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北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆終章 異世界落下編◆
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第133話【落として、壊して、安全に】

 このことに言及したのは真希さんやティアママ、そして他ならない他の三柱神だから、角田さんとアモンさん。


 だからさ、どっちか生かしてどっちか殺すなんて方法はとらなくても、永きに渡ってダンジョンが根付いているこの北地なら、それ以前に、永い歴史の中で様々な文化を否定もせず肯定もしないで、普通に今も尚、現存できる懐の深さを持つこの北海道でなら、西洋の文化も大陸系の文化も受け入れて、七夕なのに8月7日に、ローソクとお菓子をもらいに仮装した子供達が各家を練り歩く、都合の良いところをまぜまぜにするこの北海道なら、双方を生かす方法があるって事を、僕らがわも、向こう側も模索して、発想して行動してたってことになる。


 だから思うんだ。


 今、こうして、空に浮かんだ異世界が、ここに落ちて来るのも、ここにダンジョンができたのも決して偶然じゃないって事を。


 絶対に、ここ北海道を狙ってやってきたって事を。


 この北海道なら、尻尾が生えてようが、頭に立派なツノがあっても、みるからに牛な姿でも、基本、『個性的』ですまされる、おおらかな土地だから。


 永い時をかけて、ここに選定されたんだって、今は思ってる。


 一部、間違えて行動していた勢力も、生き急ぐ魔物な幹部な人たちも、実力で納得してもらった事だし。


 これで前後左右上下とも、全方面での解決はできていると、こっちと向こうのやるべき事は全部させてあげたって思うから、ここから、いよいよ力づくで行くよ。


 「じゃあ、みんな、それぞれがやるべき事はわかってると思う」


 ってみんなを見てから言うと、


 「それじゃ何も伝わらない筈なんだけど、きちんと作戦を立案しなさいって、いつも言ってるでしょ?」


 って、そんな事を葉山に言われるけど、今はちゃんと理由があるよ。


 僕にとってこれからみんなにとってもらる行動は細かくで多岐にわたるから、説明仕切れないんだよ、でもみんな察してくれるから大丈夫、例え間違っても、人的と言うか、魔物的と言うか、つまり命に関わる事はみんな此花さん達がしてくれるから大丈夫。


 失敗しても街のインフラが壊れるだけだしさ、それに北海道の人口も増えるし、あっちの人ってスキル持ち当たり前みたいだし、力持ちだし、復旧すればいいじゃん。協力し合う事で仲良くもなれる、大丈夫。街の人たちみんな逃げてるから。


 って事を整理して言おうとするけど、なかなか言葉にできないで、困ってると、


 「いいわ、そうね、うん、もう、今更だったね」


 って葉山はあまり見たことのない笑顔で言うんだよね。


 え? 僕、ガッカリさせた?


 「大丈夫です、お館様には我らがついております」


 って蒼さんが、酷く興奮した顔して見上げて来る。


 うん、まあ、そうだね、うん、蒼さんはいつもと変わらなくて安心するよ。


 なんて安心する僕に、真希さんが急に腰の中をどついて来て、


 「ほれ、魔王でリーダーなアッキー、作戦名くらい言うべさ」


 って言うので、僕は考える。


 えーと……


 作戦名は、


 「……落としてから、壊して、混ぜ合わせる?」


 「なんで疑問系なのよ?」


 って葉山に言われるも、


 「スクランブルエッグでも作るみたいだね、僕は料理とかやらないから知らないけど」


 って八瀬さんも言う。


 いやだって、実際そんな感じじゃない?


 一応はグダグダに纏まりつつも、最後に白馬さんが、


 「なあ、真壁、どうして異世界はここ、北海道に落ちてこようとしているんだろうな?」


 とか聞いて来たから、僕の中にある、予想を説明しようと思うと、ディアボロスくんが、


 「それは決まってますよ、観光です、ウニもカニも美味しいですからね、北海道ですから」


 って、ドヤ顔で言ってた。


 そう言われてみると、対ダンジョンウォーカーって構図は多かったけど、実際に、周辺施設に被害を及ぼした武闘派っていないなあ、と、藻岩山取った魔物の集団もそこから動こうとしてないし。


 そっか、それもありかあ。


 これから、やろうとしている事、最後の混ぜるについては、もうすでに、誰も知らない間に始まっていたのかもしれない、なんて思い至る僕だったよ。

 

 

 


   


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