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北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆終章 異世界落下編◆
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第78話【生きる形が違う僕等】

 だから、葉山は、


 「ね、すごいでしょ、まさに、私は今日の為に、春夏の為に、だから真壁の為にこうして生を存えて来たんだよ」


 「違う!」


 「違わないよ」


 ってすぐに返る葉山の言葉。


 「私、一体なんの為にどうして生まれた来たのかわからないって、真壁に合うまで辛くて、でも茉薙がいるから勝手に死ねないし、いつまでこんなことが続くんだろうって、そう思ってた、でも真壁がいて、ダンジョンがあって、春夏がいなくなって、自分の造られた内応を開示されて、ああそうか意味じゃなくて、使命があるんだなってそう思ったの」


 あるんだな、じゃないっての。


 そんなのいいから、葉山は葉山して欲しい。


 なんて言っていいかわからないけど、ともかく僕の口から出たのは、


 「ダメだ」


 って言う一言だった。


 ってか、もうそうとしか言えない、なんでこんな変な考えに行っちゃうんだよ。


 「なんでよ? 真壁だって、春夏が返って来るんだから、嬉しいでしょ?」


 「でも葉山の体に春夏さんがいても嬉しくない」


 「……なんで?」


 そう言ってから、葉山は自分の体を見て、


 「変?」


 って自信なさげに言うから、


 「うん、変」


 って即答すると、葉山、わかりやすくショック受けた感じになるから、いつもなら速攻で誤解を解こうってするけど、今日に限っては、ちょっと放置。


 そしたら、


 「そうかなあ、真壁の好みじゃないのかなあ……」


 って言うんだよね。


 「いえ、胸と腰、顔も含めて、オーナーの脳裏に焼きついてますよ、好みと言うよりも、視感的な性的衝動を伴う変化を確認してます」


 いいからアキシオンさんは黙って、今大事な所だから。


 「そう言うのじゃないんだよ、ともかくだよ、それは却下だからね」


 すると、葉山は思い詰めたみたいになって、僕に尋ねる。


 「納得できない、理由を、理由を言ってよ!」


 って言われるから、まあ、ともかく葉山は葉山で葉山がいいんだよ。


 って事をわかりやすく言おうとして、


 「じゃあさ、もしもだよ、僕の体に葉山が入ったら、どう思う?」


 って聞いてみた。


 すると、葉山はしばらく考えて、


 「それって、真壁の体を好き勝手に弄りまわせるって事? 真壁の体をやりたい放題できるって事?」


 いや、ちょっとなんで頬を赤くしてるの?


 おかしいな、例えが悪かったかな?


 でも、葉山の反応で、少なくとも僕の言いたい事が何も伝わってない事を理解はできたので、もう一回考えてみる、初心に立ち返ってみる。


 「今の無し、ちょっと待って」


 って言ってから、考える。


 「じゃあさ、僕の体に角田さんや、他の人が入ったらって考えたらどう?」


 って言ったら、


 「そんなのある訳ないでしょ」


 って言われた、真顔で言われた。


 いや、そうだけど、ありっこないけど、なんで普通に否定? 


 そして、葉山は、


 「真壁、もっと現実的な事を言おうね、説得力とかないよ」


 って言われる、と言うか諭される。


 うん、って、確かにその通りだけど、なんか納得行かない様な、行く様な、でもしっくりこない様な、腑に落ちない感じが否めない。


 そんな僕に、


 「私も幸せになりたいの、真壁と一緒にいたいの」


 って葉山が言い出す。


 そんな時だった、僕に何かが触れたんだ。


 ああ、そうかって思ったんだ。


 彼女は教えてくれた。


 僕の知ってる常識では、葉山を説得も納得もする事はできない事。


 今、この話を聞いていて、葉山と話していて、違和感はあった。


 なんか、こう、通じてないって言うか、つながらない。


 それは、僕と葉山の認識があまりに違うからだ。


 葉山って、自分の体に他の人間の意思や部位を文字通り宿して生きて来た女の子で、言い換えるならそれが当たり前になっているんだ。


 生きて来た形そのものが違う。


 今の葉山に、僕の目の前に立つ葉山にさ、その片鱗の欠片も見えない、たまにおかしな事を言い出すと言うか行動に出るくらいで、しかも僕相手に対してだけだけど、見た目に普通で、しかも委員長で、賢い、それで見た目にも相当に可愛いし、美人だしスタイルも良い、そんな女子だ。


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