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北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆終章 異世界落下編◆
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第65話【鍵をかけて閉じこもり、巨大化する佐藤和子達】

 それがまさか同一人物だなんて、土岐も八瀬さんもわからなかった。


 気がつきもしなかったって、そう言ってる。


 孤児の子供達を全力で遊んであげるダンジョンのお姉さんなのだそうだ。


 「最初はさ、ダンジョンがあるから、子供が捨てられるんだって、そう思ってたんだよ、いくら自分たちの世界の為とは言え、悪い事したなあ、って思ってたんだ、でも、通ってるうちにそんなのどうでもよくなって来てさ、やっぱ子供ってさ、見抜くんだよ、義務で来てる奴とそうでないやつ、気がついたら私が遊ばれてたって、まあよくある話だよ」


 ってどこか恥ずかしそうに、でも嬉しそうに言ってたそうだ。


 これはギルドの人ならみんな知ってる事だって。


 でも、その気持ちも、自分の故郷に対しては、引き止まる理由にはなれない。


 「子供達きっと悲しむよ」


 って、こんな言い方、とは思うけど言ってしまうけど、それでもカズちゃんは、


 「悪りぃ」


 そう言うだけだった。


 シンメトリーさんはどこか落ち着いた様子で、ボソリと、


 「良かった、私の心の鍵は破る事はできなかった様だな……」


 って言ってた。どこかホッとした様に、それでいて寂しそうに。


 なんの話?


 とは思うものの、極めて個人的な感傷な様なので立ち入るのもなんだし放っておいた。


 ともかく、彼女達の決心は硬い様だ。


 「アッキー、このダンジョンのスライムの森あたりの直上を足場にする、お前も危ないからダンジョンに入ってろよ」


 って言われる。


 「中は大丈夫だ、力によっての崩壊は無い、あの大陸を押し戻す力くらいは受け止めてもらえる」


 と言った。


 って、そこまで聞いて、本当に直接押し戻すんだ。ってここでなんとなく彼女達の本気を感じたんだ。


 「最適化しよう、あくまでイメージだが大切だ、分けた命の切れ端を差し出せ」


 とカズちゃんが言うと、


 「縦、横、真っ直ぐ、空間を把握ですよ、行けます、ヨイトマケです!」


 最後の方がよくわからなかったけど、つまりはそう言う事らしい。


 「『物理干渉』を律法、三柱の分立を廃止、統合する、掌と足のみ既存サイズにて『物理干渉』を律法」


 彼女達は、僕から離れて、向かい合い、そして手をつないでサークルを作り出す。


 そのまま、落ちて来る異世界を見上げて、


 「待ってろ、今、約束を果たしてやるからな」


 と、誰が言ったのか、3人同時に言ったのかわからないくらいの同じ声、同じ発音の言葉を空にある異世界に向けて解き放つ様に言うと、彼女達、三柱神である佐藤さん達が巨大になり始め、そして、一瞬にして一人の佐藤和子さんになった。


 本当にバカみたいな大きさ、きっと、何百メートルではすまないくらいの大きさ。


 だって、本当に空から、未だ上空にある異世界に手が届きそうなんだ。


 って事は、足場にしている札幌の街が危ないかも、って思ったら、


 「彼女達がこちらに接地している面積は、女性分の足3人分ほどで、直接、この北海道ダンジョンを足がかりにしている様です、地表には影響はありません、あくまであの姿は彼女達の意思の現れと、イメージです、オーナー」


 ってアキシオンさんが説明してくれたけど、カズちゃんともシンメトリーさんともシリカさんとも取れない大きな三位一体の合体した姿は、どこか神々しいんだけど、それでも得体の知れない大きすぎる女神の姿に、ただ圧倒されていた。


 いや、ダメだ、ボーッと見てんな。


 圧倒とかされてる場合じゃない。


 だって、こんな事したって、異世界はどうせ滅びる運命で、そこにいくらい小さく生き延びたにしても、明るい未来なんてない。


 だから止めないと。


 でも、どうやって?


 彼女達の決心は、覚悟は本物で、ずっとこうする為に僕たちダンジョンウォーカーを助けてくれて来た恩人だよ。


 「外部からは封印がかかっています、いかなる声も届きませんし、干渉も不可能です」


 ってアキシオンさんは冷静に言うんだ。


 つまりは中から鍵をかけられてしまったって事だよね。


 いや、本当、どうしよう……。


 久しぶりの八方塞がり。


 どうすればいいのか、何もかも拒絶された今、方法なんて思いつくはずもない。


 どう考えても死地に赴く恩人達。


 本当、どうしよう……。

 

 

 

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