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北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆終章 異世界落下編◆
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第117話【来るはずの無い未来、来てほしくない未来】

 あれ?


 なんだこれ?


 ってかなんでこんなところにいるんだろ?


 きっと背広とか着ているから、僕ってもうすっかり大人の設定なんだと思うんだけど、その見た目に反して、僕自身の見た目の成長がないから、なんかちくはぐな感じだ。ってか背が伸びてないじゃん。そして、おそらくはこれから会社に行こうっていうのになんで片手にアキシオンさんを持っているんだろう?


 ちょっと色々と気になる所が色々と多いけど、進まなくなりそうなので、仕方なく僕は今の雰囲気に合わせて、


 「じゃあ、行って来るよ」


 と声をかける。


 だって、ここ僕の家だから、いかにもスーツで今から会社って事だから、一応はそんな挨拶を家の奥に向かってして見たんだよ。母さんでも出て来るのかなあ、って思ってた。


 すると、奥の方で、きっとキッチンで洗い物でもしていたのを一旦中止して、僕が立つ玄関まで来てくれる。パタパタって、スリッパで廊下に音を立てながらやって来る。そして、


 「行ってらっしゃい」


 って言われるんだけど、僕はそんな言葉を発する人物を見て、心底思うのは、


 誰?


 って言葉だった。つい発してしまいそうになったけど、本気で思う。


 だって、今僕に微笑んでるこの人、全く見覚えのない人なんだよ。美人ではあるけど、家着のままでエプロン姿も可愛らしいけど、本当に見たことない人なんだけど、とても愛想良くこんな言われてびっくりする。


 でも、まあ、


 「ああ、うん、行って来ます」


 って言う僕なんだよね。


 いや、だって、なんか一生懸命さと言うか直向きさ、伝わって来るからさ、でもガン見してしまうから、


 「いやだわ、あなた、そんなに見つめられると夫婦でも恥ずかしいわ」


 って言うからさ、なんだよ、これ? もう全開の好意ってのかな、そんなモノを恥ずかしそうに、恥ずかしげもなくこちらに向けて来るから、なんかこっちも恥ずかしくなるんだけど、でも、ちょっと唖然としてしまって一瞬硬直してしまう。


 そっか、誰か知らないけど、この人、奥さんって設定なんだ。


 僕、自分の奥さんの名前も知らないや。


 今の僕に対して、だから普通に高校生なんだけど僕、それに対して、彼女はきちんと成人女性なんだよね。多分、年齢も二十代くらいかなあ……。だから僕も本来ならそれと同じ設定なんだと思う。


 と言うか、本当に、まるで知らない人。美人だけど、ニコニコしてるけど、どうやら僕は葉山を含む周りにいた女子とは結婚していないって形になってるみたいだけど、それはそれで納得いかないってか、せめて春夏さんにでもしてくれると、こっちももう少し否定的でもなくこの世界観に付き合えるのになあ、なんて思いつつ固まってしまう僕だった。


 そんな僕の石化にも近い硬直を解いてくれたのは、


 「真壁秋! ちょっと待て、私も行く!」


 って、今まさに二階から降りてきたのは薫子さんだった。


 「あ、義姉さん」


 って、きっと僕の奥さんであろう設定の人はそうんな風に声をかけるんだけど、薫子さんいたんだ、と驚く。


 すると、薫子さんは、


 「何を言う、私は正式にお前の姉だぞ、そうみたいだ、そうなってる様だ、つまり、今日花様は公式で私の母親ということになるな」


 って心底嬉しそうに言う薫子さんの笑顔に、まあ本人は満足しているんだからいいか、ってなる。


 と言うか、これら登場人物って言うか


 引っかかる所、というかツッコミ所というか、言いたい事は沢山あるけど、もう少しこのまま様子を見ようと思う。


 ひとまず、会社に行こうって思って僕は薫子さんと一緒に家を出る。


 出るんだけど、その薫子さんに、


 「薫子さん、顔洗った? ちゃんと歯を磨いた?」


 って言う。これはいつも葉山が言ってことだけど、毎日、起き抜けの薫子さんに言ってる事だけど、今回は僕が言った。


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