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北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆終章 異世界落下編◆
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第82話【異世界転生者無双す】

 この子ももう人の心とか特に僕の思ってる事を読むくらいにはなってるなあ、既には葉山クラスか? って思っちゃったら、今度は葉山に睨まれる。


 違う違う、そう言う意味じゃ無いよ、スキルとか技能とかの話ね、この短期間に葉山くらいの技量になっていて驚いたって話しね。


 って、慌てて思うと、葉山のご機嫌は直ってた。便利だな、この機能。特に男女間の諍いが関係のない人達のいる場で起こった場合、心の中だけで成立するのは便利だなあ、って思った。利点もあったよ、心を読まれるって事も。


 まあ、そっちはいいや。


 「じゃあ、こっちには戦いに来たの?」


 って、その転生勇者、転移だったけ、その勇者さんに聞いたら、


 「いや、だから無理でしょ、魔王の配下、弟子と、婚約者さんにもかなわないんだから」


 って手を広げて、ヤレヤレな感じで言う転移でいいのかな? 勇者さんだよ。


 「奥さんじゃ無いから」


 って、葉山が言って、蒼さんがうなづくと、


 「じゃあ愛人?? こっちの女の子も? すげー、ハレーム化も成功してるんですね、転移なんてしないでもよかったなあ、結局、彼女できなかったし、こっちの方がよかったなあ」


 って言う、変な事言う。


 もう、めんどくさいから斬っちゃおうか?って、沈着冷静な笑顔で葉山が目が僕にそう告げてる。ダメだからね。斬ったらダメだから。


 「じゃあ、どうするの? このままみんながいる休憩場に行く?」


 って僕が尋ねると、


 「そうですね、ひとまず、実家に帰りたいんで、早くこの状況を終わらせてもらいたいですね、もうサクってやっちゃってくださいよ、魔王さん」


 って言われる。凄いフランクに言われる。


 呆れた顔してる僕に、


 「だって、魔王さん、凄い強いんですよね、世界どころか異世界を含めて、1番の力と、溢れる愛を持ってるって、しかもカッコよくて、優しくて、大人で、弟子を大事にしてくれるって……」


 その言葉が終わらないうちに、


 「わー! わー! わー!」


 って、今まで黙ってた滝壺さんが騒ぎ始める。


 そして、もう転移さんでいいや、その転移さんは、


 「この世の中で一番、愛に溢れて、愛弟子さんを大切に扱ってくれて、その証に自分の持ってる剣の分身である同一の剣までもらえてるんだって、自分は特別なんだから、って言ってたよね」


 って滝壺さんの顔見て転移さんが言う。


 そっか、ちょっとわかって来たけど、転生勇者、転移か、彼って空気を読めない人だったんだな。


 「師匠、この人斬ってもいいですか?」


 滝壺さんも真っ赤な顔して怒ってるんだか泣いてるんだかって顔して言う。ダメだよ斬ったらね、死んじゃうからね。


 うーっ……って可愛く唸って諦めてくれる滝壺さんだよ。


 そして、今度は蒼さんを見て転移さんは、


 「うわ! 小学生女子の忍者もいる! もうここまでくると尊敬ですよ、これだけ可愛い子侍らせて、もう男の夢叶ったって感じですよね」


 僕の背後では、


 「お館様、こいつ斬り刻んでいいですか?」


 って不穏な事を言い出す。


 いいかげん、ここの空気どころじゃなくて、雰囲気と言うか敵意というか率直に言って殺意に、なんとなく気がついたみたいな転移さん、ちょっとしまった! って顔して、


 「俺、なんかやっちゃいましたか?」


 って言い出す。うん、まあね、それじゃあ彼女できないよね。


 それでもメンタルが強靭な転移さんは、


 「そんな目で見ないでくださいよ、俺意外にもまだいっぱいいるんですから、次々とここに降りて来ますよ……、あ、あれテレビ塔ですか! 俺、北海道初めてなんですよ、テンション上がる!!!」


 って、もう既に興味は他に移っていた。


 いや、こんなの何人もいるの?


 本当に最後の最後でお茶の出涸らしみたいに出て来たよ。


 もうそろそろかなあ、ってディアボロス君に声かけようかなって思ってたのに、これじゃ、まだちょっと様子みないとって感じになるよ、しかもダンジョン現れたって話はどっか飛んでっちゃうし。


 僕は初めての北海道にテンションMAXで、おかしな奇声を上げつつも帰省を願う、転移さんを見ながら、異世界の意思みたいな物を確かに感じていた。


 異世界に対して行動を起こすのは、もうちょっと待とうって思う僕だったよ。

 

 


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