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北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆終章 異世界落下編◆
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第92話【摂理はダンジョンに満ちる】

 僕らと竜神ゾンビの感覚はどんどん長くなって行く、そして集中しているあまりに桃井くんの歩みが止まる。


 こんな真剣な顔した桃井くんを僕は初めて見た気がする。


 何か声をかけようとする僕なんだけど、その前に角田さんに手を制して止められてしまう。


 桃井くんはまるで息を吸うのも忘れた様に、木石の様に固り、そして次の瞬間に、「はあー」って大きく息を吐いて、そのままその場所にぺたんと座りこんだ。


 そして若干、顔色を悪くさせて、僕に言うんだ。


 「秋様、ダメです解呪されました、竜神ゾンビは解体され砂塵となった様です」


 って言うんだ。


 「う、うん」


 ってうなづく僕なんだけど、一体、何を言ってるのかわからなくて、いや言ってる事はわかるんだけど、今ひとつ遠すぎて状況を飲み込めないって言うか自覚できないから桃井くんの言葉をそのままの形で飲み込むしかない。


 「解呪って、ゾンビ化を無効にされたってこと?」


 「はい、自分で言うのもなんですが、僕もこのダンジョンでは唯一無二の力の持つ者ですが、相手の解呪能力は、術を行う僕よりも上の様です」


 ってわかりやすい形で葉山と桃井くんの会話が聞けるから、ここで僕も理解できた。


 なるほどね、そう言うことね。


 つまりこの先には桃井くんよりも力のある、そういう事ができる人がいるって事だね。


 一瞬にして緊張が走る。


 あ、でも……。


 もう倒した竜神のゾンビがもう一体生き残って、いやゾンビだから死んでるのか、その竜神ゾンビが残ってるのなら、前に強敵がいるなら後ろにはいないから、このまま竜神ゾンビに守らせて、彼女達、牛子さん他エルフな皆さんを地上に送ってしまおうって考えるんだけど、


 「でも、それだとこっちが手薄になります、そしてエルフ達が亡くなってしまった場合、同じ様にゾンビにして運用しようと思ってました」


 って普通の顔して平然と言ってのける桃井くんだよ。


 やっぱりこの子ちょっと普通の人の感性とかじゃないよね。ダメだよ、そんなの、立場的にも倫理的にもアウトだよ。


 って言って、僕の一存で、彼女達を竜神ゾンビに引率させて地上に案内させる事にした。


 「すまない、北海道魔王」


 って牛子さんは、本当にそんな気持ちで僕に言うんだけど、きっとこれから先、もっと大変な戦いになる気がするから、守られる人はいない方がいいと思うんだ。


 流石に、彼女達を全員守のは難しいからね。


 「一度、エルフのゾンビも作ってみたかったなあ、彼女達、信仰心とか薄いから、いいゾンビになると思うんですよね」


 って桃井くんは残念がってたけど、ダメだからね。


 で、


 「じゃあ、私と蒼ちゃんで先頭に出る??」


 って葉山が言うんだけど、いやいや、ここは僕に任せてよ。


 って僕が先頭に立つ。


 「葉山、蒼さん、後ろの方を頼むね、ゾンビいなくなったから、もう盾はないから、僕が前に立つよ、後方に流れたら潰してね」


 って伝える。


 で、ここで、


 「アキシオンさんって空間を把握する能力ってあるの?」


 って尋ねると、


 「一応、空間に散る暗黒物質なので、惑星規模での探索は可能ですよ、地球の裏側までいきますか?」


 って答えてくれる。


 「いやいや、この辺探索するのに地球の裏側までっていきすぎでしょ?」


 無駄に広くなくていいから、今、必要な能力を的確に使ってよ、って思う。

 で、


 「なんで今、ここに敵がいるの?」


 って率直に聞いてみると、その辺についてはすでに把握している様で、あっさりと答えてくれる。


 アキシオンさんが言うんだ。


 「摂理です、オーナー」


 どう言う事?


 「この世界は世界として混在を拒みます、だから一つの世界の消失はあっても、それがどこかの世界に吸収されることはありません」


 いやいや、だって、今までにも、長い歴史の中でも何人か落ちて来てるでしょ? 微水様とか、あっちの魔物の人達。


 「規模が違います」


 「今だって、こうしてと言うか至る所で魔物な人達が降りて来てるじゃん」


 するとアキシオンさんは、


 「生き残ることのできる者は生き残り、そうでないものは淘汰されるのです、全てを生かすつもりなら、世界が世界を受け入れることになります、すでにそれは救済の限度を超える『摂理』そのものから離反、この世界の法則すら逆らうことになります」


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