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北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆終章 異世界落下編◆
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第90話【大丈夫、このダンジョンでは命は失わないから】

 そして、


 「『闇顔』か……、本来は黒い帽子をかぶってる筈なんですがね、なかなかのお洒落な様で、このダンジョンの中には設定にはありますが、強力すぎて実際に使われなかったやつです、ゴブリンの最強種です、もう魔法や奇跡意外ならなんでもしてきますよ、広範囲ブレス吐きますよ、はエルダーよりも上のエイシェントクラスですね、すでにゴブリンなんて呼べないかもしれません、その誕生の希少さと本来被るべきだった帽子の色とその顔の色から、『ブラック』とか呼んだらいいのかもしれません」


 体躯は本当にゴブリンくらいしかない。すでに死んでいるとは言え、そこから圧倒するみたいな雰囲気と言うか、威圧感が凄い。


 葉山が、斬撃ではなく突き刺しを選んだのがわかる気がする。本当に堅そうだもの。


 久しぶりに角田さんのウンチク聞けたから、なんか得した気分だ。


 そうかもね、顔はちょっと細めのゴブリンなな感じなんだけど、手に持つ錫杖の様な武器にまるで、相手をからかう様な道化の服は浅く輝く様な緑だ。


 「ゴブリンの最強種ってレッドキャプじゃないんだ?」


 って言いながら、戻って来る葉山に、


 「ゴブリンは、モンスターとしての基礎の形を持ってますから、いろいろそこから派生させてますよ、巨人族の一部もゴブリンの形態を基礎にしてるものもいるんですよ」


 って角田さんが葉山に答えてた。


 そんな僕らを見て、牛子さん、と言うかアイナノアさん、びっくりした顔して、


 「私たちは、この一体に手も足も出なかった」


 って、僕の方を見て、


 「さすが、北海魔王のパーティーだな、底が知れない」


 って言ってた。いや、ちょっとその化物見る様な目で見ないでよ、こんな人達に比べれば、僕は常識的にもマトモな高校生だから、普通のダンジョンウォーカーだから。なんて言おうとするんだけど、その会話の先に


 「なんだ、蒼ちゃんも来てたんだね」


 って葉山がそんなふうに僕の前にいる蒼さんに声をかけてた。


 「お館様が行くなら当然だ、例え、何かの事情があって共に行くことをお館様に禁じられても、それは隔つことなどできない、私は身も心もお館様と一緒なのだ」


 冷静な蒼さんには珍しく鼻息が荒い。


 「だよね、一緒がいいよね」


 って、笑顔の葉山だった。


 そうなんだよね、蒼さんなら絶対について来るって思ってたからさ、なんて思ってると、


 「大抵は一体でうろつき回ってる奴なんですけどね、ちょっと珍しいです」


 って角田さんが言うから、あ、ほんとだ、って思って、僕らの密集する体勢の中、うまく潜りこんだ奴がいたらしく、襲いかかると同時に、突いてみた。


 グルンと空気が歪み、周りの空間すら連れて行く、そんな突き。


 「お見事です、お館様」


 って蒼さんに褒めてもらえた。


 「上手に綺麗に殺せましたね、偉いです秋様」


 って桃井くんにも褒めてもらえた。でも蒼さんとかちょっとニュアンスが違うきがするのは気のせいではないと思う。


 で、蒼さんは、本当に輝くばかりの笑顔だからさ、


 「ほら、せっかく教えてもらった技だからさ」


 って僕は言う。これ蒼さんのお婆さんに教えてもらった突きなんだよね、実戦で使うのは初めてだよ。すごいね、本当に、『突き』じゃなくて、『貫』って感じだ。


 僕の差し出す剣に串刺しにされて、そのまま床に落ちるブラック。


 「こんな短時間に2体もこの敵を倒すなんて」


 驚愕のアイナノアさんなんだけど、さらにその驚愕を塗り替える事態が、


 「エルフの姉ちゃん、お前を守って死んだ他のエルフの数は8人か?」


 って角田さんが、割と離れた最後尾あたりで聞いて来るから、


 「いや、ここでは、だ、全部で16人いた」


 と答えると、


 「そっか、じゃあ、ここで死んだ奴は復活させておいたぜ」


 って言う角田さんの後ろに、本当にいつ現れたの? って思わずにいられない数の、アイナノアさんと見た目も雰囲気も似ているエルフさん達が現れた。


 「ここに遺体はなかったが、残滓はあったからな、よみがえらせたぞ」


 生き返らせた方も、それを目の当たりに見て方もびっくりしてた。


 蘇生魔法も完璧だね、さすが魔法番長。


 そんな角田さんが言うんだ。


 「ここはな、無くしたもんが手に入るダンジョンなんだ、誰も不幸にはならない様に作られているんだよ、だから生き返ったっていちいち喜ぶな」


 って言う。


 よかったじゃん、アイナノアさん。

 



  








 

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