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北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆終章 異世界落下編◆
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第135話【照準、大きさ、だいたい捉えた】

 そして後ろには葉山、そこに並んで、白馬さんと三爪さんに守られるみたいにディアボロスくん。


 そのディアボロスくんが言う。


 「ともかく、阻まれているあの空間と空間を隔てる『境界』をなんとかしないといけないです」


 時折、吹き荒れる風の中に乗って来るみたいなディアボロスくんの声。


 僕はその内容を受け取って、摂理さんをみると、うなづいてくれるから、


 「大丈夫、もう解決している問題だよ」


 って伝えて、


 「あの、『壁』を取り払うと一気に落ちてしまうけど、それでも残った人たちは大丈夫かな?」


 と今度は僕の方が尋ねた。


 「はい、あのまま、空間に存在する境界壁に削りとられながら出て来た方が危険です、みんなこっちに出る前に、あっち側に落ちてしまいます」


 とディアボロスくんが言う。


 「うわ、じゃあ急がないと」


 僕の言葉に、


 「世界をそちら側に押し留める、あの境界がなくなると、一気に落ちて来ますが、大丈夫ですか?」


 と摂理さんが僕に尋ねて来る。


 まあ、大丈夫じゃないかな?


 って言おうとすると、


 「最悪、個々の時間に干渉します、遠慮なくやって下さい」


 アキシオンさんがそう言うんだ。


 最後に摂理さん、僕の方を見る。確認しているみたいに僕からの返事を待つ。


 「お願い、壁を取り払って」


 って僕が言うと、摂理さんは前を向いた、一つ、深呼吸する様な仕草を取る、

そして、


 「境界消滅、世界を統合しました」


 と言った。


 ありがとうって言う前に、それどころじゃない事をすぐに知った。


 速度が、異世界が落ちて来る速度が今までの比じゃない事、そして、まばらにその世界から、小さな点が、地上に降りそそいで来る事のがわかる。


 僕は、それがなんであるか、視界で確認して考える前に、


 「あれ、全部人?」


 って言うと、


 「はい、僕と一緒です、『無為な民達』です、みんな落ちてます、飛べないです、助けてください」


 ってディアボロスくんが必死に言うんだ。


 その不安や怖れを吹き飛ばす様に、背後から巨大な暴風と、そして、影。


 びっくりして、見ると僕らの頭上を超えて、真っ直ぐ落ちて行く世界に向かって飛んでゆくのは巨大なドラゴン。


 ティアママだった。


 その背後に、何十、いや何百という同じ眷属であろう竜達を連れて、落ちて来る速度を増している異世界に向かって一直線に飛んで行く。


 そして、その下では、地表に近いところから、空に向かって逆に傘を開く様に、光の網が次々と出現する。


 あれはわかる、此花さん達だ、ティアママ達が間に合わなかった人達のフォローに入ってるってか、数的に言うなら、あっちが本命かもしれないってくらいの網の数。


 誰一人漏らす事なくお願い。


 そう思うって、でも彼女達ならそれをやってくれるって、信じてると言うか、そう言う人達だから、僕は僕の仕事をしようと思う。


 「いくよ、アキシオンさん」


 呟きと同時に、アキシオンさんは僕の手のなかに出現する。


 いつもの剣、ちょっと変わった形のブロードソードな感じで、いつもの感覚でいつもの重さ。


 一度、空を上から下に斬り下ろす。


 まだ何も斬らない。試しただけ。剣の調子と自分の調子をね。


 うん、いいね。いつも通り。


 僕の脳裏に響く嬉しそうな声。


 「秋くん、世界を一撃で壊す力、みんな揃ったね」


 って。


 うん、そうだね。


 僕の力ってわけじゃなくて、これはみんなの力だけどね。


 僕は、そう答えながら、じっくりと目の前にある、この札幌の地表に今にも落ちて来そ

うな異世界と言う、空から重力加速度をともなって、落ちて来る大地を見据える。


 そして、


 「ディアボロスくん、準備はいい?」


 って、もう一回、確認すると、


 「はい、大丈夫です、みんなを助けてくれてありがとうございました」


 とってもいい笑顔。


 そこには不安なんて吹き飛んでしまった男の子の顔があった。


 向こうに残して来た人たちが心配だったんだね。やっぱりいい子だよね、ディアボロスくんは。


 とちょっと心がほっこりしている僕。


 そして注文が入る。


 「なるべく小さくしてください、僕の能力で処理できるくらいの大きさが好ましいです」


 って言うんだよね。


 「どのくらい?」


 って聞くと、ディアボロスくんは、再び、自分の手を広げたり縮めたり、しながら考えた末、


 「こ、このくらいです」


 って言うんだ。


 わかった、その小さいところくらいで合わせてもらおうよ。



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