第127話【魔法スキル極めた者達の戦い】
しかも言葉のお尻にいらん情報まで乗っけて、シリカさん、もう火に油だよ、ガロンかバーレルで注いじゃってるよ。
「ばかにするのもいいかげんにして!、貴方たち、まとめて丸焦げにしてあげるわ!」
って上品にブチ切れる黒い魔女の人に、角田さんは嬉々として。
「やったなシリカ、上出来だ」
と喜んでいる。
「こいつ、人を苛立た出る事なら多分全国区ですよ、ある意味スキルみたいなもんですね」
なんて言っているけど、むしろスキルじゃない方が問題なのではと思ってしまう僕だった。
まあ、それはともかく、シリカさんを使って、上手に黒い女の人の怒りのテンションをマックスまで上げて、最大の攻撃をさせようって目論見は完成したようだけど、この後どうするんだろ? また導言で打ち消しあうんだろうか?
すると、変化の現れたのは、黒い女の人の方だった。彼女は叫んだ。
「来なさい、『囁き、見つめ、聴く』者共!」
彼女の回りの大気が歪む。
そこに無数の『顔』が浮かび上がる。
なんかドクロっぽく、瞳とかないし、髪もない、大きさも人間のそれよりもだいぶ小さくほぼ拳の大きさくらいの、そんなものが、合計で12個、黒い女の人を中心に浮いている。
すると、角田さんは、
「うわ! まいったな、12個かよ」
っていう。
「角田さん、あれは?」
「魔法スキルも極まってくると、発言数を増やすことができる人間がいます、第5位以上の魔法を使えるものにはは割と多いですよ、あれは自分の放つ導言を同時に12、本人を含めると13の発言が可能で、つまりいまの現状だと13個の同時魔法攻撃が可能なんですよ」
すると黒い女の人は声高々に笑う。
「私をからかった罰よ、この12個の『請負頭』を持って、最大の雷の魔法の同時発言で、葬ってやるわ、覚悟しなさい」
そうか、仕組みがわかった、つまり、この12個+黒い女の人の13の同時の魔法使用に攻撃なんだね。ダメじゃん、こっち魔法使える人、角田さんしかいないじゃん、1対13で13引く1だから、普通に考えると余った攻撃が12回くるよ。しかも最大とか言っちゃってるし。
いよいよ僕ら死ぬんだろうか?
仕方ないので彼女のいう通り覚悟する僕なんだけど。そんな時に見た角田さんは、笑っているんだよね。
やけくそって感じかなくて、なんか、こう、うまくは言えないんだけど、とてつもなくマジメなヤツを思うマンマはめてやったぜ、って言う、イタズラが大成功した、ってそんな表情。だって、もう、角田さん、笑い声が漏れ始めてるもの。
「ぷ」って吹き出してから「ダーハッハハハハハー!ハッハハハハ」ってもう大爆笑。
角田さんって、こういう時、悪魔みたいな顔するんだなあ、って思った。
「死ね! クソが!」
って黒い魔女の人は怒りが心頭して、下品に叫んでから、発言した。
「ザザザザ・ジク・アラウド(×13)」
あいかわらす、角田さんは大笑いしているけど、その笑い後に混ざってその周りから同じ発言が同じ数だけ誰る。なんか下から聞こえた。
だから、何も起きない。
いつも通り、誰もがしってるとても静かな海。
『鏡界の海』にはいつもの静けさしかない。
黒い女の人は、事態が把握できないって表情をして、一体何が起こったのかをあたりを見回して、確かめているような、そんな素ぶりを見せていた。そしてたまらず、敵である角田さんに訪ねてしまう。
「何をしたの?」
相変わらず、角田さんは大笑い。本人は気が付いてないけど、完全に悪人笑いだよ。なんか禍々しいもの。
「笑ってないで、答えて、一体何をしたの? どうして私の魔法がかき消されたのよ!」
「おいおい、しっかりしろよ、導言は導言によって打ち消しことが出来るって、魔法スキル持つヤツなら常識だろ」
「請負頭なんてどこにもない、しかも13の発言は一体どこから…」
と言って黒の女の人は、確かに囁かれ発言された声を聞いたことを思い出し、その声が聞こえたであろう音源を目で追っていた。
すると、この1センチに満たない海の水を見つめていた。
「まさか!」
静かな水面が隆起する。
まさに浅い海に深く深く潜航してものたちは姿を現したんだ。