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北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆終章 異世界落下編◆
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第87話【ダンジョンへ突入! いつもの仲間!】

 こういう人見ると、本当に自分の子供に変な名前を付ける親って、これだけでネグレイドしてるって気が付かないんだろうなあ、って思う、だって、一生それを呼ばれて自分を認識しないといけないからさ。その度に傷つくわけだから、それが生涯続くとしたら、ゾッとするよね、つまりは想像力のない人がそんな名前をつけてしまうんだって、そう思う。だから変な名前の名付けって、呪いに近い気がするのは僕だけじゃあ無い筈だよ。


 見た目にさ、本当に落ち込んでる牛子さんをなんとか、一言だけでも元気付けようとする僕なんだけど、なんて言えばいいのかなあ、いいところもあるよ、さっきの切り下ろしの一撃なんて、牛一頭が落ちて来る勢いもあったよ、ってそんな言葉をかけようとすると、葉山が、


 「真壁、黙れ」


 って先んじて言ってくれるから、すごい怖い顔して言ってくれるから、ああ、ダメなの? ってなって、こう言う時、葉山が先に僕の発言しようとする言葉を読んでくれると、検証してもらえるから助かるなあ、って思うよ。本当によかったよ。余計なこと言わないでよかった。


 だから、


 「アイナノアさん」


 って声をかけると、


 もうね、牛子さん、じゃなかった、アイナノアさん、輝く様な笑顔。


 「はい、私がアイナノアですが、何か?」


 とても柔軟な声色と、笑顔が返ってくる。


 「つまり、アイナノアさん達が、繋がったダンジョンから脱出して来るのに、邪魔している何かと言うか誰かがいるって事?」


 って尋ねると、


 「だから、この地の魔王であるあなたが邪魔しているのでは無いのですか?」


 なんて言うからさ、


 「いや、僕ら、と言うか僕はそんな事はしないよ」


 って言うと、葉山が、


 「真壁、一回、ダンジョンに潜って見れば? 中階層なんだし、すぐに駆けつけられるでしょ?」


 って言われる。


 まあ、そうだね、そうだよね。


 「師匠! 私、私がご一緒します!」


 「何言ってるの、二人とも言ったら、7丁目ゲートは誰が守るのよ!」


 って言う雨崎さんもすっかり一緒に行く気でいるみたい。


 すると、僕の影から、どこかで聞いた、最近自分の宗教団体と奥さんたちにすっかり捕まって、なかなか出てこれない彼が言うんだ。


 「いえ、ここは秋様、この下僕がご一緒いたしますよ」


 とか言う、本当にいつから影の中に潜んでいたのか……。


 その愛くるしい少女と見紛うばかりの美しい容姿とその声、それを相反するかの様な、誰も持ち得ない、冥府のスキル。


 ネクロマンサーの桃井くんが現れた。


 そして、


 「いやだな、秋さん、いつ声がかかるのかと、ずっと待ってたんですよ、大丈夫、怪しい物じゃないです、マジ、秋さん半端ねーすっから、リスペクトしてます、前に首を落とされた事なんてなんとも思ってないですから、付いて行きますよ」


 ヌウと現れた長身に、細くてもマッチョな体をラメ色のジャージに包んで、ベコベコに凹んで歪んだミズノの杖(バッドとも言う)を肩に担ぐのは、ダンジョン最強の魔法使い、そして見た目にヤンキーで言動もヤンキーとしての最高峰、魔法番長が現れた。


 いや、本当に今までどこにいたんだよ、って思ったけどさ、その後話を聞いたら、約束を破った罪で、奥さん(ヤンキーさんは結婚が早い)だから、あの涼子さんね、その涼子さんに外出禁止を命じられて、自宅であるアパートで専業主夫をしていたらしい。


 「秋さんのピンチって言ったら快く送り出してもらえましたよ、いや本当によかった」


 って自分で撒いた種なんだろうけど、刈り取りも中途半端に外出許可が出たらしい。


 よかったね。って思う。


 そして、なんか懐かしいなあ、って思って、ちょっと感慨深いものがあって、二人の顔を見つめてしまう僕がいる。


 「なんか、こうして見ると、以前からも思ってたけど、本当に反則なパーティーね」


 って葉山が言うんだよね。


 そして、


 「ここは私が守ってるから、気を付けて行ってらっしゃい」


 って言うんだよ。


 だから、


 「何言ってるの? 葉山も来てよ」


 って言たら、なんか固まってるから、


 「嫌なの?」


 って普通に尋ねたら、びっくりした顔して、


 「いいの?」


 って聞いてくるから、なんでそんな事言うんだろう、って僕の方が不思議になって、


 「当たり前じゃん」


 って言ったら、なんでか葉山、泣いてた。


 だって、葉山がいた方が良いに決まってるじゃん。


 この人達、能力も言動も考え方も常識を逸してるんだから、付いて来てよ。


 今の僕にとって、本気で戦うとか探索するとか、ダンジョンウォーカーとして、と言うか家族として、葉山は欠かせない。いるのは当たり前なんだよ。


 だから、驚かれた事に驚く僕だった。


 いいんだよ、いるのが自然。いないと不自然なんだ。


 だから一緒に行こう、な、葉山!


 







 

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