第102【此花さんたちの真の目的というか計画】
そんな困惑する僕に対して、本当にドヤ顔で、
「でもね、双子が生まれ来る確率って言うのはね、たったの1%くらいなのよ」
って椿さんが言うんだ。そして、
「将来的に、私達は子供を産むにしても、確率の悪い方へ傾くと、二人で平均50回の出産をしないと双子を産めない計算になるのよ」
って言い出す。困ったな、この話って僕、最後まで聞かないとダメな奴かな? 此花さんたちの家族計画とかにはとやかく口を出す立場でもないんだけど。
ちょっと困ってる僕に、椿さんは何か勘違いしたのか、
「そんなの時間的にも肉体的にも大変でしょ? できたとしても難しいわ」
そうだね、不可能って言わないところが常に挑戦者であり研究者であり研鑽者である此花さんらしいけど、確かに常軌を逸してるね、流石に50人子供をうんだお母さんの話しって聞いた事ないね、って僕もそれには賛同するよ。
すると、椿さん、手足が回復したみたいで、一回、両手をブラブラさせてから、顔の前に指を一本立てて、
「そこで代替案があるのよ」
って言い出す。
「これには流石の私も頭を使ったわ、もう、ひねり出した感じかしら、でも可能な案なの」
って言い出す横で牡丹さんが、すごく大きなため息を吐いた。もうブレス?ってくらいのため息を吐いた。
「つまりね。私と牡丹で同時に子供を産めば、一人が双子を産んだ時の同様の効果を得られるのよ」
って言い出す。まあ、その場合は従姉妹になっちゃうけどね。でもそうだね、双子の様に育てることは可能だね。って僕も思った。
「で、出産後に、また同じ事をすれば、私と牡丹は互いに擬似的に双子と同じ子供を持つことができるの、完全にそうなるの、だって私達も双子なんだから」
あ、でも、それってお互いの旦那さんが双子なら良いけど、それ以外だったら、母は此花さん達だろうけど、って、そんな事を思って、でもそこでハッとしたんだ。
だから僕は、この時点でこの計画の深さと言うかディープな企みをしらずに、軽く合わせる感じで、椿さんに、
「じゃあ、旦那さんも双子を選ばないとだね」
って言ったら、
椿さんは、普通の顔して、普通の声で、でもそこに疑うべき意識も、自身の考えに絶対的な正当性を乗せて、
「え? 何言ってるの? 私達の子供は、将来、魔道士の王になり、人の身でありながら神の知識を持つ双子の父親は、魔王アッキー、あなたよ」
って言うんだよ。大きく見開いた瞳は、僕を真っ直ぐ見つめて、まるで狂気の深淵を覗かせる、彼女達の頭脳の片鱗すら見せてきてそうな視線が、やっぱり可愛いなあ、って美人だよなあ、この姉妹って思えた僕はこう言う事態にどうも慣れを感じている様だ。事態ってか、発言ね。
それでも、一応は聞いてみるんだよ。
「それって、どう言う事なのかな?」
すると、椿さんは、とても不可思議な顔して、
「あなた、赤ちゃんの作り方知らないの?」
って、本気と思える発現して来るからびっくりする。そしてそんな言葉を呟く椿さんを支える牡丹さんは吹き出してた。もう爆笑してた。我慢できないみたい。
そして、椿さん、ちょっと大声出すのは辛そうなんだけど、でも、
「葉山! ちょっとどうなってるの? 誰も教えてないの? あれだけ女の子がいるのに、まだ試して無い訳?」
って、半ば切れながら言う椿さんに、葉山が近づいて、
「仕方ないじゃん、真壁、なかなかその気にならないんだから、こっちがそのきでも、あまりしつこいと嫌われるのも嫌だし……」
不満そうにブツブツ言う葉山だった。
「何? そんなに近くにいるあなたでもそうなの?」
って葉山に言ってから、椿さんは僕を見て、
「魔王種としてだからなのかしら? 発情期でもあるのかしら? きちんと観察してるの?」
って葉山に向けた言葉についに牡丹さんがお腹を抱えて笑い出した、「ちょっと牡丹、危ないじゃない、急に手を離さないで、ちゃんと支えなさい」
って言われるけど、もう無理で、横たわる牡丹さんの上に仰向けでのしかかってるみたいな椿さんになる、椿さんの姿勢って、もう本当にブリッジしているみたいになってる。
「ああ、魔王アッキーの顔が見えないわ」
とかぶつくさいってる。
そして、その姿勢のまま、普通に話す椿さんなんだけど、
「あなたは牡丹の事、好きでしょ?」
とか、いきなり聞いて来るからびっくりする。
だから、
「いや、違うよ、僕は……」
僕の心境ってか、僕が牡丹さんに対してどう思っているかって事を話そうとするんだけどさ、でも、その関係とかって急に振られても簡単に説明できないじゃん。
だから、その言葉を選んでいるうちに、椿さんが、
「え? 嫌いなの?」
って再び聞いて来るから、またびっくりする。
「いやいや、嫌いなわけ無いでしょ」
って言うと、
「じゃあ好きなんじゃない」
と再び椿さんが言う。念を押すみたいに言う。
でもさ、そう言うのじゃないし、まして子供を作るとかって、そんな話でも無いから、
「そんな感じの好きとかじゃないよ」
って言ったら、
「そんな感じって、どんな感じなのよ?」
またまためんどくさい事を聞き解して来るから、何をどう説明しようかなあ、って思ってると、
「ほら、友達って感じでさ、男同士でも好きか嫌いってあるみたいな感じだよ」
って言うんだけど、
「じゃあ、男同士で結婚しても良いわよ」
って言う椿さんに、根本と言うか、基本というか、今もこうしてわかり合ってるきがする僕だったけど、出発点を違えていて、今、こうしている現在、たまたま互いの接点が重なっただけに思える様になった。
うん、違うわ、僕、この姉妹と、きっと常識とかが全然違うんだ。
少なくとも椿さんとは、特に男子女子の関係において、互いに価値観をすり合わせるのは無理だと悟った。
「じゃあ、何? あなたは男女間の友情ってあるって思ってるの?」
って言われて、
「あるでしょ? ねえ」
って椿さんの下敷きになってる牡丹さんと、今は横にいる葉山に言ったつもりなんだけど、「ない!」って言う葉山に「あります」って言う牡丹さんで意見が対立する。