第131話【異世界落下、準備良し】
どうやら、札幌の空に出現した異世界は、空中に固定されたかの様に全く動かなくなってしまったとい言う話だ。
今、事態が落ち着いていると言うのはどうやらそう言う事らしい。
一応、正確な所を知りたくて、その出身者で、それも途中に割と最近来たって言うディアボロスくんに話を聞いてみるんだけど、
「あれって、今、何割くらいこっちに出現してるの?」
って話を聞くと、
何故か白馬さんの方を見る。
「俺は、お前の世界を知らないぞ」
って言ったら、何かを思い出す様にハッとして、それからちょっと考え込む。
次に今度は自分の手を広げたり、縮めたりしながら、適当な手の位置で、
「こ、このくらいかな?」
困った顔して僕を見つめるディアボロスくん。
それじゃ相対的な大きさと言うか元の何割かわからないし、って困る僕
それになんで疑問形なの?、聞いたの僕なんだけどな……。まあ良いか、ちょっと誰かわかる人いないかなあ、
って思い悩んでいると、
「確か、沖縄本島くらいの大きさだって言ってたから、まだ半分も出てないんじゃないかな?」
って葉山が言う。
酷く激しく頷くディアボロスくん。
ごめんね、変な事聞いちゃって。
って思って、おおよその目安として考える僕。
このままのペースで行くとまだ少しかかるなあ。
って思って、じゃあ次に、
「未だ、その世界に残ってる人ってまだいるのかな_?」
って思った事を口にしてしまう僕がいて、すると今度はさっきとは全く様子の違うディアボロスくんが、
「はい、います、とてもたくさんいます!」
って僕に食いつくくらいの勢いて言って来るからびっくりした。
「う、うん、そうなんだ」
ってちょっと焦って返事を返すと、
「みんな戦えません、飛べないです、ジャンプもできません、移動できないんです」
って言い出す。その顔は本当に必死みたいに真剣でいて強い。
僕はディアボロスくんの勢いにびっくりして、だって、ほらディアボロスくんって、どっちかって言うとポヤポヤってして、ボーッとしてる印象しかないから、こんなに必死な表情もするんだって、今、思う様な事じゃないけど、彼の彼だけの意識というか意思を感じたんだ。
「そうなんだね、どのくらいの数の人がいるの?」
って聞いたら、
「人じゃない人もいますけど良いんですか?」
って聞いて来るから、
「うん、良いよ、で、助けないといけない異世界の人ってどのくらいいるの?」
また、また自分の手を広げたり、縮めたりしながら、適当な手の位置で止めたりして、考え込む。
いや、今度は大きさではなくて、人数なんだけどなあ。
そして、また困ったディアボロスくんは白馬さんを見る。と言うか見つめる。
すると、白馬さんは、
「いや、俺は知らんぞ」
「あ! そうですね、白馬はあっちの人じゃないですよね」
と納得のディアボロスくん。
白馬さんの隣の三爪さんもそんなディアボロスくんの様子を見て苦笑いしてた。
なんかこんな様子を見てると親子みたいだなあ、ってちょっと微笑ましかった。
いや、今はそれどころじゃないや、ほっこりしてる場合じゃなかった。、
するとディアボロスくんは、情報を拾えない事で彼を諦める僕に対して、必死に訴えかけるんだ。
「たくさんいます、すごくたくさんです!」
うん、良いよわかったから、気持ちは拾っておくから。
どうしようかな、ある程度具体的な数がわからないと、こっちも対応に困るかもしれない。
異世界を壊して失った大地からこぼれ落ちて来る人ってか魔物の数を把握したいところだけど、このままだと最悪、救えない人が出るかもしれない。
「大丈夫よ、私たちがなんとかする」
って言ってくれるのは此花姉妹の椿さんの方。そして、頷くのは牡丹さんで、
「椿が考えている事はわかるわ、だからあの位置から限定で落ちて来るのなら、大丈夫、対応は可能です」
おお、すごく心強い。