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北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆終章 異世界落下編◆
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第68話【彼のいる限り、僕の前に、鍵のかかった扉なんて無い!】



 無駄なのになあ、って、でも、ここが節目ってわかるからその勢いは止まらない。


 止めなきゃって思う。


 こんなバカみたいな結末を認めて、僕は、いや僕達は彼女達を失うわけにはいかない。


 あ、一瞬、諦め欠けたでしょ?


 僕に寄り添う僕の外にあっって僕の心の形になっている彼女は、一瞬の悲しみを見せた。


 いや、いなくなっても、ここにあるから、気持ちは伝わって来るよ、春夏さん。


 ああ、やっと名前出せた。


 こんな状況だから、意識させない様にまるで僕の記憶をその都度塗り潰す様にしていたみたいだけど、油断したね。


 と言っても、まあ、後ろ姿がかろうじて見えただけって感じだけどね。


 でも、そのくらい心配してる、心を痛めてる。


 そうだよね、この北海道を、いや、北海道ダンジョンを、そこに通う子供達を全方向から一緒に守って来た彼女達だからね。


 僕は言い切る。


 それは僕自身にも気持ちを固まらせる。その方向性を決める。


 絶対に彼女達、この三柱神の合祀した姿になったカズちゃん、シリカさん、シンメトリーさんを助ける。


 ともかく、この封印をなんとかしないと……。


 「アキシオンさん、なんとかならないの?」


 「こちらの世界の物理的法則には準じていませんので、先ほど申し上げた結論となります」


 本当、無機質、剣が喋ってるみたい。


 冷たいなあ、って感じるアキシオンさんの言葉がさらに冷たく感じてしまう僕の主観。


 もちろん、アキシオンさんは一片たりとも悪くないし、的確に言ってるだけなんだけど。


 ともかく、彼女達の封印、施錠を解く鍵を見つけないと、とっかかりでもいいんだ。


 なんか方法ないかなあ……。


 本当に焦る僕。


 今までなら力づくでなんとかできたけど、今回はそうもいかない。


 透けて見える巨大な三柱神の彼女達が、まるで、その大きさのまま、鉄壁に囲まれている様な、そして僕には今、この柔らかい自身しかなくて、どうにもできない諦めよりも大きな絶望に包まれていた。


 方法が……。


 手段が……。


 鍵が……。


 「なんだ、アッギー、困ってるが?」


 その声は僕の頭より高い位置から急に聞こえて来た。


 その顔見て、


 「あ!」


 って短く叫んでしまった、そうだよ、彼がいた。そうなんだよ。この人がいるじゃん。


 ヒョロリとした長身、そして猫背で、長い手をブラリと下げて、ボサボサの髪に隠れた目が僕の方を見ていつもは硬く結ばれる、あまり喋らないって言われてる口が、僕に言うんだ。


 「約束じたろ? 宝箱でも扉でも鍵掛がってるなら、俺が全部開げてやる、お前が望むなら、そこに辿り着ぎたいなら、俺がいる限り、お前を阻むものなんて何もねーんだぞアッギー、忘れたが?」


 って、言ってグッグッグググって、人の良さそうな悪人笑いして僕の横で、巨大な合祀姿になった三柱神を見上げていた。


 僕は、もう、なんだろう、できるできないの前にさ、この人の存在のあまりの心強さに、


 「ツギさん!!!」


 って叫んでしまった。


 同じく、無理だ、できないって、固まる僕の気持ちや思考もこじ開けられた気分だ。


 うん、世界が広がった、いや狭くなっていた視野が元に戻った。


 だって、僕の横には、この北海道ダンジョンにその人ありと言われた、その方向では無敵な人がいるんだ。


 所謂、彼の前では施錠は意味を持たない。


 ギルドの、シンメトリーさんの立法する封印すら看破する。


 それは例え物理だろうと魔法だろうと問題にしない。


 閉ざすものがあれば必ず開ける。


 つまり、鍵を開ける、解錠する事のみに超絶特化したダンジョンウォーカー。


 久能 次男の登場に、閉ざされた彼女達の外部からの遮断を解いてしまうってだけで、その勢いだけで、僕はもう、問題の解決すら確信してしまうんだ。


 なんかこっから先はずっと僕のターンって感じに思えて来るくらいの力強さだよ。

 

 

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