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北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆終章 異世界落下編◆
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第96話【完全魔法特化、究極魔法スキル姉妹】

 そして、僕としてはさ、そんなふうに樹脂化した葉山を見て、ちょっとこの姉妹のやってる事に安心してたからさ。


 樹脂化って難しいんだよ。それに相手に与える状態変化としては攻撃と捉えるには微妙なんだ。


 もっと安易に相手を無力化させる方法なんて沢山あるんだよ。石化とかもそうだね。でも樹脂化なんだ。


 かつて、桃井くんを運んだラミアさんの選択でもあった。


 樹脂化ってさ、軟性あるから衝撃にも強いしラミアさんがかつて自分の胃の中で守ってた様に、酸とか、化学変化にも経年劣化にも強い。


 しかもこの状態変化をもたらす事の出来るモンスターもダンジョンウォーカーも、ほとんどいないし、希少な能力だと思う。


 そして、何よりもこの樹脂化について言えるのは、この変化を与える相手を傷つけないって、そういう意思を感じるんだ。


 「ほら、魔王アッキー、あなたが戦わないなら、みんな樹脂化しちゃうわよ」


 って安全攻撃方法で煽って煽くる。


 それに魔王アッキーなんて呼ばれたの初めてだよ、自分だってわかるからいいけど、横で牡丹さんがちょっと微妙な、笑いを堪える顔してるから、きっと彼女の入れ知恵なんだろうけど、僕の反応が悪いから、


 「魔王アッキーでいいんだよね? みんなそう言ってるって、ねえ?」


 始まりの言葉は僕に、そして最後は姉である牡丹さんに確認している不安気な椿さんだ。


 「うん、いいよ、大丈夫」


 って言うと、椿さんは安心して、


 「魔王アッキーって、馬鹿みたいね」


 って安心したのかコロコロ笑う。その笑顔に、いやそんなの言ってるの椿さんだけだしとは言えない。ちなみに椿さんの隣の牡丹さんは、もう死にそうなくらいの大爆笑を無理やり抑えて変な姿勢になってる。


 相変わらずだな、この姉妹って思いながら、完全に理解できるのは彼女達は決して誰かに操られている訳ではないとい言う事。そして、何かをされて無理やりこの形に追い込まれている訳ではないと言うこと。


 だから、余計に厄介だなって、そう思った。


 つまり、僕は100%の裏も表もない本物の此花姉妹と戦わないとならないからだ。


 いつもならさ、どんな敵でもなんとかできる僕なんだけど、きっとタイプ的に、この姉妹と僕の相性は最悪なんだよ。


 きっとだけど僕が圧倒的に不利。それだけはわかる。


 さっきもさ、葉山は確かにそれなりの手心を加えていたとは思う。


 本気で、此花さん達を倒してしまおう、殺してしまおうなんて思ってなくて、有効な攻撃を入れれば、頭の良い彼女達なら、こんな戦いは無駄だって、そう気がついてくれるって思ってたはず。僕もそう思ってたから。


 だから、あの時の接近する、接触するまでの葉山の戦速は本物だったんだよ。


 遠距離を中心として戦い方を組み立てる魔法使いが対応できる様な速度ではなかったんだ。


 その葉山を歯牙にもかけない。一瞬で、一撃で葉山の攻撃力を無効化した。


 僕は後ろにいる角田さんに尋ねる。


 「一応、聞いておくけど状態変化への予防的な魔法ってかかってるんだっけ?」


 「ええ、完全にそれを無効化されてますね」


 って言う角田さんは、驚きの表情の中にどこか嬉しそうな笑顔がある。


 で、今度は桃井くんで、


 「桃井くんがいると、状態変化って受けないって言ってたけどどうなの?」

 って尋ねると、


 「はい、そのはずなのですけど、その効果は完全に打ち消されている様です」


 って桃井くんもその大きな目をさらに見開いて、真っ直ぐ前に立つ此花姉妹を見て言ってた。


 今のいままでこんな事考えた事なかったけど、まるで彼女達に対しての『勝ち方』がわからない。


 いや、あるか。割と最近までよく思ってたな。


 そっか、僕、今、母さんと対峙しているかの様な気分なんだ。


 そう思うと余計に勝てる気がしなくなってきてる。


 そんな戸惑う僕に、


 「さあ、いらっしゃい、魔王アッキー」


 見事にユニゾンする彼女達の声、姉妹は繋いだ手を中心に僕を優しく、そして完膚なきまでに受け入れる態勢を、互いに余った手を大きく広げて、僕を迎え入れる様にその表情は慈愛に満ちてる。


 もう、本当に勝てる気がしないんだけど……。


 それでも僕は一歩を踏み出す。


 そこから、最大戦闘速度に達するまで大した時間はかからない。


 ともかく接近しないとだよ。


 完全にノープラン、リカバリーなんて考えないで突っ込む僕だったよ。

 

  

 

 

 


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