表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆終章 異世界落下編◆
1306/1335

第126話【妻は夫の願いを叶える】

 委員長な顔して、クラス代表って感じで、今から職員室に乗り込んで、無茶な企画を担任に一回、相談しようみたいなノリで。


 いや、マジで?


 僕は、そう思って、自身のこれからの行為に対してかなり疑心暗鬼になりながらも、それでも言ってみたんだ。


 「あの、それ、やめてもらえませんか?」


 すごい間抜け。


 声は普通だけど、こう、どこか今の現状に添わない何を言ってる気分が物凄い。


 でも、まあ、そういう事だよね。


 そしたらさ、僕の仮想奥さんは考えこむんだよ。


 でも、考えて答えを出さないでもさ、僕に、いや僕らの世界に対して、僕らは彼女、摂理とか境界に対して、止めてもらう為の代案というか取引条件なんて持って無くて、これは僕の一方的なお願いになるからさ、次のお願いの仕方、そして手段を考えなきゃって思ってると、僕の仮想奥さんは言うんだよ。


 「わかりました」


 って。


 ほらね、わかっちゃったよ。


 だから、ダメだって思ったんだよ。


 確かに、人格を持って、擬人化してくれて、話やすくはなったけどさ、そんなに簡単に、やめてくれる訳ないじゃん。


 ってそこまで先に思考が進んでから、葉山に腕を引っ張られて、グワんぐわん揺すられて、


 「真壁、わかったって、わかったって言ったよ、真壁だと良いんだ」


 って言うんだよ。


 いやいやいやいやいやいやいや……。


 え?


 良いの? 


 そんな簡単で?


 びっくりして、


 「良いんですか?」


 って聞いたら、


 「はい」


 って二つ返事だった。


 僕は驚いて、アキシオンさんを見るんだけど、アキシオンさんは、さもわかり切った結果だと言わんばかりの態度で、三杯目のお茶を美味しそうに飲んでいた。


 僕の仮想奥さんは、


 「まずは、隔壁を取り除きます、この二つの世界を一つの世界に統合します」


 って言うんだよ。


 うあ、願ったり叶ったりだけど、良いのかな? こんなに簡単で?


 「物理的干渉は、あなたの計画で進めて結構ですよ、こちらが手を出さずともそのやり方で大丈夫です」


 って言ってくれた。


 ああ、よかった、これで再び、脱線したって思ってた軌道が元に戻った気がする。


 後は、ディアボロス君の出番になるな。


 って思って、それは良いんだけど、そのことは良いけど、それ以前に、


 「対価とかは、僕はお礼に何をすれば良いのさ?」


 って尋ねる。


 すると、僕の仮想奥さんでは無く、アキシオンさんが答える。


 「オーナー、妻が、愛する夫の願いを叶える為に対価なんていちいち請求しませんよ」


 って言い出す。


 え? 何? どういう事?


 未だ、疑問の範囲にいる僕に、


 「なんの為に摂理という現象に人格を持たせて、さらにオーナーの妻と言う位置に配置したのか、考えてみてください」


 と言ってから。ちょっとイラッとしながらいうから、僕としても何も言い返せない。そうなんだね、って思うしかない。


 「対価というなら払うのは私ですね、若干手狭になったというか、この立場でのオーナーの独占が叶わなくなりましたから」


 と、さぞつまらなそうにいうんだよね。アキシオンさんに不利益があったってことね。


 よくわからないけど、なんかごめん。


 って思うけど、特に悪気も無いのは、この時点て、可能不可能でいうなら、僕の計画は可能になったわけで、これで全部丸く治るなあ、って、ここでようやくお茶を飲もうとすつと、もうすっかり冷えていたであろうお茶は、僕の奥さんによってすでに入れ替えられていて、感心して、一口啜ると、ちょっといつものお茶じゃないなあ、って気がついて、そんな顔をしたからだろうか、摂理さんは、


 「ごめんなさい、丁度切らしていたみたい」


 って、本当にすまなそうにいうから、


 「いや、いいよ、そんなの、これはこれで美味しいから」


 って言ったら微笑んでくれた。


 思わず、そんな大人の女性の微笑みに、微笑み返してしまう僕なんだけどさ。


 ほら、葉山、揺すらない、今、お茶を飲んでるんだから、なんとかなるって決まったんだから、ちょっとは一息着かせてよね。

 

 

 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ