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北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆終章 異世界落下編◆
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第88話【おっぱい、大きいですね】

 なんか、久しぶりにダンジョンに入った気がする。


 次の階段に向かって歩く長い通路。


 見ていてとても新鮮だよ。


 本当にフレッシュな感じだよ。


 どこもかしこも見慣れたダンジョンだけど、突き抜ける様な初々しさが僕をおかしなテンションに押し上げる。


 「真壁、落ち着け」


 って葉山に叱られる。


 4丁目ゲートから入った僕らは、スライムの森を抜けて、そのまま階段を降りて中階層に向かう。


 一応、場所は知ってるものの、僕らの知るこのダンジョンから、こっちに来た道の為に転生エルフさんの、牛子さん、じゃかかった、アイナノアさんには一緒ね付いて来てもらった。なんか挙動が不振で、キョロキョロ周りを見ながら最後列を歩いている。


 とても長い階段を降りることになるんだけど、いつもなら、エレベーターで行こうよ、ってなるんだけど、不思議とめんどくささも嫌な気分もなくて、また、疲れもせずにサクサクと進む。


 いつもなら、それなりに人と、他のダンジョンウォーカーとすれ違うのに、今日は全くそれが無い。


 スライムの森も静かな時はあるけど、それなりに人はいて、ギルドの人もいるから、まばらな人影があるんだけど、まったくそれが無い。


 今、この異世界が落ちて来ているって緊急事態で、魔物な人たちが攻めてきているってのもあるから、みんな外に出ている。


 本来、ダンジョンの中を歩き回ってる、ダンジョンウォーカーが、ダンジョンの中にいなくて、みんな外にいるのが、ちょっとおかしいなあ、って思うし、やっぱり無人のダンジョンはどこか、気持ち悪いというか厳かな感じだ。


 この北海道ダンジョンが、この地に北海道に現れた時に、初めてダンジョンを歩いた、文字通り、最初のダンジョンウォーカーもこんな気分だったのかなあ、って、そんな事を考えていると、


 「葉山様はおっぱい大きいですね」


 って、なんだろう、今、変な事を普通に発言する僕の横にいる桃井くんに驚く。


 いや、何言ってるの?


 「やっぱり、秋様は大きいのが好みなんですね、春夏様も大きかったし」


 とか爽やかな、ジェンダーを突き抜けた美人な少年が、僕を見上げてそんな事を言う。


 ちなみにそのすぐ隣には葉山がいるんだよね、だから聞いてるし、しかもニコニコしてるし。いやいや何言ってるの? って思って、桃井くんを見ると、桃井くんも葉山同様ニコニコしてる。


 「僕も、忙しくて秋様のお相手をできなかったから、心配はしていたのですけれど、春夏様、第一夫人に続き、第二夫人の葉山様を娶っているなんて、なかなか隅におけませんね」


 とか言い出す、ドヤ顔して言い出す。


 何かを告げようと、まずは大きな誤解を解こうするんだけど、でも変な言い方して葉山とかに嫌な気分にしないようにして言葉をグルグルと選択していると、葉山と話していた桃井くんが、


 「あ、そういえば、愛人の方もいましたよね、大人っぽい椎名様でしたか? 王のスキルで、無理やり自分のモノにした美人さん、彼女も、おっぱい大きいですものね」


 とか言い出す。


 「いや、あれは違う、そうじゃなくて、ほら、僕、スキルの効能なんて知らなかったから、そうなってしまって、そんなつもりは無いって言ったから、誤解は解いたから」


 ってもう、しどろもどろになる。本当のことなのに、人の命のかかってる大事な時の出来事で、至極当然に、人道的に当たり前の事を、下心なんて微塵もなかったのに、そんな言い方になってしまう。おかしいなあ、変な汗も出てきた、違うから、本当に違うから。


 って葉山をみると、葉山は、桃井くんの言う事に対して、僕の方を責めるでもなく、どこか余裕のある笑顔でコロコロと笑っていた。


 あれ? なんだろう、いつもならこの手の会話なんて葉山、ムッとするんだけどな、何かこう、余裕を感じるなあ。


 って思ってると、


 「桃井、あんまし揶揄(からか)うなよ」


 って角田さんが桃井くんに注意してくれる。


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