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北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆終章 異世界落下編◆
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第94話【裏切り? 離反? 対峙する最強魔法使い】

 いつもの様に、普通に接して来る此花姉妹の人達。


 違うと言えば、特に牡丹さんの方ね、妹の椿さんとは違って顔を隠す様に深めにローブをかぶっているけど、服というかローブの違うせいもあって、その綺麗で端正な顔立ちの美少女っぷりを遺憾無く発揮して、堂々と晒している。


 「ほら、牡丹、もっと胸張って、睨み付けてやりなさい、今日はそう言う日なのよ」


 って、妹の椿さんに服装をチェックされつつ、そんなふうに言われる牡丹さんの顔は若干あからんでいるから、気温や湿度のせいではなくて、単純に恥ずかしいからだって、そう思えた。


 だからこそ余計にいつもの牡丹さんだ。


 今回の身につけているローブは、ジャラジャラと装飾品がぶら下がってるけど、フードはが小さくて被るって言うより頭にかかる程度の物だ。


 「敵対なの?」


 って葉山が叫んだ。


 ってくらい距離はある。


 この先は真っ直ぐ『厭世の奈落』に続く一本道だ。


 「真壁、距離を取られると不利だよ」


 って葉山がすぐに僕に耳打ちして来る。


 そうだね、特に葉山は過去、姉の牡丹さんに出し抜かれているから、余計にそう思ってるし自覚はあるね。


 その時は味方だったけど、今は敵だからなんか心許ない。


 そして葉山が発した此花姉妹に対する質問に対して牡丹さんが、


 「はい、敵ですのでよろしくお願いします」


 って、なかなか間の抜けた返事をしてた。


 「操られているって雰囲気でもないですね」


 と結構距離があるけど、僕らおの前に現れた姉妹を見て注意深く桃井くんが言う。


 僕は、後ろにいる角田さんに、


 「魔法は打ち消せる?」


 って尋ねると、


 「同種なものなら可能です、しかし、さっきは確実にブリドの奇跡を発動させてましたから、あれを導言で呼び出せるとしたら、残念ながら俺には対処はできません」


 と、強気な角田さんには珍しく、ちょっと緊張ってか不利な感じで言ってた。


 そっか、難しいのかあ。


 彼女達って、北海道ダンジョンの中でも大賢者、そして僕の目線では最強クラスのヤンキーであり魔法使いの称号、『大魔法番長』を冠してる人物を持ってしても難しいと言わせる実力の持ち主だ。


 数々の強大な魔法を操り、それを改造、改良して、本来なら導言で呼び出すことのできない三柱神の奇跡の技まで使い熟す。


 かつて、僕と葉山が対立していた頃、牡丹さん一人が使った、請負頭のない状態での導言である『流星雨』についても、角田さん、いまだに解明できてないって、それだけ複雑な導言だったってことだけはわかってる。


 あの時の葉山は、文字通り命を駆けてた。


 そしてその体には茉薙もいて、そんな彼女達の圧倒的な土砂降りみたいな斬撃を、攻撃をひっくり返す、まさに起死回生な一撃だった。


 お姉さん一人でそれだもの、今は姉妹揃って出てきてるし、彼女達のことだけは、当時なんかよりも実力だって上がってるのは、何も見なくてもわかる。


 常に研究と研鑽を繰り返す彼女達があのままの訳がないんだ。


 「ともかくさ、私達は敵になってるから、ちゃんと戦いなさいね」


 って妹の椿さんも言う。


 「なんで敵なのさ、よりにもよって今回、この時に限ってさ?」


 って言ったら、ちょっと距離は離れてるから、まるで呟く様な僕の声なんて届かないって思ってたけど、彼女達はしっかりと答えた。


 綺麗に姉妹揃って、同じ声色で、同じ言葉で言うんだ。


 「そうしないといけないから、だからしっかり戦うの」


 その後、


 「まあ、あなたとはこうして一度くらいは本気でやりあって見たかったのもあるわ、牡丹みたいに気持ちを前に出してみたいもの」


 って言ってた。


 どう言う意味なんだろうって、思って葉山をみてしまうと、葉山、ちょっと困った顔して、そしてなんか怒ってて、


 「自分で考えなさいよ!」


 って言われる。と言うか怒られる。


 その横にいるのは桃井くんで、


 「そっか、椿さんもですか……、そっか……」


 って妙に納得しているから、椿さんの言葉に、何も受け取れないでいるのは僕だけみたい。


 「ちょっと強大な呪文知ってるからって、あいつら調子に載ってますね秋さん」


 って、角田さんだけそんな事言ってた。よかった、仲間がいたよ。


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