな僕に対してだと思うけど、平伏したんだ。


 そして、僕の体にくっつきそうな程の隣の蒼さんが、「では私も……」って片膝をつこうとするけど、そこは静流が止めて、


 「私たちはいいのよ、身内なんだから」


 って言う言葉に、


 「ええ、奥方様達はいいのです」


 って桃井くんが、ドヤ顔で言うんだよね。


 なんか、本当に、みんながさ、ひれ伏す中、ダンジョンに戻って行くのはギルドの人達で、4丁目ゲートが、いつもの形に治ると、そこはいつもの北海道ダンジョンなわけで、真希さんや八瀬さんとか後、雪華さんも、みんなダンジョン内に戻って行った。


 それでも、そんな姿を見てると僕はさ、北海道ダンジョンが普通に残ってよかったなあ、っていつもの日常が帰って来たなあ、って思うんだよ。


 平伏してる魔物の人達には悪いけど、そんなに永い時間ではないけど、そんな事を考えていた。


 滝壺さん達、だから雨崎さん達も帰って来て、あの時、迷子な家族を探しに行ってた水島くん達も、探していたであろう家族、ああ、高橋さんの家族だね、大きい奥さんと、小さな娘さんを連れた高橋さん、平伏している人たちに混ざって、僕にお辞儀していいる。


 よかったね、みんなで会えてさ。


 って僕はそんな姿に手を振って答えると、そこから、小さな悪魔な花嫁さん的な、高橋さんの娘さんが、僕の方に近づいて来るんだよ。


 普通に小走りに、こっち来る。


 ツノに、首から下を鱗で覆われて、背中には、本当にその大きさの翼で飛べるの?って言うくらいの小さな羽、でも、そのドレスは素敵だね、って、僕の顔を見つめるその子に春夏さんは尋ねるんだ。


 「こちら側の人になる?」


 確かに、彼女の翼やツノって、こっちの世界では生活しづらそうだ。以前、悪魔の花嫁さんが札幌市街地のお買い物に関して、施設の中で、慣れるまでちょっと不便だったって言ってた。


 まあ、僕は邪魔しちゃった訳だから、もしそれが希望なら応えなきゃって思ったんだよ。方法はともかくとして、此花さん達に相談かな? 数にもよるけど割と軽く考えている。


 するとさ、彼女は首を横に振って、


 「いいえ、私は自分の姿も、父様の姿も、母様の姿も好き」


 って言うんだ。


 そして、僕の顔をジッと見つめて、彼女は言うんだ。


 「あなたも好きよ」


 にっこり笑う顔はさ、どこにでもいる普通の少女の笑顔に見えたよ。


 なんだ、やっぱり仲良くできるじゃん。


 僕は思った。


 そして小さな悪魔の花嫁さん的な彼女は、きっと道中、水島くんや百目さんに色々言われたのかなあ、って、だからこんな事を聞いて来た。


 「世界を壊して、みんなを助けたのはあなたね」


 って、そして1ミリだって、その視線を僕から離さない彼女は、僕に問いかける。


 「あなたは、誰?」


 そう単純に聞いて来るんだ、だから、名前をね、言おうとすると、それを聞かれたと思ったからさ。


 でも彼女はその前にこう尋ねてきた。


 「神様かしら? それとも魔王様? それとも、それを従えるとっても偉い私の知らない何かなのかしら?」


 流石に、上級な悪魔の高橋さんの娘さんだけあって、僕の周りにいる人たちを見て、だから春夏さんとかアキシオンさんとか、摂理さんとか、桃井くんやら、角田さんを見てそんなふうに言うからさ、僕はちょっと考える。


 自分の立場。


 ううん、違うね、自分の存在。


 いや、そんな大仰なものじゃない。


 今の僕は何者なのかって話。


 だから、そこは簡単に単純に答えるよ。


 いつの間にか、静かになってる大通公園、僕は、僕を見上げてじっと待ってる、悪魔な花嫁な少女に、そして、この、大通公園を、僕を見つめる多くの魔物、いつの間にか再びダンジョンから出て来てるギルドの人達を見て、彼女に伝える。


 「僕はね、ただの、ダンジョンウォーカーだよ」


 うん、そう。


 僕は北海道ダンジョンウォーカー。


 今までも、今も、そしてこれからも、ずっとそうだよ。


 ただの北海道ダンジョンウォーカーさ。

 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ