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北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆終章 異世界落下編◆
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第149話【春夏と秋】

 うん、すぐに反対意見にも耳を貸して、納得するところは、納得する春夏さんはいい人だね。素直で、柔軟で優しいね。


 頑なに、現状を把握もしないで、自分の意見を押し通そうとする人って、たとえ同意見だとしても、長い目で見ると、いずれ敵になる人だよね。これからのことを考えるなら余計に柔軟い考えなきゃ。春夏さんはそれができる人だよ。


 「だからさ、そんな事の為に、異世界の人たちが、自分の個性を消してしまうなんてバカらしいよ、で、春夏さんが犠牲になる必要なんてないんだよ」


 だって、飛べる人が飛べなくなって、水中で息できる人が水中で息できなくなって、手足がいっぱいある人が普通の体になって、ってもうマイナスじゃん。


 心配している春夏さんは、


 「でも、秋くん、以前も世界がこの北海道に対して管理を奪おうとした人もいる、それは違う価値を敵とはみなさないけど、その力とか個性を意図的に欲しがる人もいるわ、静流さんを利用していた人たちは、決して私たちに利用された訳ではない、むしろ、私達を利用していたわ」


 って言うからさ、


 「大丈夫、そのための僕達だよ」


 って言う、そんなの全部来たって殲滅しちゃうから、なんだったら、そんな危ない国は最初からなくしてしまう方向でもいいよね。


 だって、春夏さん……、世界の為だもん。


 前にもアキシオンさんが、「ちょっとこの世界は人が多すぎますね」って言ってたから、快く協力してくれる筈、今は摂理さんもいるしさ、仲良くできない人は最初からいない方向で……。


 って思ってたら、


 「秋くん、今、何を考えたの?」


 って、春夏さんがすごい険しい顔して言って来るけど、緊張した春夏さんも可愛いよね。


 「いや、世界が、春夏さん達を受け入れないって言うなら、受け入れる社会を作ってしまおうかなあ、って、すぐ終わるからちょっと待ってて春夏さん」


 って言うと、春夏さんは首を横に降った。


 この時、僕は簡単に考えていたんだ。


 すごい軽い気持ち。


 だって、春夏さんが困ってしまう世界なんて嫌だからさ、って、その後と言うかこの先僕の周りに形成される、僕を一般の社会に止めておくために組織、真壁秋包囲網(この国を含む世界からの認識)特に静流から言われたのが、


 「真壁の場合、軽い考えに実行力が共なうから始末に追えないのよ」


 って言われる、釘を刺される。


 嫌だなあ、それじゃあ僕、まさに洒落でも無く本当の魔王みたいじゃん。


 そして、今見ている、春夏さんもハラハラしてるんだけど、ハラハラしてる春夏さんも、可愛いなあ、って、それを見ている僕は幸せだなあって思う。


 だからさ、尚更さ、春夏さんの憂いを吹き飛ばしてやらなきゃって思うんだよ。


 「大丈夫、秋くん」


 だから僕も言うんだ、


 「大丈夫だよ、春夏さん」


 って、もう大船乗った気持ちでいないよ、って思う僕。


 「ずっと一緒にいるからね、もう決して離れたりしないから」


 って言う春夏さんの言葉。


 すごく嬉しい。


 その表情が、例え僕が思っていたものと違ったにしても、『秋くんを一人にしてはいけない』って謎の使命感を感じてしまうのは、今、彼女を目の当たりにしている僕だけだろうか? 


 もうちょっと柔かくて優しい表情でもいい様な気がするけど、春夏さんは僕を抱きしめて、


 「戻ろう、大通公園に」


 って言って、そこから、薄く光がさす地上に浮上を開始しする。


 この時、僕は焦ったんだよ、だから、


 「春夏さん、ちょっと待って!」


 って言おうとするんだけど、その言葉は、僕らの速度が上がって周りの流体によって阻まれる。


 そして、液化した地面から、大通公園、4丁目ゲートのある、見慣れた景色を見たときに、地上に帰って来たことを僕は思い知り、そして後悔して叫ぶ。


 「誰かー! 服!!! 春夏さん真っ裸だから! 誰かー! 服持って来て!」


 そんな現実を全く気にしていない様子の春夏さん。


 いや、僕が嫌だから、誰も春夏さんの裸とか見るな!


 世界を救うワールドワイドな行動に、この一瞬だけは、春夏さんの裸を誰にも見せたくないって極めてミニマムな僕の心境の差。


 光を浴びながら、今の格好だと前はセーフだな、って考える僕だったよ。


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