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北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆終章 異世界落下編◆
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第119話【有識無識、多元でいて、宇宙全体ともいえる世界】



 

 



 不倫なんてならないし、許されない愛でもないし、堰なんてモノも存在しないし、家庭も無ければ貫くつもりもないって言いいたけど、なんかもうね、葉山、楽しんでる?って感じでこのシュチュエーションに酔ってるみたいだし、ああ、もう、本当い問題解決する意思とかないのかな? って思う。だってすっかりこの世界観の中にいるんだもん。


 「私は私のお館様を失うわけにはまいりません、お館様はお館様でいていただかないと困るのです!」


 ほら、いつも冷静な蒼さんも、すっかりおかしな考えに浸る葉山に引っ張られて巻き込まれてしまってる。


 もう二人にやいのやいの言われて、いや、ちょっと、本当にどうしよう? ってなってるこの状況に対して、


 「いい加減い落ち着け」


 って、冷静に声をあげてくれるのは薫子さんだった。


 驚いて、薫子さんを見てしまうんだけど、


 「何をそんなに驚いた顔をしている、真壁秋?」


 って言われるから、


 「いや、意外に冷静でびっくりした、薫子さんなのに」


 って言ったら、


 「お前、人をばかにするのもいい加減にしろ!」


 って怒鳴ってから、


 「私はいつも冷静だろ、この現状から脱っせねば、これを見せてる相手の思う壺だぞ」

 って言い出す。


 すると、


 「そんなのわかってるわよ」


 って普通に葉山が言うからびっくりする。と言うより納得する。やっぱり葉山、わかっててこの態度だった。


 で、蒼さんはと言うと、本気でパニクってるみたいなんだ。


 あ、今、自分のご主人を躊躇なく殺めようと算段がまとまったみたい、見えない様に秋烏をそっと構えてる。すごいよねこう言うときの蒼さん。殺意なんて微塵も出てないけど、僕にはわかるよ必殺の怒気に包まれてるね、問題があるなら、それを消してしまえって言う思考なんだね。ダメだよ、危ないから仕舞おうね秋烏って、僕は蒼さんの秋烏をそっと押して留めた。


 それだけで、蒼さんは僕の言いたい事をわかってもらえるから助かるよ。ちょっと反省したみたいで、


 「すいません、つい……、次は気取られる前に始末します」


 違う方向で反省してたみたい。


 あれかな、なんとなく結婚とかしてしまうと、こんな結果になるんだろうか?


 少なくとも互いに思い合っていなければ結婚なんてしない方がいいよね。まして、『妥協』だなんて言ってる様なら尚更で、お金や生活だけの事を考えての結婚は最初から壊れている、と言うか、楔が撃ち込まれているに等しいんじゃないかって、今の葉山と蒼さんを見ているとわかるよ。


 やっぱり『愛』って大事だよね。


 それにしても、ここってどこなんだろう?


 一応は僕は自分家から出てきたけど、外に出ると、なんか一々作りが甘いって言うか、なんか広場だここ。


 僕の家の前はちゃんと道路だよ。だからここが現実なんて事があるはずもないってわかるし感じているわけで、どうにも閉じ込められた感がやまない。


 多分、ここから出られないって、普通にピンチだ。


 今もきっと異世界は北海道に落下しているだろうし、未だ魔物の人達の抵抗勢力はいる。


 このままここから動けないと、みんなが幸せに大団円の結末は無くなる。


 地上にも異世界にも大きな被害が出る。


 そして、互いに被害を受けた世界は、そこを起点に不用意な争いや、偏見とかくだらない結論になる。


 早く帰らなきゃ。


 だから冷静に考えてみる。


 願いが叶ってる薫子さんはともかくとして、葉山と蒼さんのこの反応を見ていると、誰か一人の夢とか願望って訳じゃなくて、みんな全体的に意識を保ったまま、おかしな世界に巻き込まれているっ。


 というか、なんだろうね、この世界?


 そのまま玄関にたたずむ僕は、開きっぱなしの家の玄関の方を、不意に見てしまう。


 すると、その廊下からパタパタとスリッパの音を鳴らして、僕の奥さんと言う人物が駆け寄って来る。


 そして僕の奥さんを名乗る人は言うんだ。


 「あら、お帰りなさいあなた」


 って、そしてお決まりの台詞を続ける。


 「ご飯になさいます? それとも先にお風呂かしら?」


 と言ってから、続く言葉は、


 「それとも先に、有識無識、多元でいて、宇宙全体ともいえる世界の全でしょうか?」


 って聞いて来るんだよ。


 僕はそんな言葉を聞いて、いや、どれもいらないし、って思うんだけど、ひとまず言ったのは、


 「いや、立ち話もなんだから、お茶でも入れてよ」


 って言って、ひとまずみんなを家の中に入れた。


 ともかく話はそれからだね。 

 

 

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