第95話【神の軌跡すら言語化するスキル】
そして、アキシオンさんが、
「なるほど、そういうことですか」
って神妙な面持ち(剣だから表情見えないから僕の主観)で、そんな意味ありげな事を呟いていた。
どうせ、聞いても答えてくれなさそうだけど、あえて、
「どう言うこと?」
って聞くと、
「結論はそこにあります、戦ってみれば分かりますよ」
とか言われる。ホント、説明する気ないよね。
まあいいか。
「わかったよ」
と僕は剣を取る。
同時に他の人は下がってくれる。僕が、だいぶ距離を取って離れる。
この辺は阿吽の呼吸だよね、助かるよ。
じゃあ、行こうかな……。待ってても、剣を使い戦う僕に勝ち目ないからね。
前に向かって走り出す。様子見の意味もあるから、一瞬で、ってこともなくて普通の戦
闘速度。距離のお陰で、僕が単純に近づいてズバんってやろうてとしてるのは丸見えだと思う。ちょっと遠すぎるけど、その辺はこっちの様子見って意味もあるから、先に手を出してくれるならそれもいいし。このままロングレンジを保つのもいいよ。
って思ってたら、いつの間にか向かい合ってた二人の姿が無い。
消えた?
って思ったら、
「ホントね、何も言わずに戦う姿は確かにいいわね、向かう意識も真っ直ぐで綺麗……、牡丹の言う通りね」
って、すぐに耳元で椿さんの声がした。
「そう言うことは思っていても言葉にしないで、恥ずかしいから」
ってあまり聞かれない怒った牡丹さんの声。それが反対側の方でした。すぐ近くでした。
流石にこれには驚く。
「アラウド」
この導言は二つ。
まるで輪唱の様に響き、小さな雷が召喚されて僕に直撃する。
「うわ!」
この急な展開に思わず、くらってから驚いて、いつの間にか僕のすぐ横に出現した椿さんと牡丹さんの間にいた僕はまるで後方に飛んだ。あ、後ろだから逃げたんだ僕。
その筈なんだけど、その背後に牡丹さん。
向かい合う様に椿さんがいるんだ。
その手が、二人の手が僕のお腹と背中に触れる。
「大丈夫、魔法抵抗している」
と牡丹さん、
「魔法スキル依存のエネルギーはちゃんと弾いてるみたいね」
と前の椿さんが感心する様に言ってから、僕のお腹の方をみたその顔を上げて、
「じゃあ物理はどうかしら?」
「ジジ・ノバ・ハリク」
この導言も二人同時だった。
そして次の瞬間、巨大な氷の柱が僕を襲う。ってか、これ完全に僕の体を貫ことして、出現してきてる。
巨大な力。
それに弾かれる様に僕は吹き飛んでしまう。
「ぐえええ!」
変な声出ちゃったよ。
みんなが下がったところまで吹き飛ばされる。
で、角田さんに受け止められる。
その角田さん、
「嘘だろ……、ハリクの最大呪文の上の魔法なんてあったのかよ?」
って、真っ直ぐに、僕を吹き飛ばしたところにいた彼女達を見つめて、大賢者、そして第魔法番長である角田さんを驚かせている。
「2対1じゃない!」
って、その横にいた葉山が叫ぶ。
「真壁、私も手伝うわ」
って言ってくれるんだけど、
「無駄よ、誰が手伝っても、どうあっても結局2対1の構図になるんだから、結論は見えてるの、至らない人が余計なマネしないで」
いつもにも増してキツイ言い方をして来る椿さんだ。
「そんなのやってみないとわからないじゃない!」
「じゃあ、そうしなさい、いいわよ誰が来ても、何人来ても」
と椿さんが言うんだけど、
「結局は魔法スキルでしょ?」
って葉山も煽る様に言うんだよね。
で、珍しくそんな言葉に挑発に無言で見ている角田さん。
そして、椿さんは微笑んで、言うんだ。
「そうよ、たかが魔法スキルよ」
そう言ってから、続く言葉は、
「でも、あなたなら手も足も出ないわよ」
だった。
で、次の瞬間にはもう、その椿さんの前にいる葉山だ。
こう言う時の葉山ってさ、いつも思うんだけど割と怒りっぽいよね。ってかすぐに挑発に乗って、力づくで叩き伏せるって言うか、その辺はきちんと見てあげなさいって母さんにも言われてるけど、横にいた葉山、本当に怖い。僕に怒りを向けてる訳じゃないけど、本当に怖い。
で、その葉山、一撃で吹き飛ばされて戻って来る。
あ、樹脂化してる、あの時の桃井くんと同じだ。
って、その桃井くんに樹脂化を解いてもらってた。
「葉山様、ここは秋様に任せておいた方がいいですよ、彼女達の攻撃方法は多彩です、今の攻撃も、きっと一瞬にして今の葉山様の命の火を消す方法も持っている上での警告ですよ」
って、意識を戻して、でもちょっとふらつく葉山にそんな事を言ってた。